2月も終わりですなあ。だいぶ日差しは暖かくなってきてますが、いやはや風が冷たい。唱歌『早春賦』の歌詞の通りでもあろうかと思うところですなあ。とまれ、そんな折も折、国営昭和記念公園のHPには「遅咲き品種も開花をはじめ、全体として見頃でご覧いただけます」と、梅の見頃というお知らせが出ていたものですから、自転車を押し戻すかとも思われる風に抵抗しながら出かけていったのでありましたよ。

 

 

昭和記念公園の場合は「梅林」というほどに梅が林立しているのではありませんですが、それなりに今が盛りと咲き誇るものもありましたな。ですが、「見ごろ」とは「満開」とイコールではないのであるなと、今さらながら。梅にも早く咲くもの、遅く咲くもの、種類がたくさんあるのでありましょう。

 

 

ただ、桜には満開が似合う一方で、梅には「見ごろ」くらいのちらほら感があった方が情趣を誘うところがあるような気もしたものでありますよ。「梅一輪一輪ほどの暖かさ」と詠んだ服部嵐雪の心持ちにもなろうかというわけで。梅が一輪開くごとに春が一歩近づくような…なんとも風情があるではありませんか。

 

 

ところで梅の花をじいっと見ていてこれまた今さらながらですけれど、いわゆる梅の花といえば家紋などの意匠に数々のデザインが見られるもの(例えば梅鉢紋とか)こそ「梅」と思ってしまっていたところながら、その実、梅の花にも(早咲き遅咲きという咲く時期の違いだけでなしに)あれこれ種類があるのであったかと。上の花は八重咲きだったりしますしね。「見驚」と名付けられているように、見る者を驚かせるほどの立派な花を付けることが命名由来のようでありますよ。

 

 

 

で、上は一重の「大盃」、下は「八重野梅」という品種であるとか。野梅と名のつくものはともあれ、多くは品種改良で生まれたものかと想像しますが、こうなってきますと、もともとの「梅」とはどんなであるか?と分からなくなってきたり…。それこそ、家紋のデザインに見るようなものと思ったらいいのでありましょうかね。

 

とまあ、後付けも含めてそんなこんなの探究をするうちに、ウメという植物は分類的にはバラ科サクラ属に入るということなのですなあ。梅と聞くだけで古風な印象が生じるところですが、系統的にはバラより下位、さらにサクラよりも下位に位置しているとは?と。さりながら、そもそも植物の分類がリンネに始まる西洋で作られたものが元にあるとなれば、彼の地では梅よりも薔薇の方が身近な存在ということになるのかと思ったりしましたですよ。

 

今年2023年の冬は、時折やたらに暖かい日があったりもすることで、桜の開花は至って早めの展開となる予想のようですけれど、今はまだもそっと冬から春へとじわじわ移り行くさまを味わう頃合いでしょうかね。見ごろという梅の木の足元では福寿草の黄色が冬枯れの芝地に彩りを添えておりましたよ。春は近いようですね。