お店の方に「ここをお知りになられたのは、どうように?」と尋ねられ、
「通りがかりに、ああ、あるなと思って」と応えたわけですが、
しばらく前に自転車で宇フォーラム美術館に出かけた帰り途、その道すがらではなかったかと。
ということで、今回出向いてみましたのはチラリと見える国旗、あるいは右手の看板にある島の形でも
お分かりかと思いますが、スリランカ料理のお店なのでありました。
ともすると、インド、ネパール、スリランカ…このあたりをひっくるめて、いわゆるカレー料理を出すお店は
それこそどこででも見かけるわけですけれど、実際のところは南インドをざっくりひとまとめにして
料理を語れるはずもなく、地域的に似たものはあるにもせよ、それぞれに個性があるはずではなかろうかと。
時にはそういうざっくりしたカレー料理店に入ったりもしますけれど、
そこで「こんな南アジアの料理を食したのでありますよ」と書いたりすることが無いのは
日高屋に入って「こんな中国料理を食べてきました」と語ったりするまでない…てなことと近いでしょうか。
とまれ、このほど訪ねたお店「ニゴンボランカ」は、スリランカ最大の都市コロンボ近郊にあるニゴンボの、
いわば「おふくろの味」を受け継いだ家庭料理を提供しているところが、そこらのカレー料理店(失礼!)とは
違うところのようでありますよ。
そうはいっても、これまた日本でざっくり「カレー」と言ってしまうスパイス料理が主とはなりまして、
普通にランチとすると1種もしくは2種の味わいをお試しということに。
ですが、ここではバリエーション豊かに8種類盛り合わせというひと品の紹介が壁に貼られているのを見、
思わず「これを!」とお願いした次第です。
しかしながら、このひと品はバナナの葉っぱに乗せて提供するのがひとつのポイントであり、
今の時期、夏に向けてバナナの葉っぱが育っている最中で「やっていない」と寂しい返事が返ってきました。
以前訪ねたフィリピン料理店で出てきたバナナの葉は何であったろう…とちらり頭をよぎりましたが、
それはそれとして、「それでは、バナナの葉っぱ無しでお願いすることはできますか」と。
なかなか面倒なことを言うお客になってしまっておりますが、一端厨房に問合せた結果として、
壁の貼り紙とは内容が少々異なるもののそれでよければということでしたので、即OKということに。
何しろこの時は三人連れで出かけて、シェアするのにぴったりと思ったものですから。
結果、提供されたのがこちらのプレートでありますよ。
中央にはバースマティー・ライス(Wikipediaによりますと、バースマティーとはヒンディー語で「香りの女王」とか)、
そしてその上にのっているトルティーヤチップみたいなのが「パパダン」、
「ウルンドゥという豆の粉を揚げたもの。おつまみに」と説明あるとおり、これだけでもおいしい。
手前にあるのは「ココナッツサンボーラ」、確かにココナッツの繊維たっぷりの食感ですが、
ココナッツミルクで思い浮かべる味とは違い、スパイスの効いた「食事」の印象がありましたですね。
皿の向こう側は見えにくいですが、「カダラ」と呼ばれるひよこ豆の甘辛炒め、
それにイワシがまるまる一尾ついた魚のカレー、そしてナスのカレーなどが
汁気控えめなのでおかず然として配置されておりまして、これもそれぞれにおいしい。
これに加えて、サイドメニューとしてこのような品々も。
右側の大きな揚げ餃子のようなのが「パティス」(スパイスの効いたポテトを包んで揚げたもの)で、
左側では小さくまん丸の形をした「カテゥレット」(カツオ入りのスリランカ式コロッケ)がいけましたなあ。
全部の名前を覚えられませんでしたが、三角形のおやきのようなのも、
オランダでは自販機で売られている細長いコロッケのようなのも、
みな口に合うのは日本人向けにアレンジしているのでしょうかね。
思ったほどに辛くはない(といっても当然に辛味はありますが)ですし。
しかしまあ、こうしたメニューを目の前にしながらも、緊急事態宣言下では
ビール(カレー料理との相性を極めたという「コブラ」というビールがあるらしいのですが)が飲めない。
実に残念なところですが、食後にはスリランカらしく?セイロン・ジンジャーティーが出てきましたので、
ココナッツケーキをデザートとして(甘いもの一つまるまるは無理なので、おすそ分けで…)。
店に入って、メニューを眺めやったところでは「カレー」の文字が多く目についたのは
むしろ日本人にはその方が分かりやすいからでしょうかね。
さりながら、出された料理は日本人が想像するカレーとは必ずしも一致しない。
でも、それぞれにスパイスが効いておいしくいただきましたですよ。
てなわけで、またひとつ、異文化との出会いを楽しんできたのでありました。