非常にローカルな場所ながら実は国際的にも知られる(知る人ぞ知る?)芸術祭といった類が、

日本国内でもたくさんありますですねえ。東京・国立市を舞台に、同様の狙いがあったのか、

2015年に「くにたちアートビエンナーレ」というイベントが始まりました。

 

ビエンナーレですので、当然に2年にいっぺん…かと思えば、次に開催されたのは2018年とは?

そして、次が開催されるかと思われた昨年2020年段階では内容を見直すとして中止に…。

 

さまざまな意見があったようですけれど、募って設置する野外アートが恒久的なものであれば

(さほどに大きなものではないとしても)2年ごとに町なかに置かれる作品が増え続けるわけで、

そのあたりにも疑問が呈されたとかいうことも。分からないではありませんですねえ。

 

とまれ、過去2回のビエンナーレで設置された作品は厳然として市内に点在しており、

いささか夢の跡とも思しき作品群を、今さらながらに巡ってみようかいねと

国立市のさくら通りに出かけたという次第でありますよ。

 

 

さくら通りは文字通り、道の両側に桜並木が続いておりまして、

春先にはなかなか目を楽しませてくれる場所なのですけれど、

その沿道の並木の下に2018年のビエンナーレ参加作品が点々と置かれているという。

順に見ていくことにいたします。まずは「街の風景」というタイトルの焼きものによる作品です。

 

 

 

「有機的な丸みと柔らかな曲線が自然と人を、幾何学的なラインが都市をイメージ」させ、

国立という街の風景を表現しているということですけれど、まず目に入るのは真横から。

どうも前方後円墳でもあろうか…てなふうに考えた方が、深みがあるようにも。

見当違いかどうかはともかく、気ままに受け止めるのがこの手のものを楽しむポイントかと。

 

 

続いては「太陽の雫」という石彫作品。細かな彩色は印象派の色彩分割を思わせて、

太陽の雫というタイトルに「なるほど」と思うところです。

 

 

一方で、大小3つ穿たれた穴もまた雫のイメージでしょうか、

水玉の反射を見るように覗き込んでみるのも一興でありますね。

 

 

こちらは子ども向けの遊具かとも思うところですが、

タイトルは「神像(道ゆく人に幸福を・・・)」と、神様あらわる!なのだそうで。

 

抽象作品とは異なる親しみやすさはありましょうから、

「気軽に話しかけてください」という作者の言葉も分からなくはないですね。

ただ、抽象作品の方が頭を捻る楽しみがあるような気が…。

 

 

と、いかにもな抽象…ですが、「舞」というタイトルを見れば、

軽やかな動きとして想像できるも、鋼で出来ていますので本来的は重い重い。

 

 

設置にあたっては地下で相当に支えておらないと無理な舞の姿勢、

それだけに一瞬をとらえているとも言えましょうか。

 

 

お次は一点、見た目ですぐにイルカの跳躍と知れる分かりやすさ。

抽象作品には頭を捻る楽しみがあるとしても、毎度通りすがりに捻ってもいられませんから、

素直に軽やかで分かりやすい作品の方が、そこに住む方々にはいいかも知れませんね。

ただし、タイトルは「Dreams has a place」と、考えさせるところのあるものではありますが。

 

 

と、ここまで見てきて展示の半分になりますが、道沿いに設置されているだけあって、

立体作品ながらぐるり周囲を巡って見ることができないのが残念なところのような。

 

ビエンナーレにあたっては、そもそもこの作品はここに置かれる前提で制作されたのであるか、

そのあたりは分かりませんけれど、例えば箱根の彫刻もの森とか、

クレマチスの丘にあるヴァンジ彫刻庭園美術館とかとまでは言わずとも、

埼玉県立近代美術館のある北浦和公園のようなスペースに置かれた方が

作品には幸せ、見る側も楽しめるのではないかなあと思ったりしましたですよ。

 

ということで、もう半分の展示は「後半に続く…」となります。