昨日はいい日和に釣られて立川駅界隈をぶらりと。いつも人の多い町ではありますが、この日はこの他「出てるな」感がありまして、加えてお日様が高いうちから昼飲みに繰り出しているような…。気付いてみれば駅南口からほど近く大がかりなイベントが展開していたのでしたか。

 

 

以前からGW時期に開催されているという『立川フラメンコ』。知ってはいましたですが、遭遇するのは初めてでありましたよ。さりながら、何故に立川でフラメンコ?とはやはり首をかしげるところかと。

 

元は立川駅南口に連なるすずらん通り商店街では商店街祭り的なイベント「すずらんフェスティバル」を開催していたそうな。かつてはおそらく(ギャラのさほど高くない)芸能人やら大道芸人やらを呼ぶという、そこらにある商店街祭りと変わりないものだったのではないですかね。

 

そんなありきたりな(?)イベントに変化が兆したのは2002年、地元立川出身のプロ・ダンサーを招いてフラメンコ・ライブを行ったのであると。こういっては何ですが、一般の人たちがフラメンコを直接目にすることはあまりないであろう一方で、フラメンコ教室に通って踊る機会を望んでいるアマチュア・ダンサーたちにとっては「ここぞ!」という舞台が提供されることにもなって、規模が拡大。今では、上のフライヤーにもあるとおり「壮観!500人の舞!」でストリート・パフォーマンスが繰り広げられることになったというのですなあ。

 

 

出くわしたのはまさにそのストリート・パフォーマンスの場面でして、奥に見えるスペイン国旗のところにステージが設けられていて、舞台上ではカンテ(歌う人)とトケ(ギター演奏)とが陣取っておりましたが、バイレ(踊る人)の方は、いやあ、すごいことになってますなあ。

 

 

静止画像では(失礼ながら)盆踊りと区別がつきにくいとは思いますが、展開していたは紛れもなくフラメンコ。想像するに、各地のフラメンコ教室の教師が受講者を引き連れて参加しているのではと思うわけですが、「あ、この人は先生かも。あっちは初心者だあね」と、素人目にも分かりやすいのは手と指先の動きへの気の使い方であろうかと。

 

近隣のライブハウスなどでは屋内でも少し修練を積んだ踊り手のパフォーマンスが見られるようでしたが、そちらは混んでるだろうなと近づかず。それにしても、そもそもの発想は映画『レディ加賀』的なるものと思いますが、浅草のサンバカーニバルには及ばないにもせよ、あちこちにある「阿波踊り」などよりは独自性もあり、踊り手も観客も増えているようですから、一定の成功を収めているとは言えましょうかね。ですが、すずらん通り商店街の「す」の字はどこへやら?という具合なのは、主催者側も痛しかゆしといったところでしょうか。

 

と、かような喧騒に包まれた「立川フラメンコ」の会場から、今度は駅の北口へと向かってみることに。こちらはこちらで続々と、国営昭和記念公園へと向かう人の流れが出来ていて、また大層な人出(昭和の日だっただけに?)。さりながら、その流れから離れたとある商業ビルでひそやかに別のイベントが開催されておりましたよ。

 

 

果たして全国的にどれほど知られている存在なのかは分かりません(失礼!)が、キン・シオタニの個展。作品同様にほのぼのとした空気が漂っておりました。折しも作家在廊中とあって生キンシオに遭遇。TVKの旅番組(?)『キンシオ』で見かける姿そのままに、ファンの方々?と歓談しておりましたよ。

 

本職がイラストであるかはともかく(これまた失礼)、番組では「読めそうで読めない地名の旅」といったニッチな切り口でたまに見てしまうくらいの認識でしたが、翻ってみれば常日頃その作品は目の前にしていたのですなあ。何しろ、個展の会場となっている商業ビルの外壁、入口部分を大きなキンシオ作品が飾っていたのですから。

 

 

ちなみに「FROM CHUBU TO THE WORLD」とありますのは、このビルが「フロム中武」という商業施設だからなのですね。館内には、天井の低い昭和な空間に、占いのブースやら鉱物・化石の専門店やら仏壇屋さんやら結婚相談所やら、独特な店舗が端々に陣取っている。立川には、伊勢丹も髙島屋もあって多摩地域においては新宿感を出している一方、昔ながらのこうした商業施設があるのが地方感を湛えているのが心安いといいますか。それだけに、この中武デパート(後にフロム中武と改称)ともうひとつ、駅のすぐ脇にあった第一デパートが再開発でタワマンになってしまったのは、少々寂しいような気もしたものです。

 

ということで、日和に釣られてぶらりと歩いた立川駅界隈。ややキンシオ的なそぞろ歩きになったかもしれませんですねえ。