世界屈指の放射能泉であり、心と身体を癒してくれる三朝(みささ)の湯。
高濃度のラドン含有量を誇り、三たび朝を迎えると元気になるとされています。
どこか懐かしい昔ながらの湯治場の雰囲気が漂う湯の町の風情に心もなごみます。
三朝温泉公式サイトにはこんな温泉の特徴が記されていますけれど、先にも触れた「低線量被曝」、「ホルミシス」といったあたり、三朝の湯の特別さに触れておくといたしましょうね。ただ、その特別感は説明されないと分かりにくいわけで、宿(依山楼岩崎)の中にも観光案内所にも、いろいろと説明パネルが展示されたりしておりましたよ。
まずもって、放射性元素であるラジウムを含む鉱石の層を温泉水が通り抜けて来る際に、ラジウムが崩壊(気化?)して水に溶ける気体・ラドンが温泉に含まれるようになると。ラジウム泉とかラドン温泉と言われる由縁ですなあ。
ラドンは微弱な放射線を放出していますので、これが「低線量被曝」ということであり、また「その刺激で体の免疫硬貨を高める効果」を「放射線ホルミシス効果」というのであると。とはいえ、「被曝はやっぱり被曝でしょう?」という疑問にはこのような説明が。
ラドンの半減期は3.8日であり、身体中の滞留時間も短く50%は約20分後に消失します。放射性物質が長期間体内に残り被ばくする心配はありません。(放射線の安全に関するガイドブック、2012年、NPO健康と温泉フォーラム)
ということで、「温泉に入って深呼吸!」とラドンをいっぱい取り込んじゃいましょうということになりますな。ですので、宿の大浴場で最強なのは?ラジウム蒸気風呂でありましょう。閉じられた空間にはラドンがたんまり漂っているはずでして、三連泊の滞在中、たんまりとこれを浴びてきましたですよ。
ちなみに、大浴場にはカメラ機能の付いた機器は持ち込み禁止(まあ、当然ですかね)なので、取り敢えず配置図だけですが、これだけいろいろありますと大浴場の中を回遊して、自ずと滞在時間が長くなりましょう。温泉に浸かると効果がありますよと言われるだけでは長居しかねるところもありますが、これも工夫ということで。
右の湯と左の湯は夜中の清掃を経て、女性用、男性用が日替わりになりますので、長逗留でも飽きることがない。個人的には左の湯の方がより楽しい(?)設えでしたなあ。ところで、気体としてラドンを吸い込むばかりでなくして、ラドンの溶け込んでいる温泉水を飲む、要するに「飲泉」も容易されておりましたよ。独特の風味がありますが、決して飲みにくい味ではありませんでした。
とまあ、そんな三朝温泉の湯に朝昼晩と浸かり、宿の近くをぶらりとしては飲泉をごくごくと。いわば、カルロヴィ・ヴァリ(かつてはドイツ語名でカールスバードと呼ばれたボヘミアの温泉地)で過ごすゲーテのような…と言っては大風呂敷になりますなあ(笑)。ちなみに、鳥取には「大風呂敷」という名の銘菓がありましたが、「大風呂敷を広げる」てな言い回しには余りいい含みではないところながら、名前の由来はこんな具合で。
ここ山陰地方では昔より婚礼を始めとして“慶び”ごとには 必ず木綿地に家紋を染めぬいた大風呂敷を用意して祝う習わしがありました。私共はこの珍重されているこの風習に因み、「山陰の旅の思い出に」、そして「大切な人への一品」として謹製いたしました。(製造元・宝製菓HP)
大浴場入口前に設けられた土産物コーナーにも置いてありましたが、鳥取銘菓というとどうやら「因幡の白うさぎ」の方が推し度合が大きいようで。買ってよかったお土産の全国1位だそうですが、はて…。
またしても余談に走りましたですが、要するに三朝の湯は世界屈指のラドン温泉なのでありましたよ。マスコットキャラクターは「湯けむり怪獣ミササラドン」と。『空の大怪獣ラドン』とはずいぶんと異なって、ほのぼのと親しみやすい。温泉の印象もしかりでありましょうかね。