ベルリンの話をあれこれ書いておりますところですので、
ホロコースト 絡みの話だったなと見てみたのが映画「手紙は憶えている」なのでありました。


手紙は憶えている [DVD]/ディーン・ノリス

主人公ゼヴ(クリストファー・プラマー )は目が覚めるとまず妻の名を呼ぶのですが、
妻はすでに亡くなってしまったことが、どうやら分からなくなってしまっているようす。


認知症として施設で過ごす中、同じ施設のマックス(マーティン・ランドー)から
予て約束したことを実行するよう求められたゼヴはマックスからの指示書たる「手紙」を手に
ひとり施設を抜け出すのでありました。


マックスの方は車椅子生活で移動も思うに任せないところからゼヴと共謀したことながら、
実行はゼヴ一人に頼むところとなったようなのですね。


「手紙」で指示されたとおりに タクシーに乗り、鉄道に乗り、バスに乗り、

方々にルディ・コランダーという人物を訪ね歩くゼヴ。
かばんには、やはり「手紙」の指示に従って買い求めた拳銃を忍ばせて。


アウシュヴィッツを生き延びたゼヴとマックスは いずれも収容所で家族を亡くしている。
それに関与した収容所のブロック長オットー・ヴァリッシュがルディ・コランダーと名前を変え、

アメリカに渡って 生き長らえていると知ったことから、マックスはゼヴに復讐を託したのでありました。


アメリカに渡ったと想定される時期にドイツから移住したルディ・コランダーという名の人物が

4人に絞られたところでそのひとりひとりを訪ね、旧悪を詰問するものの、

ひとりはドイツ兵ではあったがアウシュヴィッツにはいなかった。

次の一人はアウシュヴィッツにいたもののむしろ収容者(ユダヤ人ではなく同性愛者の故)で、
もうひとりはすでに亡くなっていた…。


で、4人目は?となるわけですけれど、これがやはり人違いでは話のおさまりが付かない。
かといってまさにターゲットであったとすれば、復讐しておしまいなの?…となりますな。
結局のところ、そのいずれでも無い結末に至るわけですが、
それをここで書けないのが実につらいところ。お察しください。


ただ、このストーリーの背景にホロコーストをおくのは必然だっただろうかと

思ってしまったのですよね。なまじ、サスペンスとしてよく出来ているように思えるところから、

そのサスペンス性(要は見る側にとっての娯楽性)とホロコーストという重い事実とが同居して

いささか居心地が悪い気がしたものです。取り分け、最後の結末においてをや。


サスペンスとして面白く(?)見ることができるだけに結末に触れることを避けましたので、

はてどんな具合であるかと思われたなら、ご覧になってくださいまし。