さて、大黒屋光太夫 ゆかりの地、松浦武四郎 生誕の地を見て回って松阪にたどりつき、

翌朝にホテルの窓から松阪市街ごしに山々を遠望すれば、「いいお天気であるかな」と。



ですが途中で天候急変…となるのはあとのお話として、

松阪駅から近鉄山田線の各駅停車に乗り込むのでありますよ。


朝の松阪駅

「JR松阪駅」と大きく出てますけれど、近鉄と同居している駅ですな。

正面入口の奥にある改札はJRも近鉄も共通でして、

跨線橋を渡ると別の改札を通るでなく、近鉄線のホームに至ります。


ところで、この伊勢のあたりはJRと近鉄が付かず離れずといった具合に並走しますけれど、

どうも近鉄の方が分がいいように思えるのですが、どうでありましょうか。


近鉄名古屋駅でこそ少々戸惑いましたですが、結局近鉄の改札では

各種の交通系ICカード(つまり個人的には自分のSUICA)が使えることを知ってからは

途中何度かの乗降はすいすいだったわけでして、この朝の松阪駅でも。


さりながら同じ自動改札機を通り抜けるのに、

「JRに乗車する場合はICカードは使えません」といったことが大きく表示されておりましたよ。

つまりは毎度切符を買って乗車するという、まあ、かつては当たり前だったことではありますが、

利便性では後れをとっているやに思えたものです。


また、列車にしてもJRと近鉄の差は歴然といったところでもあるような。
JR東海では名古屋から伊勢方面に「快速みえ」という列車を走らせていますけれど、
途中に非電化区間があるようで、なんと気動車を使っているのですね。


「じぃぃぃぃ~」とか「しゅんしゅんしゅんしゅん」とか、
はたまた「ぷわん」とかいう音を鳴らしてみたりする気動車は
それはそれでレトロな旅情を感じさせるという面もあるとは思うところながら、
近鉄線ホームに名古屋方面からも大阪方面からも次々とやってくる鳥羽行き特急は
なかなかにスタイリッシュでかっこええなと思うのでありますよ。


元より近鉄のアーバンライナーが気に入っていて、
以前の職場では大阪と名古屋の店をどちらか一泊でまわる出張のたびごとに
移動は敢えて新幹線でなくして近鉄アーバンライナーのお世話になったものです。


雲出川(これを「くもずがわ」と読むとは今回初めて知りました)の鉄橋近くで
ぐぐぐっと大きくカーブするのが好きでしてねえ…と昔話はともかくも、
大阪から東へ向かう列車と名古屋から南下した列車が出会う場所と思うにつけ、
ああ、伊勢は大阪、名古屋からの十字路なのだなあと思うのですよね。


その昔、遠路の移動を船に頼っていた時代には、
関西から見て関東への玄関口が伊勢だったのだなと気付かされるのでありますよ。


ところで、そんな思い巡らしをした松阪駅の駅前ロータリーには
「鈴」でもあろうか…と思しきオブジェがあるのでして。


「駅鈴」のオブジェ@松阪駅前

どうやら「駅鈴」というもので、律令時代に使われていたものを象っているようす。
なぜここに?という点では、本居宣長に関心があって松阪を訪ねる人には
すぐ分かるものなのかもですが、そんなことを知ったのもまた後のお話ということで。


とまれ、朝の松阪駅ではほどなく到着した近鉄の各駅停車に乗り込んで
斎宮駅へと向かったのでありました。