このほど静岡を訪ねたのは昨2022年の12月。年明け(2023年)には大河ドラマ『どうする家康』が始まるのを当て込んだ「大河ドラマ館」なんつう施設が、静岡浅間神社内に設けられるとは聞き及ぶも、訪ねた当時にはまだ先のお話でして。一方で、駿府城公園の近くにも新しい博物館が建設中でありましたなあ、こんな具合に。

 

 

2023年1月13日にグランド・オープンですので、今となってはすでに全面開館しているわけですけれど、逆にプレ・オープン段階のようすというのは貴重?というべきでありましょうかね(笑)。開館のひと月余り前となっていたこともあり、建物としてはすっかり出来上がっておりましたですよ。

 

 

ですがプレ・オープンで入れるのは1階のエントランス・フロアだけでして、「家康に会いにゆく」とのコンセプトはグランド・オープン後のことなのでしょうなあ。取り敢えずの見どころはふたつです。ひとつはこちらでして。

 

 

まさに博物館が建てられた場所が遺跡であるというわけですね。「戦国時代末期の道と石垣」の遺構そのものが、エントランス・フロアの中央に陣取っているという。こうした博物館内での露出展示は「全国的にも事例の少ない」ことであるそうな。道の両脇には野面積みの石垣が並んでおりまして、駿府城近くに武家屋敷が連なるようすは『ブラタモリ』で紹介されていた通りですけれど、そんな往時を偲ばせるものでもあろうかと思うところです。

 

 

そしてもう一つがこちらの「ギャラリー」、駿河の大きな絵地図を背景にして時代ごとの遺物が展示されているのですな。こちらは縄文土器でありますよ。

 

 

焼津を巡ったところで「静岡には縄文遺跡が少ないような…」と思ったわけですが、全く遺跡が無いわけではないのですな。ただ、かなり落ち着いた意匠は(思い込みかもしれませんが)弥生への移行を窺わせるような。実際、この土器が出土したのは三保の松原にも近い清水天王山遺跡であって、縄文後期のものだそうでありますよ。

 

 

弥生時代になりますと、稲作のできる稲作適地の平地が多かったからか、遺跡は各段に増えるようで。その最たるところが歴史の教科書にも載っている「登呂遺跡」でしょうか。「日本で初めて住居や倉庫と水田が一緒に発見された遺跡」であるが故の知名度でありましょう。静岡には何度か来ていながらも「登呂遺跡」は訪ねておりませんでしたので、この後、行ってみましたので、そのお話はまた後で。

 

で、一件一件つぶさに見ていくと長くなりますのでちと端折ってしまえば、続いて古墳時代の銅鏡、奈良時代、駿河国分寺跡から出土したという鬼瓦、平安時代の舞楽面、鎌倉時代の仏像などが並んで展示されておりました。分けても、この鎌倉時代作という仏さま(複製展示)はお顔立ちが何とも現代風で、印象に残りましたなあ。

 

 

とまあ、プレ・オープン段階ではこの程度ということになりますですが、グランド・オープンの暁には、2階、3階と数々の展示が展開されるわけですから、「こりゃあ、やっぱり見に来ねばならんなあ」と敵の術中にまんまとはまることになりますな。もっともオープン当初、さらに『どうする家康』が放送されている2023年度中は大いに来場者で賑わうということになりましょうか。混んでいるところには全く近づく気はありませんので、静岡市歴史博物館の全貌に触れることができるのはまだまだ先のことになりそうでありますよ(笑)。