東京・多摩センターにある企業博物館、KDDIミュージアムを訪ねたわけですけれど、ここにはギャラリーも併設されておるのですなあ。

 

 

と、「au Gallery」として、これまでに発売された携帯電話(後にはスマートフォン)のさまざまな機種が展示されている…のは、ミュージアムの方。これに対して、併設の「KDDIアートギャラリー」は正しく美術品の展示空間なのでありますよ。

 

 

ご存知のようにKDDIは通信事業の開放後にあれこれ出来た会社が合わさって現在に至っておりますが、そのうちのどこが持っていたのかは定かならずも、企業として美術品を所蔵しているケースはままありまして、時折蔵出し的にホテルオークラで「秘蔵のコレクション」展が開催されたり、美術館での企画展に貸し出されたり。ともあれ、死蔵されずに公開されているのはありがたいことですなあ。

 

 

では、こちらの入り口から中へ…とエントランスの大写しでお茶を濁す形なのは、残念ながら館内の写真はUP不可ということですのでね。まあ、日本の美術館では珍しいことではありませんけれど。


ギャラリーは(ミュージアムに比べ)さほどに広くはないですが、コレクションはタブローと、アール・ヌーヴォーのガラス工芸、エミール・ガレやドーム兄弟の作品はひとつの柱のようでありますね。タブローの方は、どうもオーナーが気に入ったものの一点買いが集まったふうですな。

 

「主な展示作品」は同ギャラリーのHPで見られますけれど、テオドール・ルソーやヴラマンク、東山魁夷に平山郁夫とバリエーション豊か。それだけに一点、一点、目を引くものでありましたよ。

 

取り分け(写真をUPできないのは残念ですが)「野苺を持つ女」は、世紀末としてはもはや時代遅れ感のあるアカデミスムの画家オイゲン・フォン・ブラースによる作品ながら、印象派ほかの新しい作風もアカデミスムも、時代を隔てることで分け隔てなく見ることのできる現代の者にとっては、その清新さに目を奪われてもしまうわけで。

 

もうひとつ、同じく世紀末頃に活躍したフェデリコ・アンドレオッティの「花の装い」もまた。いずれも、記憶する限り初めて目にした画家の作品と思うところながら、いいもの見たなというと画像(手元にはありますので)を振り返っておる次第です。

 

でもって、ガラス工芸品の方ですけれど、例によって(こういっては何ですがいろんなところで目にしますので)実に細かい細工であるなと感心しきりながら、これをこんなふうに大きくして見せてしまおうとは技術が売りの会社ならではでしょうかね。

 

 

特殊なメガネをかけて待ち受けておりますと、ガラスケースの中に展示されているエミール・ガレの「風景文花器」(実物は30~40㎝くらいの高さですかね)が目の前にでっかくなって立ち現れるという趣向なのですね。大きくなったもののぐるり360°を回って見られるのはもとより、これのユニークなところは器の中に入ってしまえることでしょうか。

 

中に入ったところで見上げますと、上にまあるく天井が見えるのみ。魔法のランプに閉じ込められた魔法使いてな気分でしょうか(笑)。こうなると、ひとつのアトラクションですなあ。こちらはこちらでまた、楽しく拝見してきたものなのでありました。