単なる水族館とは思われぬ「縄文への誘い」から始まった「アクアマリンふくしま」の、いよいよメインビルへと進んでまいります。ところで、入口部分には「見たところ、あれだな!」と思しき魚のオブジェが飾られていたのですな。
ひれが大きいあたりで想像がつこうかと思いますが、シーラカンスですなあ。同館は本館1階に入って早々は「海・生命の進化」というコーナーになっておりまして、なんでも「シーラカンスプロジェクト」なるものにも手を染めておるそうな。
でもって、「生きた化石」といわれるシーラカンスの標本が大々的にを展示されておりまして、左側が「アフリカ・シーラカンス」、右側が「インドネシア・シーラカンス」なのだとか。この「2種を同時に見られるのは世界でもアクアマリンふくしまだけです」とは自慢でありましょう。さらに、インドネシアやアフリカに出向いた調査の中では、シーラカンスが泳いでいる姿を映像に収めることにも成功したとなれば、なおのことでしょうなあ。
ちなみに(単に個体差なのかもですが)2種を比べると、アフリカ産よりもインドネシア産の方がやや大きい感じですな。アフリカゾウとインドゾウの関係ではありませんけれど、なんとはなし、アフリカの動物がやけに大きいと思ってしまうところながら、インドネシアにはコモドオオトカゲのような存在もありますから、こちらもアフリカに負けず劣らず独特な生態系が保たれているのでもありましょう。
と、そんな生命の進化にまつわるコーナーを抜けますと、長い長いエスカレータでもって一気に最上階の4階へ。ガラス天井から陽光が燦燦と降り注ぐ下には「ふくしまの川と沿岸」というコーナーが展開されています。山あり海ありの福島の、川の上流から下流へとたどってやがて海に至る中、生物相の変化を順々に展示しているのですな。
上の写真は中流域で、水槽にはアユなどが元気に及びまわっていましたですが、川の上流から下流、さらには海へという展示は、先ごろにも「相模川ふれあい科学館アクアリウムさがみはら」でも見たものの、単に水槽が並ぶのでなくして、かくも植物に覆われたようすで再現されますと、それらしい雰囲気が出ようというものです。とにかく大きな施設なればこそでしょうなあ。
その後には福島から離れて、寒い「北の海の海獣・海鳥」(ゴマフアザラシやエトピリカが飼育されてました)や、反対に暑い「熱帯アジアの水辺」といったコーナーが続きます。
後者などは、マングローブの解説(つまりは魚がたくさん集まる場所でもありますが)やらがありまして、「世界最大のランが開花!」と紹介されるに及んでは、水族館というよりも熱帯植物園かとも思えるような。
とまれ、そんな熱帯植物園状態を抜けますと、熱帯の海の中へ。これもまた見ようによっては海中植物園のような趣きにはなりましょうかね。サンゴ礁は植物ではないにせよ、その色とりどりのようすからして。で、サンゴ礁の海の水槽がまた幻想的な演出になってましたですよ。
上から降り注ぐ光線が水に揺らめいて、いつまででも見ていられそうな。ですが、ここまでを振り返ってみて、水族館に来ているというのに全く魚にクローズアップした写真がありませんなあ(シーラカンスを除いて)。関心が違うところに向くとなれば、決して水族館として本意ではないにもせよ、それだけの個性がこの施設にはあるということになりましょうかね。
ところで、スロープを下りて階を下ったところにまた、アクアマリンふくしまの目玉展示があるのです…が、それはまた(恐縮ながら)次の機会ということで。