オリンパスミュージアムを訪ね、八王子駅前まで戻ってインドネシア料理のランチを食し…と、

八王子までやって来ているのであるからと、ついでに八王子市夢美術館も訪ねたのでありました。

今回、敢えて「ついで」と申しましたのは、美術館としておそらくは夏休み企画なのでしょう、

開催中の展覧会が「しかけがいろいろ!とびだす絵本」展という、子供向け?なものであったからでして。

 

 

まあ、ついでということと同時に、以前ロンドンで訪ねたポロックス・トイ・ミュージアムの展示物を

思い出したりできるようなものもあるかもねと想像したのを立ち寄るよすがとしたわけですが、

これが期待を良い方に大きく裏切ってくれる展示であったように思えたのでありますよ。

子供向けでないとは言いませんが、子供よりは大人の方がより楽しめるのではなかろうかとも。

 

「とびだす絵本」と聞きますと、個人的には「ああ、万創の!」と思うところでありまして、

ページをめくれば、折り込まれていたキャラクターなどが確かに飛び出すように立ち上がったわけですが、

子供心にも「こどもっぽいな」という印象ばかりだったのですなあ。

 

さりながら、ここに展示されている数々の作品は、「作品」という言葉が似合う、

実に凝ったものがあることを今さらながらに教えてくれるのでありましたよ。

 

万創の、というか日本の飛び出す絵本、ポップアップ絵本はいわばポッと出だったかもですが、

仕掛け絵本は「18世紀後半にイギリスで出版された絵本に始まります」とフライヤーにありますように

工夫を積み重ねてきた歴史があるのですよね。

 

最初はプルタブのような部分を動かすと平面の登場人物が動くようになっていたり、

はたまた折り込まれた部分を開くと場面が進んだように見えるようになっていたり、

こうした工夫の果てにポップアップが誕生したのでありましょう。

 

それこそロンドンのポロックス・トイ・ミュージアムでも見かけたような

劇場仕立てで人形劇をやって遊ぶような装置なども絵本の仕掛けとして取り入れられたりもしたことでしょう。

 

そんな工夫が行きついた果てのポップアップは、作者にとっても創作意欲を掻き立てるものであるのか、

現代の「巨匠」と紹介されていたロバート・サブタの作品を画像検索してみれば、

こんな形で立ち上がるものがよくまあ折り込まれているものだと感心しきりにもなるわけでして。

 

館内では、いくつかの図形が立ち上がるようにするにはどのように折りたたんでおけばよいかを

展示解説もしていましたけれど、こういうのを見てしまいますとなんだか作れそうな気にもなりますな。

 

老後の楽しみ(といって、ほどなくかと思っておりますが)にでもしてみるかと、

その時は思うものの、図形の変化を頭の中で思い浮かべられる、数学脳とでもいいますか、

そうしたものが無いとするならば結局大したものはできないことでしょうけれど…(笑)。