この間覗いた信託博物館でもって、近隣ミュージアムの案内のひとつとして見かけたのが「金融ミュージアムOtemachi」のリーフレットでして。信託博物館が三菱UFJ信託銀行の企業ミュージアムならば、金融ミュージアムの方はどうやら三井住友銀行の設けた施設であると。

 

経済やら金融やらといった分野に至って弱いことは信託博物館の振り返りでもすっかり露呈しているところながら、それでもついつい立ち寄ってしまった次第でありますよ。それにしても、東京・大手町のビジネス街ど真ん中、高層のオフィスビルの中にあるとは、スーツ姿でもない者(昨今の勤め人の服装がカジュアル化傾向にあるとはいえ)にとっては些か場違い感があって敷居が高いような…。

 

 

三井住友銀行東館(本店のお隣)の2階に「金融ミュージアムOtemachi」あると、吹き抜けロビーにも案内はありますけれど、この空間にカジュアルと通り越してラフな服装で入り込むのは勇気が必要でありましたよ(笑)。

 

ともあれ、厳めしく立哨する警備員の横目視線を感じながら、エスカレータで2階へ。入口から覗いてみれば展示空間はこんな感じになっておりましたよ。

 

テーマのことなる7つの知の柱=モノリスを選びカードに触れていくことで、自分の興味本位での金融知識の旅が始まります。

てな設えで、モノリスなる柱は大きなタブレットのようになっているようで、次々現れてくる大小のカードをタップすると説明文が現れるという仕組み。ひとつ選ぶと紐づけされた関連項目に誘われますので、次々に見てしまう仕掛けなのでありました。

 

「自分の興味本位で」という所以はそのあたりにあるわけですが、Webで何かを閲覧するとAIだかが勝手に「この人はこんなことに興味があるのだあね、ではこれはどう?」みたいに次々出てくる広告みたいで、少々気持ち悪さを感じないでもない昭和世代でありますよ。それに、興味本位で進むとやっぱり得られるところは幅が狭くもなるような。

 

実際、個人的にはついつい企業史の方面に関心が向いてしまい、結局のところ金融の知識なるところは後回しになってしまいましたしね(苦笑)。ですが、三井住友銀行のそもそもを見ていく中で、三井は早くから両替商をやっていたろうけれど、住友の方は?と思えば、実は住友家が泉屋が両替店を開いたのが1662年で、三井の方は1683年だったそうな。ただ、近代の銀行らしい形を示したのは三井、住友いずれも1875年とか。

 

その後の紆余曲折を経た昭和のいっとき、メガバンクに統合される以前の都市銀行としては、同じく財閥系のわりには三井銀行よりも住友銀行の方が羽振りが良かったような(むしろ海外ではMitsui Bankが頑張っていたという気も)。そのあたり、住友銀行が一本立ちの経過をたどったのに対して、三井の方は太陽神戸銀行と合併して太陽神戸三井となり、後に「さくら銀行」に名称変更して「三井」の名前が消えたりもした。にもかかわらず、住友がさくらを合併した結果として三井住友銀行が誕生。あらら、「三井」の名前が復活しておる?!ということに、財閥系のしたたかさを感じたりもしたものでしたなあ。

 

と、企業史をたどりに来たわけでもないのにかかる話になってしまいましたが、一応モノリスでは金融に関する知識を仕入れたりも。ま、子供にも分かるようにやさしい解説が、ともすると物足りない(分を弁えない発言ですが)とも。そんな知識吸収の賜物であるのか、別コーナーに設けられた「金融クイズ」なんつうのに挑んだところ、晴れて全問正解!金融博士の称号を手にしたのでありましたよ(笑)。

 

 

ところで、モノリスという柱の裏側にはそれぞれに金融にかかわることわざや名言が紹介されておりました(よく見れば、モノリスの方には発言者のカードがあって、これをタップすると紹介記事が出てくる)。例えば、このように。

 

 

地球は先祖から受け継いでいるのではない、子どもたちから借りたものだ。サン=テグジュペリ

ともすると、金融と関わりありやなしや?みたいなひと言ながら、蓋し名言かと。ま、社会の経済活動と深い関係を持つ金融だけに、世が唱えるSDGsの方向性などに無関心ではいられないことの現れでもありましょうかね。

 

 

実は金融系のミュージアムということで、訪ねる前はかような展示が主たるところかも?と思っていましたが、この手のものはこの展示ケースだけ。考えてみれば、すぐ近くに日本銀行金融研究所貨幣博物館なる施設もありますし、三井住友銀行としては神戸営業部に貨幣資料室があるそうですので、棲み分けがされているということなのでしょう。

 

ということで、展示スペースは無人で、もっぱら機械とインタラクティブなやりとりをするという「金融ミュージアムOtemachi」、子ども連れの方が楽しめるかなとは思ったものなのでありました。