と、斎宮歴史博物館 から「歴史の道 」を辿って「斎王の森 」に立ち寄ったりしている丁度その時、
それまでにも十分に雲行きの怪しかった空から、ぱらぱらぱらっとやおら霰が降ってきたのですな。


濡れそぼってしまうことがないだけ雨よりましとはいえ、

空気は冷え切り冷たい風が吹き抜ける状態とあっては
もうひとつ斎宮跡の復元建物を巡ってと考えていた予定を中断し、
「斎王の森」のちょいと先にありました「いつき茶屋」へと一時退避することに。
そこは案内所兼土産物屋兼食堂という施設でありました。


斎宮跡のお休み処・いつき茶屋

店内は当然にして暖房が効いており、暖かいことこの上なし。
ほっと一息ついたところで俄然腹の虫が元気になったのですなあ、まさにお昼どきでしたから。
そこで何はともあれ、注文はこれ。伊勢うどんでありますよ。


伊勢うどん@いつき茶屋

いやあ、全くもって何も飾るところがない見事な「伊勢うどん」ですな。
特徴は見た目に見えない汁の少なさ(実は汁の色は驚くほど濃い)と

なんともコシの無い食感と言えましょうかね。


通常のうどんよりも遥かに長く1時間近くも茹でるのだそうですから、柔らかいのも当然かと。

なぜそんなに長く?というあたりを「うどんミュージアム」なるサイトに当たってみますと、

このような記載がありました。

すぐに参拝客に提供できるように常に茹で続け、必要量を釜揚げていたため、茹で時間を気にしなくてよいコシのないうどんが適していたとの説がある。

他に、神宮へ長旅をしてきた人向け(疲労が溜まっている人向け)の食事として江戸時代に開発された料理であり、 疲労が溜まった人向けなので消化が良くなるように麺が柔らかいという特徴を持つようになったのではないかという説もある。

いかに伊勢参拝の人たちが多かったかということとも関わる点で、

昨日今日の名物ではないことを偲びつつ、うどんを噛みしめてみたわけですが、

ま、噛みしめるまでもなく、つるりとあっという間に完食してしまいました(笑)。


端から伊勢うどんだけではもの足りないと予想しておりましたので、

デザートとして「十二単バウム」とコーヒーのセットを。


十二単バウムとコーヒーのセット@いつき茶屋

マコモ(薄緑色)、いちご(桃色)、黒米(褐色)、プレーン(黄色)の4色の生地が重なるようすを

十二単に擬えたバウムクーヘンで、斎宮跡のある明和町の土産物になっているそうな。


都を離れて斎宮に暮らす斎王ですけれど、

儀式に関わるとき以外は服装なども都ふうであったということであれば、

当然に十二単をまとっていたのでもありましょう。


見た目の再現と同時に「黒米」なる古代米を使っているのも特徴でしょうかね。

斎宮跡模型のお隣には古代米である黒米と赤米を栽培してもいるようです。


古代米の栽培地

とまれ、おなかに温かいものを入れ、糖分補給もして(十二単バウムおいしかったです)、

斎宮を偲ぶ最後の施設へとまた踏み出したのでありました。