なにやら国立天文台三鷹キャンパスの話だけで長くなっているところではありますが、ともあれ、見学コースの最奥部にやってまいりました。見学MAPには「天文機器資料館」とありまして、昭和の建物ですので重要文化財などに指定されてはおりませんけれど、やはり現在は役目を終えて資料館になっているようです。

 

 

かまぼこ型の大きなドームは、左右に開くと地下まで掘られたロケット発射台からサンダーバード1号が飛び出すのではないか…とまあ、そんな想像をさせる建物ですけれど、もともとの正式名称は「自動光電子午環」であるとか。内部に設置された「望遠鏡は、天体の位置を精密に観測できるように特殊な工夫が施されたもの(子午環)」だったのだそうでありますよ。先に見たゴーチェ子午環の後継機であるようです。

 

 

されど、2008年にこの建物が「国立天文台に残された歴史的に貴重な観測装置、測定装置などを収蔵」する天文機器資料館となって以来、この望遠鏡も歴史的展示物のひとつとなっているようで。とはいえ、その展示のようすは(こう言ってはなんですが)場末の骨董屋の店内であるのよう。レトロとも思える機械も含め、数々の危機が所狭しと(つまりは雑然と?)置かれてあるといった印象かと。

 

 

 

 

まあ、ガラスケースに陳列されているものなどは何とも言えぬ年代感をまとっていますけれど、こんな(変哲もない?)ビデオ一体型テレビもまた歴史的に貴重な資料なんでしょうか…。わざわざ「触るな」とここにあるのはたまたまですかね?…。

 

 

テレビはともかくとして、おそらく見る目のある方ならば、堆く積まれた展示品の数々に「おお!」とか「ああ!」とか思うところかもですなあ。そんな天文素人ではありますが、「ほうほう」と目を向けたのが時計なのですよね。天文と時刻は切っても切れない関係にあるわけですし。

 

 

こちらの巨大メーターが乗っかったプロパンガス・ボンベのような形状をした「リーフラー時計」は、形こそ町工場の片隅に並んでいそうなものながらも「原子時計出現まで日本を初め世界各国の標準時を保持していた時計」であったとか。高性能さは見た目では分からないものです。

 

 

で、これが「セシウム原子時計」ということで、一見したところでは放送局に置いてあるアンプかとも思うところですが、このような説明書きがありましたですよ。

セシウム原子時計は、セシウム原子の吸収・放出する電磁波の周波数を利用した時計です。1967年から国際的な1秒の定義は「セシウム133原子の基底状態の2つの超微細準位間の遷移に対応する放射の9,192,631,770Hzの継続時間とする」とされています。差は1億年に1秒(10の-15乗)程度とされています。

もはや誤差とも言えない誤差の範囲という気もしますですが、科学の世界では常に「より正確に」も合言葉のひとつなのでしょう、しばらく前のEテレ『サイエンスZERO』では「光格子時計」というのが開発中であるということでしたですね。その誤差、何と300億年に1秒とは!もはやほんとかどうか、ヒトには確かめる術もないような…。いうもありますけれどね。

 

てなことで、国立天文台を訪ねてどうにも歴史的なるところばかりが見学コースになっていたようにも思うところですけれど、次には(これで国立天文台のお話は最後となる予定ですが)最新、最先端のプロジェクトの一端を見ておくことにいたしましょうね。