幕末がらみの歴史歩きはひと段落して、さてと昼飯のお時間。行列を大いに厭う性質としては、端から強いこだわりはもたないようにしておりますが、何分にも前日の昼が結果的にもせよ、テイクアウトの「流れ橋カレー」だったものですから、少しは有名な店にでも行ってみようかということに。伏見の細い路地を何度か曲がって進むうちに到着したのがこちら、鳥せい本店でありました。
旅行ガイドブック(「るるぶ」とか)掲載店ですので、観光客で混み合っていたら即退散と心づもりしておりましたけれど、幸いにも順番待ち1番となれば、さすがにそれくらいの待ちは許容範囲。ほどなく案内されましたが、なるほど席は見事に埋まっており、やっぱり観光で来られたらしいご夫婦と向い合せの相席となりました。
「おしながき」をちらり眺めて、おそらくはこれがランチメニューとして定番であろうと思われた「とりめし定食」をチョイス。朝からずっと歩き廻っていましたので、これに一口生ビールを添えることも忘れずに(笑)。
欠食児童状態なれば勿論おいしくいただいたわけですが、食しつつも改めておしながきを眺めやっておりますと、「あらら、一口生原酒もあったか…」と遅まきながら。よくよく見れば、どうやらここのお店は「神聖」銘柄の造り酒屋・山本本家が手掛けていたようで。道理で入口のお隣に直売店があったわけだと気付かされた次第でありますよ。
で、お店では生原酒を飲み損ねましたですが(昼間はかなり控えめにしているもので)、「神聖」銘柄のお酒は自宅近所のスーパーで何度か購入したことがあって(コスパの点でも)お気に入りのひとつだったという。ですので、旅を終えて帰宅後にもさっそく当該スーパーに赴いてしばらく「神聖」を楽しんだ…は事後の話ながら、予て「神聖」の瓶にはこのようなタグが掛かっておることに気付いておりましたが、その謂われのありがたみを伏見に来て思い知ることになったわけなのですな。
京都伏見は京都盆地の南に位置し永年の月日をかけて流れてきた地下水の宝庫です。山本本家が酒造りに使っている「白菊水」は創業の地、現在の場所で汲みだされており、創業以来商いを行っております。
思い返せば中書島駅前で「幕末のまち伏見」という説明書きを見かけた際、併記されていた「名酒のまち伏見」の中にはこんな記載があったりも。
かつて「伏水」と書かれた伏見は、古来から良質の水が豊富に湧き出る地。その水から造られる酒は、まろやかで口当たりがよいとされてきました。
そして月桂冠大倉記念館で見たビデオ上映では、伏見の地下にはかくも地下水があるのであるかという資料が出て来たりもしていたわけでして。
そんなことから、かつて伏水と言われた伏見は地下に巨大な貯水タンクを抱えており、それが各所に湧いているのであるということで、山本本家には「白菊水」が、月桂冠には「さかみづ」がそれぞれ湧き出しているそうな。ですので、(どこで手に入れた案内だったか忘れてしまいましたけれど)「伏見名水スタンプラリー」なるイベントも開催されていたようで(5/31終了)。
訪ねた頃にはまだ開催中でしたけれど、参加はしませなんだ。押印ポイント10か所のうち、結果的に出向いたのは4か所きりではスタンプを押して回っても応募には至らないところでしたですよ。
ちなみに10か所のポイントのうちで唯一、環境省「名水百選」に数えられているのが御香宮神社に湧き出ている「御香水」であると。すでに御香宮の境内にはちらりと足を踏み入れた話をしたですが、その際はほんのとば口だけのことでしたので、次には改めて御香宮につきまして振り返っておこうと思っておりますよ。