先に読んだ『やさしい猫』は深刻な問題を取り扱ってはいるものの、ほわんとした空気が漂うところもあったわけでして、そんな中、スリランカ人のクマさんにとって滞日経験の先輩である同郷人がスリランカ・カレーのお店をやっていたりするのに接しますと、久しぶりにスリランカ料理を食しに出かけようかなとも。そんな折、例によって気に掛けております近所のスーパーの値下げ品コーナー、ついついエスニック食材を買ってしまったりするとは先日触れたとおりですが、見つけてしまいましたですよ、かようななものを。半額になっていたものでして…(笑)。

 

 

エスビー食品で出しているケララカレーというもの。「スパイス華やぐ南インド風」というのに食い付いてしまいましたなあ。以前読んだ『インドカレー伝』で、そも南アジア地域にはざっくり「カレー」と言ってしまう料理は無いわけでして、それぞれの地域、はたまた家庭によって味わいも異なるところながら、ここに言う南インド風というのが、地域的にはスリランカにも近いものであるのかな…と、これまたざっくり考えてしまったりして。

 

 

袋の中にはこのようなスパイス類が入っている。簡単便利な固形カレールーで作るのとはかなりの違いが期待できそうはありませんか。他に用意するものとしては、チキンカレーですので鶏肉はもちろんながら、たまねぎ、りんご、にんじん、セロリ、にんにく、しょうがとなっておりました。

 

 

で、勢い前のめりでさっそくにもっとも調理にとりかかることに。さりながら料理に極めて不慣れな者としては、一工程ごとにえらく時間が掛かってしまうことになるとは、まだこの段階では気付いておらず。とにかく野菜類をあるものはひたすらみじん切りに、あるものはひたすらすりおろす。これだけでも大変な騒ぎでありましたよ。

 

 

一方、鶏肉の方の下準備としては、フライパンで焦げ目がつくまで強火で3分炒め、取り出しておくということですので、こんな具合になったのを脇に置いておいて、いよいよ本格的調味の開始となります。

 

と、実況の途中ではございますが、ここから先、スパイスを炒め、各種野菜を投入し、水を加えてカレーベースを混ぜ合わせ…というプロセスの逐一はお伝えできないのですなあ。何せ不慣れな者としては、火を点けた状態で次々と連続的に作業をしていくときどきで、写真を撮るなんつう技は持ち合わせておりませんで…(笑)。ただ、最初に粒々の状態のスパイスを炒め始めただけで、「くぅ~、香り立つぅ!!」となって以降、さまざま材料を加えることに香りに複雑さが出てくるあたり、これこそがカレー、というかスパイス料理の神髄でもあろうかと思ったり。で、結果として「いただきます!」となった段階がこちらでございますよ。

 

 

不慣れ、不慣れと申しておりましたが、材料の封を切ってからここに至るまで2時間半。いやあ、苦労を重ねたこともまた我が身に感じる隠し味となったのか、ことさらにおいしくいただくことができました。

 

まあ、それは良かったとして、毎度のことながらカレーは食べ始まると一瞬、あっという間に皿が空になる。その割に作るには手間暇がかかりますなあ。この「作る」と「食べる」のギャップは何もカレーひとつに限った話ではないわけで、今さらながらに作る側の苦労に思いを馳せたりしたものです。ちょいと前に家事労働に絡む過労死に関わる報道があったりしたですが、もちろん家事は料理を作ることばかりではありませんですね。

 

仮に夫婦の間で、片方が給与所得を得、片方が家事全般を仕切るという役割分担があったとして、所得を得ている側がそうでない側を「食わせている」てな発想はとんでもない間違いでありましょう。どちらが欠けてもその給与所得は得られなくなることを想起しなければいけんでしょうね。ま、カレーを作るくらいのことで話を広げてしまいましたですが、そんなことにも思い至るケララカレー作りでありました。遅まきながら、ケララとは南インドにある地名だそうです。

 


 

ところで、月例になってきている通院介助でもって両親のところへ行ってまいりますので、明日はお休みということで。このところは出向く度に、些細なものながら拙い料理を両親に食べさせておりまして、かほどに本格的なればケララカレーも作ってやろうかと一瞬頭をよぎりましたですが、あいにくと実に保守的な和食舌を持つ父親にエスニック料理は禁物。残念というか助かったというか(笑)。ということで、明後日(10/21)にまたお目にかかるといたします。