…ということで、お泊まりから帰ってまいりました。
それにしても、今回は何と天気に恵まれなかったことか。
出かけた先で最も有名と思われるスポットもこんな具合。
と、思いもよらぬ(ではありませんですか?)こたびのお泊まり先は浅草でありました。
ですが、こうした今さらめいたところもですね、
あらためてぶらぶらしてみるといろいろ面白いものがあるわけなのですよね。
父親も母親も浅草の観音様なぞ何べんも行っているとはいえ、
ディープなというか、マニアックなというか、そういう街歩きはしていないはずなので、
旅行気分でこうしたところに泊まるのもよかろうという算段ながら、
何しろ近くに大きく見えるはずのスカイツリーもこのありさまですからねえ。
雨のそぼ降る寒さの中を連れまわすのもしのびがたく、
基本に忠実にカラオケと宴会を中心に浅草の一夜を過ごしてきたのでありますよ。
こうした状況ではありますけれど、ひとつこれは触れておきたし…という場所を。
雷門通りを田原町方向に結構進んだところにある雑居ビルの2階に、
それはあったのですね。看板からして、いささかの胡散臭さを感じさせます。
浅草庶民文化資料館と言われれば、いかにも浅草らしき香り漂うところですけれど、
「あほまろコレクション」とは?「三十坪の秘密基地」とは?
そして同じフロアに同居しているのか、セグラスチケットセンターとは?
で、また入り口の扉がまた「どうです?明るく、楽しげでしょう?」てな雰囲気を
やすぅく作りだしていて、入りこんだが最後なんだかみょうなものを買うまで
帰してくれないようなところかも…とも思いがよぎるわけですなぁ。
ま、これを思い切って開け、中へと一歩足を踏み入れると…。
これが間接照明を多用して、暗いんだか明るいんだかという怪しの空間に
膨大なマッチのラベルが展示されていたのですね。
確かにに入り口にも「幸せになれるマッチワールド展」をやってると書いてはありました。
その量にまずは圧倒されるところですけれど、マッチという代物からしてすでにレトロであって、
なるほど昔々のマッチ・ラベルがずらりと並んでいるわけです。
(と言って、個人的に懐かしいと思われるものはごくわずかでしたですが)
で、せっかく開催中のマッチ展を尻目にしては申し訳ないながら、
この展示の左手側の一画に並んだ展示物の方がより「ほぉ~!」というものでありました。
ご覧くださいまし。
かなり手の込んだジオラマですけれど、かつての浅草六区を再現したものという。
当時には日本一はおろか東洋一の建物(52m)として
浅草十二階と呼ばれた凌雲閣(関東大震災で倒壊)が聳えています。
今のいわゆるロックにこれを偲ぶものはまるで無いように思いますが、
そう思う大きな要素として、六区の劇場街の目の前に広がる大きな池が挙げられましょうか。
こうした池が昔はあったんだ…と父親は知っておるらしく、
それを聞いたときには改めて「長く生きてきたものだねえ…」と思いましたですよ。
自分自身としては知らなくても、何やら妙にノスタルジックな気分にさせられるジオラマの数々。
他にはこのようなものも。
上は昭和中期の神田神保町、要するに古本屋街ですけれど、
こうした看板建築の商店は希少価値になりつつありますですね。
そして、下は「三丁目の夕日」的ノスタルジーをぎゅっと凝縮した架空の町のジオラマ。
都電だけでも「時代」を感じてしまうのですよね。
なるほど「三十坪の秘密基地」だけあって、館内は決して広くはないものの、
じいっくり見だしたら、何十年か前にタイムスリップしていた…ではなくて、
結果かなりの時間が経っていた…てなことになりそうな場所だなと思いましたですね。
最初になんだかんだと予防的難癖をつけましたですが、
入場無料で自由に見て回れ、ストロボを使わなければ写真も撮らせてもらえる。
どうやら変てこでも胡散臭くもない場所だったようです。
ちなみに「あほまろコレクション」といいますのは、
三遊亭あほまろという方(どうも本職の落語家さんではなさそう)のコレクション展示であり、
またセグラスチケットセンターとはセグラスツーリズムエージェンシーという
浅草でパンダバス(ホップオンホップオフの巡回観光バスのような)を運行している会社の
チケットブースを兼ねているということであるらしい。
天候の思わしくない中、さきほどの写真のように雷門にはたくさんの旅行者がいた浅草で、
訪ねたときには他に誰も来訪者のいなかった三十坪の秘密基地、
気になる方がおられましたら早めに覗きに行っておかないと、
なくなっちゃうかもしれませんですね…。







