しばらく前のことになりますが、夜といっても煌々と明かりの点いた自宅の中に

やおら一匹のコウモリが飛び込んできたことがありまして。

いったいどこから紛れ込んだものやら…です。

 

入ってきてしまったものの、暗い所好きなはずのコウモリにとっては明るすぎるのか、

レースのカーテンにしがみついたまま動かなくなってしまった…とは、ちと違いますな。

しがみついたままではありますが、リズミカルに体が膨らんだり縮んだり。

つまりは、おお、息をしておる!と思ったものです。

 

そのままにはしておけませんので、大きめの布に絡めとって窓から外へ離してやりましたですが、

後から思えば、ちゃんと消毒した方が良かったのかもと。

そんなふうに思いましたのは、放送日からはちと遅くなりましたけれど、

Eテレ「地球ドラマチック」の「驚き!コウモリの秘めたるパワー」を見たからでもありまして。

 

そも新型コロナウイルスはコウモリ由来などとも言われておりますけれど、

新型コロナウイルスばかりでなく、コウモリの体の中にはあれこれのウイルスがいるようですな。

さりながら、いっかなコウモリが感染症になることは無い。

なんとなれば、コウモリには独自の免疫システムが働いているということで。

 

ヒトの免疫システムであれば、体に害を及ぼすウイルスのようなものが侵入しますと、

これを排除すべくシステムが働き出すわけですね。例えば花粉症でしたら、

花粉が入り込んで免疫が働き出す(結果過剰な反応が症状になるわけですが)という。

 

ところがコウモリの場合は、ウイルスが入り込んでくる前から免疫システムはスタンバっており、

結果として入ってきたウイルスにより発症することもなく、共生してしまうようでありますよ。

 

世の中にはいろいろな分野を研究している方がおられますけれど、コウモリ研究も進んでおるようで、

新型コロナウイルスの宿主と思しきコウモリの鼻の内部構造が、どうやらヒトの鼻と近いことが分かったそうな。

つまりは、居心地よく共生していたコウモリの鼻と同じ(ような)ヒトの鼻は新型コロナが

喜んで入り込みたくなる場所とも言えるのかも。まったくもってありがたくない話ではありますが。

 

とまあ、ことほどかほどに人類を危機に陥れているウイルスを恐れることもないコウモリ。

夜陰に乗じてひらひら舞っているようなところしか見かけることがないものの、

種類によってはですが、水平飛行での飛行速度は時速160Kmに達するアスリートでもあると。

おそらくタカやトンビが獲物目掛けて急降下する時にはそもっと速いのかもながら、

こと水平飛行においてはトップクラスであるとは、鳥類もびっくりでありましょう。

 

そんな体力があるからこそでしょうか、体の小さい動物の寿命は短く、

大きな動物ほど長命の傾向があると(ヒトはともかくも)一般に言われておるところが、

小さな身体にもかかわらず、長生きなのだそうですよ、コウモリは。

 

差し当たり害獣にはあたっていないコウモリはヒトと敵対関係にもありませんし、

食用にされることもあまりありませんですね(食用コウモリというのがあるところにはあるようですが)。

つまりはおよそ駆除されたり、捕獲されたりする対象では無いとしますと、

ヒトの活動が限定的になる夜の世界でコウモリは栄華を極めているのかもしれません。

 

それこそ、ヒトの活動をも脅かすウイルスまでも味方(?)に付けているとなれば、

ディストピア的発想でいいますと、やがて地球はコウモリの星になっていくのかも…。

 

現在でさえ、地球上、南極以外の陸地にはほぼほぼどこにでもコウモリはいるようですし、

コウモリと仲良く暮らす方法を考えていかねばならんかもしれませんなあ。