昔の戦争大作映画はかなり中高生の頃に見たですが、

何の拍子か、その頃に見たことのなかった映画をMovie Plusで見かけたものですから、

ちょいと戦争のことなどを書いた折も折 、見てみることにしたのでありますよ。

(もっとも、かつてとは戦争映画を見る視点が大きく変わってはおりますが)


空軍大戦略 [DVD]


作品は「空軍大戦略」というもの。

1969年の映画で、上のDVDカバーにも「Battle of Britain」と見えますように

第二次大戦中の1940年、英国の制空権を争って展開された英独の航空戦を描いたものです。


ご存知のように第二次大戦のヨーロッパ戦線は1939年、

ドイツ軍のポーランド侵攻に対して英仏がドイツに宣戦布告して始まるわけですけれど、

翌1940年に英仏連合軍がダンケルクから追い落とされると、チャーチルは

「フランスの戦いは終わった、これからはイギリスの戦い(バトル・オブ・ブリテン)だ」てなことを

言ったのだとか。


つまりチャーチルの言葉としては後に展開される航空戦のことを言ったわけではないのですが、

結果的にはそういう使われ方が定着したようでありますね。


元来ヒトラーは「英国は敵ではない」と、

ゲルマン系であるアングロサクソンの国は歩調を同じくしてくれるとの期待があったようで、

ロンドン空爆などは考えていなかったようす。


もっぱら英国沿岸の空軍基地やレーダーを破壊すべく航空勢力を投入していたところが、

そのうちには「どれどれ、ひとつ首都のロンドンにも一発、見舞って帰るか」という独断行動が

生じてしまった。結果、見返りにベルリンが空爆されることに。


こうなると「敵ではない」などと言っておれないドイツ側、

ブリテン島上陸の前哨戦的位置づけで空爆を激化させていったようでもありますね。


といって制空権をドイツが握った中ではありませんから、

ドイツの爆撃機は英空軍のスピットファイア戦闘機の餌食にされることも多く、

ヒトラーの意を受けて前線の航空基地に乗り込んだゲーリングが

航空指揮官に「不足があったら何でもいいから言ってみろ」と問いかけたところ

指揮官の曰く「スピットファイアを」と答えたという、嘘のような本当の話が伝わっているとか。

映画の中でも使われていましたですね。


結局のところ、この航空戦で主導権を握れなかったドイツは

その後には英国へ向かうことなく、独ソ戦へと進んでいくことになるわけで、

「バトル・オブ・ブリテン」という言葉は単に英国の戦いというにとどまらない、

ドイツ侵攻を食い止めた栄光の戦い的な意味合いで語られることにもなるようで。


と、本当のところは「空軍大戦略」を見たということを枕にして

書こうと思っていた内容があったのですが、すでに映画の話で長くなりつつありますので、

この際、映画の方に終始してしまいますと、かような航空戦を描いたこの映画、

戦闘に使われた機種の飛行機が実際に飛び回り、空中戦を繰り広げる点で

高い評価を得たりもしているようでありますね。


ですが、個人的な印象では脚本がもそっと練られておればと思わないではない。

バトル・オブ・ブリテンは一カ所の局地的戦闘ではありませんので、

いろいろな部隊が登場し、そこにそれぞれ核となるような人物たち、例えば役者でいえば

クリストファー・プラマー 、ロバート・ショー、マイケル・ケインなどが配されて、

それぞれがそれぞれにエピソードを抱えている。そのバランスのとり方(とられなさ加減)が

「う~む」と思ってしまったところかと。


個人的に思った以上に本作レビューに好意的なものが多かっただけに、

ここに記した印象はあくまで個人の意見ですと断っておかねばと思ってしまうところですが、

レビューの中で見かけるのは、こうした映画をあくまで「戦争アクション」的に見る見方でしょうか。


始めのところで「かつてとは戦争映画を見る視点が大きく変わっておりますが」と言いましたのは、

かつては確かに戦争アクション映画的に見ていたものであったなと。

ですが、今はそう割り切って見ることができなくなっていますね。

どうしてもあれこれの思いが付いてまわる。

まあ、そのことを再認識するということにもなった映画「空軍大戦略」なのでありました。


ブログランキング・にほんブログ村へ