…てなことで、大阪の造幣博物館を訪ねて3階の展示室へ。ここでは、大阪造幣局ができる以前、遥か昔に遡って貨幣の歴史を辿れるということ…なのですが、東京・日本橋にある日銀の貨幣博物館(こちらではコインも紙幣も扱っていますですね)の展示と少々被るところもありましょうから、掻い摘んで。

 

 

現在の硬貨につながる貨幣の始まりはおよそ3500年前の中国で使われた貝(子安貝)であったと。そんな起源からして、(なにせ中国ですから)「お金と経済にかかわりのある漢字には、貝の字のつくものが多く」あるとはよく知られたところですな。

 

貨、財、貯、賃、貰、貸、費、貢などは関わりのほどが分かりやすいですが、中には賀とか責とかいうものも。元を辿れば、「賀」は「貝を贈り物にして祝う事」、「責」は「貸しを返せと相手を責める事」であったとなりますと、「金の切れ目は縁の切れ目」とは遥か昔からのこととも思えてくるような…。

 

 

その後、「春秋時代から戦国時代(西暦前770年~221年)にかけて」金属製の貨幣が流通するようになり、それがやがて円形に。穴無しだったものが穴(孔)あきに代わり、「孔(穴)も初めは円形でしたが、製作上の便宜から「四角の孔(穴)」に変化していったのであると。ちなみに、円形・四角孔の形でもって初めて額面(金額)を入れたのが秦の始皇帝の時であったそうな。

 

 

この形が後世に受け継がれて、日本にも入って来て「富本銭」や「和同開珎」のモデルになったとは、始皇帝に始まるものはいろいろとあるものですなあ。

 

 

そんな流れで日本でも造られるようになった貨幣のその後には、さまざまな種類があるわけですけれど、そこはばっさり、現代まで飛ばすことにいたしまして…。

 

先にも2021年に新しい500円硬貨が流通するようになったと触れましたですが、現代でも新しい貨幣が出てくることはありますですね。このほど紙幣が新しくなるのに乗じて「古い紙幣は使えなくなる」的な虚言を弄する詐欺が横行しておるようですけれど、こんな表にしげしげと見入ってしまいましたですよ。

 

 

どんな硬貨が今でも使えるのかという表でして、昭和23年(1948年)発行の穴無し五円玉ですとか、昭和30年代に発行されていた、今よりも大きな50円玉(最初は穴無し、やがて穴あり)ですとか、見かけることはほとんどなくなってはいても「使える」ということが示されておりました。

 

そんなところでふと思い出しましたですが、欧州の多くの国がユーロ経済圏になって久しいところながら、それ以前の各国通貨の紙幣やコイン、これが手元に残っているのですが、はてどうしたものか…。フランス・フラン、ドイツ・マルク、イタリア・リラ、スペイン・ペセタなどなど、今となっては響き自体が懐かしい気もしますけれど、ユーロへの切り替えに際しては一定の猶予期間内に両替することが求められておりましたな。日本に居ながらとなれば、外貨に強い東京銀行(当時、現在の三菱UFJ銀行)あたりでおそらくは何とかしようもあったのかも。この時期を逸した今となっては、もはや現実的な通貨としての価値は無いことになり、あるとすれば歴史的価値(骨董品?)なのかもしれませんですね。

 

と、話しが余談に及んだところで、造幣博物館の展示はいよいよ最終コーナー、記念貨幣や外国貨幣のお話となってまいります。長くなっている造幣博物館の振り返りも次回が最後(となる予定)でありますよ。