渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「クマのプーさん 」展、
これを覗いてみたわけでありまして。
ロンドンのヴィクトリア&アルバート美博物館から
E.H.シェパードが描いたプーさんの原画がやって来た!ということですけれど、
V&Aにはそんなコレクションもあったのですなあ。
「これが、プーさんの原点」とありますように、
日本での初訳は石井桃子 でしたか、岩波書店から出版されたときの挿絵は
この素朴な絵だったようですなあ。
「ようですなあ」といささか歯切れが悪いのは、
個人的には「プーさん」シリーズを本で読んだことがないからなのでして、
そう思い返してみると「クマのプーさん」のイメージはすっかりディズニー によって
作り上げられてしまっておるなあとも思うところです。
初出の本から年代的に遠くなればなるほど(つまり若い世代になればなるほど)
その傾向は強いのではないかと思うのですよね。
そして、ディズニーでは一番最初でこそA.A.ミルンの原作を
ある種のこだわりをもって映像化していたように思うわけですが、
(原作本の文章をもアニメの中に取り込んだりして秀逸だなと思っているのですが)
やがてはプーさんはじめ登場するキャラクターだけを使って、
いかにも子供だましのアニメを量産していってしまったような。
こうしたところを入口にプーさんに接してしまうと、
オリジナルのほのぼの感からはかなりイメージとして離れているのではと思うところです。
ディズニー自身が生み出したキャラクターをいかように使おうとも勝手ではありましょうけれど、
これはちとやりすぎな気がしないでもない。
一方で、ディズニーは昔話を再構成した実写映画を数々作り出して、
中には二次創作的に「よく作ったなあ」と思うものもあるものですから、
一概にだめ出しはできないかもですが、決定的に違うのは昔話にはそもそも
創作の入り込む余地が多くあるのと、そもそも元の話にいろいろなヴァリアントがある点で
許容しやすいような気が。
それに比べてミルンのプーさんはいまだ100年も経っていない。
十分昔に作られた話と言えないこともないですが、昔話に比べれば圧倒的に新しいわけです。
…とあれこれ言っても、要するに個人的こだわりでしかないといわばそれだけなんですが、
改めてオリジナル原画に触れて、そもそものプーさんのイメージというのを
考えてみることになったものですから。