市原湖畔美術館をゆるり巡ったのちに併設の食事処でひと休み。
昼食は「海ほたる」でたんと取っておりますから、ちょいとおやつということですな。
この旅は台風被害で散々の状態になった千葉県に「がんばろう!」と思いも込めておるものですから、
オーダーするのはやはり千葉特産の品を使ったものというにしましたですよ。こちらです。
ま、見たところは単にティラミスであり、ジェラートであるわけですけれど、
いずれにも「八街産落花生の」という枕詞付きでありまして、ジェラートにおいてはことのほか
「おお、落花生!」というお味が楽しめる品でありましたよ。
元より千葉県の落花生は有名ですけれど、その中で「八街産落花生」はその名で商標登録されておるとか。
つまり特許庁認定の地域ブランドになっているということなのですなあ。
昨年9月の台風では八街の落花生畑も相当な被害を受けたようす。
なんともささいなことですけれど、せめてこれを食すという気持ちは持ちたいものと思った次第。
ま、文句なくおいしかったです。
ところで、そんなふうに少々まったりとしてしまった結果として、次なる目的地では
四国・徳島で渦潮見物から鳴門ドイツ館へ向かったときを思わせる、あわや門前払いてな状況になりそうに。
目指したのは笠森観音でして、駐車場に入ったのは15時半過ぎ。
そこで目にしたのは観音堂は16時に閉まるという掲示であったわけで…。
ご存じの方もおいでのように日本で唯一といわれる「四方懸造」で知られるお堂ですので、
当然に山の上にあるのだという想像はしておりましたが、どれほど登ればたどり着けるのか、
そのあたりの予備知識はあいにく仕入れておらず、とにかく息せき切って登ったのでありますよ。
観音堂そのものが目に入ったときにはぜいぜいの状態に。
結果的にはさほどに長い登りではなかったものの、駆け付けでさらにお堂の階段も上がって汗だくになりましたなあ。
通常は拝観料300円(2020年1月から100円上がったそうな)を納めるところですが、
このときはすでに閉堂間近で金銭収受は手じまいになってしまっていて。
それでも「どうぞ」と促されるままにお参りを済ませてまいりましたですよ。
なんでもご本尊は伝教大師が刻んだという十一面観世音菩薩ということで。
岩山の上に乗っかった感じのお堂ですので見晴らしがきくわけですが、
房総半島の真ん中のような場所だけに山また山の連なりが、もはや黄昏の雰囲気の中にたたずんでおりました。
ところで、このお堂の一番の特徴は先程もふれたように「四方懸造」という点ですな。
懸造で日本一有名なのは京都・清水寺の舞台ということになりましょうけれど、
崖の上に足場を築いて上物の載せるというときに、東西南北、四方ともに懸造になっているのでありますよ。
ちょいと前にも「ブラタモリ」で清水寺の懸造の修復のようすを扱ったことに触れたですが、
部分的に補修することで全体を長持ちさせられるとして、その部分の補修がまた大変でしたな。
清水寺の舞台が一方だけであるのに対して、ここでは四方すべてが懸造。
きっと補修はたいへんでしょうなあ。
登りは脇目も振らずで気付かなかったですが、ゆるりと下るときには「こんな三本杉もあったのか」と。
ただ並んでいるんでなくて根っこに近いところでやおら三股に分かれているのは珍しいですよね。
と、かなりせわしい思いをして訪ねた笠森観音でしたけれど、
ここからは落日とスピードを競うように、外房に位置する今宵の宿を目指したのでありました。