先に、遅ればせながら作曲家エンニオ・モリコーネが亡くなったことに寄せてひと言書きましたけれど、
同じく作曲家の服部克久も先ごろ亡くなっていたのだったなあと、これまた遅ればせながら。
作曲家といいますと、歴史上有名な古典音楽の大家たちか、
あるいは歌謡曲(という言葉はもはや死語でありましょうか)でばしばしヒットを飛ばした人たちか、
こうしたあたりを思い浮かべたりするわけですが、その他雑多な仕事(とは不遜な物言いではありますが)を
たくさんこなしてきた、いわば音楽職人のような作曲家がたくさんおりますね。
服部克久もまた、その一人でありましょうか。
折しもNHK連続テレビ小説「エール」で古関裕而が取り上げらたりして、
音楽を必要とするさまざまな分野で活躍した作曲家、音楽家にちと注目されているころ合いかもです。
そういえば、先月あたりだったでしょうか、朝日新聞朝刊のコラムに「ドリフの時代、その音楽」という
ミニ連載がありましたですねえ。一世を風靡したTV番組「8時だよ!全員集合」は、
各種さまざまな音楽を扱い、パロディーにし、コントとの融合が図られていたのだということで。
単に「あっはっは!」と見ているだけだった子供もいれば(かくいう自身のことですが)、
この番組から聴かれる音楽の多様性に目を(耳を)奪われ、音楽の道を志した子供たちもいたとか。
そんな「全員集合」の音楽を支えていたのが、まず山本直純であったということでありますよ。
「大きいことはいいことだぁ~」という合唱を指揮するCMなどでも有名な山本直純もまた、
偉大なる音楽職人でありましょう。「全員集合」の開始早々、軽快なリズムに乗ってドリフの面々が
会場を通り抜け舞台に上がりますが、その時に流れるマーチ(?)は直純作ということで。
「全員集合」のコント台本ができるのは毎回ぎりぎり。
毎回生放送という中で、スタッフはさぞ大変な思いをしていたことでありましょう。
コントやら何やらのそこここにつける音楽もまた台本待ちで時間に追われる中、
山本直純は精力的に取り組んでいたそうでありますよ。
さりながらさすがに多忙を極めたため、門下生のたかしまあきひこにドリフの音楽を委ねることに。
この人がまた、偉大なる音楽職人なのですなあ。
コントが終わって場面転換をする際のせわしない中に流れる決まった音楽、
そして後に志村けんが入って作り出されたヒゲダンスのテーマ、これらはたかしま作なのだということで。
今でも頭の中に残るメロディーがたくさん生み出されていたわけですが、
これらの曲ほど多くの人の記憶に残っているメロディーは少ないのではないでしょうかね。
またここでひとつ思い出しましたけれど、
先ごろ倒産したレナウンの有名なCMソング、「ドライブウェイに春が来りゃ♪」という
この曲を作った作曲家・小林亜星もまた、実は人びとの記憶に残るメロディーをたくさん生み出しておりますなあ。
「この木何の木、気になる木♪」の、日立グループのCMソングも小林作ですし。
と、すっかりドリフやらCMソングやらという話になっておりますが、
取りあえず服部克久作品の振り返りとしては一枚だけ在庫にあったCDを取り出して。
かつてTBS-TVで放送されていたドキュメンタリー「新世界紀行」のサウンドトラック盤でして、
これの主題曲「自由の大地」が服部作品でありました。大きなスケール感のある曲ですよね。
80年代終わりから90年代にかけて放送されておりましたが、この番組、結構見てましてね。
おそらくこれの番組作りが今のTBS「世界遺産」に活かされているのでは…と思ったりもするところです。
ということで、話の入り口はともかくも、その後にあれこれ思い出しつつ書いていて、
記憶の底から数々のメロディーが噴出してきましたですよ。しばらくは鼻歌に困らないでしょうなあ(笑)。