先日は周回遅れで見た「地球ドラマチック」からコウモリのお話をいたしましたですが、

これまた周回遅れのEテレ「サイエンスZERO」から「人類が絶滅の危機!?“中性化”と生殖の未来」という

放送回のことを。これがなかなかに驚きの内容であったものですから。

 

ひところ、「草食系男子」などという言葉が聞かれましたけれど、

どうやらこの現象?は「そんな感じがする」てな雰囲気の問題ではなかったようで。

 

そも女性の体として生まれるか、男性の体として生まれるかは染色体の違いによるわけで

相当に早い段階で決まってしまうところながら、性ホルモンの分泌具合によっては

脳との性認識とずれてくることにもあるようですな。

 

例えば男性ホルモンと言われる「テストステロン」の分泌は当然にして男性に多いわけで、

これが骨格形成などにも関わることから、いわゆる骨粗鬆症が女性に多いと言われるのも

関係があろうかと思うところです。

 

骨格のみならず、筋肉増強にもつながるホルモンですので、

旧東ドイツの国家ぐるみドーピングの挙句、競技会で女性選手が大活躍するも

その後、体がほとんど男性化してしまった…というドキュメンタリーもありましたですね。

 

ところで、このテストステロンの分泌が近頃、男性に減少する傾向がみられる一方、

女性では(比較的ですが)増加する傾向がある…とのこと。中性化と言われる所以ですな。

 

テストステロンは、ざっくりと言ってしまいますが、闘争本能を掻き立てられる、旺盛なチャレンジ精神を発揮する、

そんな場面で分泌が促進されるものとして、そういう状況、環境があれば男女に関わらず、増えるわけです。

 

もちろん絶対量の違いはありましょうから、性認識にはグラデーションがあるとされることも

こうした背景でもって(全部でなしに部分的にも)理解しやすくなるところであろうかとも。

 

とまあ、これだけの話にしてしまいますと、要するに最近の傾向なのであろうと思うところながら、

実際には遥か昔からだんだんと、だんだんと男性の「男性性」は減じてきているようで。

 

なんとなれば、かつてヒトが生きていくためには狩猟という、場合によっては生死を掛けた闘いを

日常的に行っていたのが、農耕を得て比較的穏やかさが増し、社会が成熟するにつれて

あからさまな闘争を忌避する方向に世の中が動いてきていますから、男性性の減少は必然として

起こってきたことでもあるようです。

 

そんなことを知るに及んで、日ごろから何かと「足るを知る」ことを是としてきているところながら、

こと男性については「そんなことを言っていては、どんどん中性化してしまう」てなことになりましょうか。

いささか厭わしくも感じていた「もっともっと」の感覚を抱くことが必要なんでしょうかねえ…。

 

もはやヒトは、生物の本能たる種の保存、存続のために生きているのではなくなっていますので、

生物の本能に帰ることはもはやできないでしょう。それだけに中性化の進行は緩急の違いはあるにせよ、

今後も続いていくのでしょうか。

 

番組では、その方向にあることを先取りして、「新しい生殖の仕組み」が研究されていることを

紹介していましたけれど、例えば、一人のヒトから得られた「iPS細胞」から精子と卵子をそれぞれ作り出し、

これを受精させれば、女性とか男性とかに関係なく、生殖行為も必要なしにヒトを作り出せてしまうとか。

その際、これも研究が進めらているらしい人工子宮を使うことによって、全く母体が無くても可能になるとか…。

 

ここで持ち出すのもなんですが「自然の摂理」なんつう言葉を思い浮かべたりしてしまいます。

必ずしも神様なるものが存在する(感じるという心性はあろうかと思います)とは考えていないのですけれど、

「神の領域」てな言葉もまた。可能性にかけて試行錯誤する、これもテストステロンを増やすのかもですが…。