東京・福生市をぶらり歩いてたどりついた老舗の酒蔵・田村酒造場は玉川上水に面していたわけですが、ここからは少々上水を遡ってみることにいたしましたよ。

 

 

も少し下流、立川市や小平市のあたりになりますと、少々の深山幽谷らしさが漂うところでもある玉川上水ながら、この辺は用水路として作った感がありますなあ。それも最近の工事かと思えるような。そんな上水沿いにしばし歩を進めますと、加美上水公園という林間の園地に到達したのでありますよ。

 

 

玉川上水を右手に、左側には大きく下って多摩川の本流がすぐそばに見えるというロケーション。小高くなったところから左手を見やると、木立越しに多摩川を望むことができました。

 

 

ところで、(見えにくいとは思いますが)すぐ手前側が抉れているようになっておりましょう。ここがポイントなのですなあ…と言って、かような案内標を目にしなければ気付かなかったのではありますけれど…。

 

 

標柱には「福生市指定史跡 玉川上水旧堀跡」とあり、奥には解説板も。どうやら「水喰土」とはまた別に、完成後の玉川上水にも苦難が降りかかっていたのですなあ。解説板にはこのように。

承応三年(1654年)の完成から約九〇年が経った玉川上水では、多摩川の出水によって福生市内の一部で上水の土手がしばしば崩壊し、このままでは通水に支障が生じる恐れもありました。

そこで元文五年(1740年)に「洪水被害を避けるための掘り替え工事」が行われ、流路は現在のものになりましたが、玉川兄弟が工事したそもそもの流路跡がここに残されているというのでありますよ。

 

 

左手側は多摩川の河原に続き、右手には加美上水公園の高まりの向こうに現在の玉川上水が流れています。川に近いほど出水被害の可能性は高いのですから、最初から高台の向こう側に作っておけばと思うところながら、工事としてやりやすい方と採ったのでもありましょうか。長い長い全体像ですからねえ。

 

 

…というところで、加美上水公園の端、新堀橋(まさに新しく掘った側ですな)で玉川上水を渡り返し、JR青梅線の福生駅へと戻ることに。この先は上水沿いに進みますと200mほどで取水堰のある羽村市に突入してしまいますので、ぶらり福生散歩を逸脱してしまいますですからねえ(笑)。この日の総歩数は2万歩あまり。いやあ、歩いた、歩いた。