別に駅弁大好き!ということもないのですけれど、どこかしらに出向く際に時として、

「こりゃあ、タイミング的に駅弁だな」てなことを考えることがあるわけでして。

 

今回新潟に出かけるにあたっては上野で上越新幹線をつかまえたのですが、

ちと遅い昼飯調達に新幹線ホームにある駅弁屋を利用したような次第。

とはいえ、上野で駅弁といって「はて…?」と思うに至ったのですなあ。

 

そも駅弁と言いますれば、旅の途中で列車が止まった駅で名物弁当がある、

だからそれを旅のひとつの楽しみにして…というのが、本来的な駅弁であろうかと。

 

関東地方で最も有名な駅弁といえば、信越本線・横川駅の「峠の釜めし」でもあろうかと思いますが、

やきものの釜に入っているというパッケージに特徴があるのもさりながら、

その中はご当地ものの食材で彩られている。だからこその駅弁の妙味ということなのではないでしょうか。

 

しかし、そうはいっても列車の高速化が進んで、途中の停車駅で弁当を買うことが無くなり、

昨今では車内販売までなくなりましたから、弁当が必要ならば乗車前に調達というのが当たり前になってきている。

となると、旅の途中で買うという駅弁本来の姿はもはや見られなくなつつあるような。

 

ですから、現代の駅弁とは駅でさえ買えばどんなものでも駅弁ということになってしまうのでありましょうか。

実際、先に挙げた「峠の釜めし」などは東京駅でも新宿駅でも大宮駅でもかえてしまうという…。

 

そんな現状であるだけに、結局のところ上野駅の駅弁屋で何を買ったのか。

もとより東京、あるいは上野らしいものを考えても詮無いことでもありそうで、

ま、遅めの昼であることもあって軽くと、手に取ったのはこちらでございますよ。

 

 

これを駅弁というか…みたいな逡巡はありましたけれど、

浅草のヨシカミという洋食屋が作っているという点では(上野だけに)ご当地感はあり…と

理屈をこねるまでもなく、単純にこれ「旨い!」ひと品でありましたよ。

そもこの手のものは手軽にぱくつけるものではあるも、これはじっくりと味わって食したい、

「うますぎて申し訳けないス!」とパッケージに書かれているが伊達でない稀有なケースかもです。

 

と、往路がこんな感じでしたので、帰路はもそっと駅弁らしさをかもす品を新潟駅で調達することに。

それがこちら、新潟の海の幸を詰め込んだ「まさかいくらなんでも寿司」というものでありました。

片隅に「駅弁」と表示されている、正真正銘の駅弁です(笑)。

 

 

ネーミングが微妙とは思うものの、「ま」は鱒、「さ」は鮭、「か」はカニ、そしてイクラ、

こうしたものがなんでも散りばめられた寿司であるからには、いたずらに付けられた名ともいえず。

で、また食してみれば看板倒れ感もない美味しさですな。

 

ま、こうした食材がのっていてうまくなかろうはずもないながら、ごはんが新潟産とはこれはこれで売りでしょうし、

前にふれましたように冷めてもうまいのが駅弁の条件のひとつであるとすれば、

その点でらし寿司は端から条件に合致もしているわけです。

 

ということで、最初のうち、駅弁はどうだこうだと言ったわりには

なんだかうまけりゃ文句もない…とてところに収束してしまったようなお話ではありましたなあ。