京阪電車を枚方市駅で下車して、京街道枚方宿の名残をゆらゆら見て回ったわけですが、町歩きにしても、高台の御茶屋御殿跡展望広場へ登るにしても、キャリーケースをごろごろ引き摺りながらであった…とは以前申したとおりでして。枚方で宿泊無しに歩き廻るのであれば、枚方市駅なり枚方公園駅なりでコインロッカーが預ければよかろうに…とは我ながら思うところながら、枚方を離れて大阪市内に向かうのに京阪電車の駅に戻る必要がなかったもので、それ故のキャリーケースごろごろと相成った次第。なんとなれば、枚方~大阪市内の移動は船だったから、なのでありますよ。
そも「京阪淀川紀行 旅の始まり編」で触れましたように、季節運航の船便の発見は大いに旅立ちの背中を押すことになっていたわけでして、「淀川浪漫紀行」と銘打って大坂水上バスが運航する淀川下りの船に乗ることは今回のハイライトの一つ。鍵屋見物の長逗留も、昔ながらの船待ち宿そのものの利用法でありましたよ。ということで街道筋を離れて、再び淀川堤に戻って目指すは枚方船着場でありました。
洪水に備えて?広くとった河川敷を進んで行くわけですが、少々気になるのは小さな独楽をひっくり返したような塔はなんぞ?ということですなあ。展望塔のように見えますが、登れるのでありましょうや?
近付いてみれば、これは「枚方水位観測所」という国土交通省淀川河川事務所の施設であるようで、高いところから水面を観察する?かと思えば、さにあらず。塔の地下が淀川に繋がっているということで。
水位計で観測したデータは関係各機関に配信されるそうですから、もしかすると水防団員のところにもアラートが発せられて「すわ、出動!」てなことになったりするのかもです。という、ちょいと寄り道はともかくも、たどり着いたのは枚方船着場、乗り込む船もほどなく到着いたしました。
が、実は淀川の河川敷は至って見晴らしがいいものですから、ここに至る以前に眺めやって「船着場はどこぞ?」と思っていたのですなあ。横浜港大桟橋のような立派なターミナルがあるものと思っていたわけではありませんけれど、乗船受付をする小屋くらいはあるのでは…という予想は大はずれでありましたよ。
で、船はこちら。「ひまわり」というネーミングの由来はともかくも「明治時代に淀川を往来した川蒸気船をモチーフにした船」(大阪水上バスHP)とは、なんとはなしレトロモダンな印象はあるにはあるような。大阪市内から上り船でやってきたお客さんがぞろぞろと下船していったわりには、折り返しの下り船には、乗客が5~6人だけだったですかね。
繰り返しになりますが、京阪電車の特急に乗ったとすれば、枚方市駅から(下船場最寄りの)天満橋駅までおよそ20分、運賃は350円。同じ区間を「ひまわり」で下ると、所要3時間でツアー料金6,000円(昼飯の弁当・お茶、鍵屋資料館の入館券込み、そして船中語り部による説明付き)ですから、豪華客船クルーズとまでは言いませんが、(コスパ、タイパ度外視の)実に贅沢な船旅でもあろうかと。
ということで、大阪天満橋の八軒屋浜船着場までゆるゆる3時間に及ぶ船下りに、まずは枚方大橋をくぐるべく出航と相成りました。