雀の名が付けられたヴァラビョーヴィの展望台 に立ち寄った後、

今度は白鳥の湖(?)へツアーバスは向かったのでありました。
実際には世界遺産にも登録されているというノヴォデヴィチ修道院を眺めやるために
池の端に寄ったということでして。


ノヴォデヴィチ修道院@モスクワ

しかしまあ、1524年創建というこの由緒ある修道院をただ外側から眺めやるだけとは…。
ちなみに隣接する墓地には名の知られた数々の人たちが埋葬されているということで、
例えばですが、作家ではチェーホフ、ゴーゴリ、ツルゲーネフ、
作曲家ではスクリャービン、プロコフィエフショスタコーヴィチ
映画監督のエイゼンシュタイン、そしてフルシチョフ 、グロムイコ、エリツィンといった政治家たちも。
思わず「墓まいらー」になってしまおうかというところでありますよ。


この場所に対するロシア人の思いが殊の外強いものがあるのかなとは
後からドラマ「マクマフィア」 を見て気付かされたことなのですよね。

かつてロシア・マフィアの元締めの一人であったドミートリーの弟ボリスが
過去からのしがらみで殺害され、その葬儀の場面です。


彼らはロシアを離れてロンドンにおり、ボリスは英国の土と化すことになるわけですが、
墓穴に棺を納めてドミートリーが求めたことは「ノヴォデヴィチの土」だったという。

予め用意されていたらしい、一握りの「ノヴォデヴィチの土」をまずボリスの棺の上に撒き、
これで弟はロシアの土に帰れるとでも考えたか、ドミートリーは安堵するのですなあ。


とまあ、ことほどかようにロシアの、あるいはモスクワのひとたちが
思い入れを強く持つノヴォデヴィチ修道院でもあろうかと思うところながら

外から眺めるだけですので、塀の外に、あたかも城を囲む濠のようにある池の方のお話を。


チャイコフスキー がバレエ音楽「白鳥の湖」を作曲する際、
構想を練ったのがこの場所と伝わっているというのですね、真偽のほどは定かならねど。
ガイド曰く(かつてはいたのかもしれないものの)現在見られるのはカモばかりということで。



そして、ここには生きているカモばかりでなく、カモの親子が行列するオブジェもあるのですなあ。


「かもさんおとおり」のオブジェ

日本にも翻訳のある絵本「かもさんおとおり」(“Make way for duckllings”)に題材をとり、
1991年にロシアの子供たちにと贈られた像であるのだとか。
贈り主はバーバラ・ブッシュ、パパ・ブッシュ大統領時代のファーストレディですな。


かもさんおとおり (世界傑作絵本シリーズ)/福音館書店

ブッシュ米大統領とゴルバチョフソ連共産党書記長の間で会談が行われ、
冷戦の終結が宣言されたのが1989年12月ですので、

米ソ束の間の友好関係の中でのことだったでしょうか。


ところで余談(ばかり?)になりますが、
「白鳥の湖」の「白鳥」はいわゆる「白い鳥」のことであって、

ダンスを踊るという点からも本当は「鶴」なのではないかという意見があったりするとか。
鶴は求愛ダンスをしますし、ロシアにもいるということで。


とはいえ、「白鳥の湖」という物語をバレエに仕立てたからこそ白鳥のダンスが出てくるわけで、
元より白鳥が踊れるかどうかということの関わりがどれほどあるものかどうか…。
それにメロディーがワーグナー「ローエングリン」からの借用とも言われるようなことでもあり、
ローエングリンに白鳥が出てくることとの関係からしても、
ここはやはり「白鳥(スワン)」なのではと思うところです。


おっと余談をもうひとつ、先に「見られるのはカモばかり…」と言ったものの、
その実、白鳥(スワン)はカモ目カモ科の鳥なのでありました。
そういわれて上のカモの写真をじいっと見ると、白鳥に近いような気がするカモ(笑)。