さてと、静岡県焼津市を訪ねて一日、レンタサイクルで走り回ったお話も最後となりまして、あちこち見聞の落穂拾いということに。

 

そもJR東海道線の焼津駅前では「鉄道100年記念碑」やら「小泉八雲記念碑」やらを見かけたわけですが、実はもうひとつ目にとまったものがありまして、こちらの万葉歌碑なのですなあ。

 

焼津辺に吾が行きしかば駿河なる阿倍の市道に逢ひし子らはも

作者は春日蔵首老、常陸介として関東に下向し、任期を終えた帰り道で詠んだ歌ということですけれど、この歌が詠まれたであろう奈良時代には「焼津」という地名が定着していたようで。東海道を歩いて、焼津あたりからだんだんと遠のきゆく富士の山を振り返りつつ詠んだのかもしれませんですなあ。

 

実際、今では日本坂トンネルが貫通する山並みを避けて焼津の海岸線に出てみれば、富士山がよく見える…ということだったのですが、訪ねたときはうっそりと雲が掛かっておりまして。ただ、観光協会の方に焼津市役所の最上階・7階にある展望ロビーは見晴らしが良いと教わりましたので、ちと立ち寄ってみた次第です。

 

 

2021年に建て替えられたという市庁舎はぴかぴかでしたな。たかだか7階といっても周りに高い建物がありませんのでなるほどの見晴らしですが、まあ、足元は漁師町の佇まいを遺してもいるような。

 

 

で、ご覧のとおりに雲が湧きまくっておりますけれど、思い切り目を凝らして、というか望遠を効かせてみれば「おお!」、辛うじて富士山が姿を覗かせておりましたですよ(分かりますかね…)。

 

 

とまあ、すっきりとした富士の姿は望むべくもなかったものの、果たして海岸線に出てみたらどうであるか?と、実に諦めが悪いといいますか(笑)。昼食で立ち寄った「うみえ~る焼津」の裏手が「親水広場ふぃしゅーな」という公園になっておりまして、こちらにもちょっとした展望台が。

 

 

結局のところ、こちらでも遠望はききませんでしたですが、展望台の向こう側に何やらモニュメントが設えてあったのですなあ。「富士山に出会える海岸」として「恋人の聖地」に認定されたとは、いささか気恥ずかしくなるといいますか…(富士山、見えないし…)。

 

 

ハート・マークらしき形の中には何と!カツオの頭を模したベルが付いているという。個人的にはなかなか付いていきにくい世界に突入しているような気もしたものでありますよ。

 

ともあれ、いささか富士の眺望にこだわってしまいましたけれど、実際に望めるかどうかはお天気次第で致し方なし。今回、焼津で最もよく見えた富士山といえば、これですかね。マンホールの蓋に描かれた富士…。

 

 

ということで、焼津のお話はこれにておしまいといたしまして、次からは少々、静岡市で見聞したお話などを。今しばらくお付き合いくださいまし。