ということで、何度もちらちら写真では出てきている国立美術館を訪ねます。


アムステルダム国立美術館前の宇宙飛行士オブジェ

が、ミュージアム広場 に置かれたこの宇宙飛行士のオブジェは

どうやら期間限定であったらしく、滞在おしまいころには撤去されておりました…ので、

ここで一応クローズアップしておこうかと。


さて、いよいよ館内へと歩を進めますが、予め申し開きをしておきますことには
展示作品多々ある中でほぼピンポイントで向き合いに行ったのは

レンブラントとフェルメール だけなのですなあ。


11年前にもせよ一度訪ねてじっくり堪能していなかったら

到底承服できることではないながら、同行者はむしろモダンアート指向が強いようで、

次に立ち寄ることにしている市立美術館をこそ時間を掛けて見たいとのこと。


前の時には市立美術館には入りませんでしたので、ここは止む無しと。
まあ、入場自体は「I amsterdam city card」に込々ですからねえ。


アムステルダム国立美術館2階のフロア


入館早々にフロアマップを手に取って、
目指すは「Gallery of Honor」と名付けられた2階の中央ホールへ。
ここにフェルメールとレンブラントが待っています。


どの壁も黄金期のネーデルラント絵画でいっぱいという中、おお、ありましたありました。
まずは小ぶりなフェルメールから、「恋文」と「小路」です。


ヨハネス・フェルメール「恋文」 ヨハネス・フェルメール「小路」

さすがに正面から構えて写真に収められるほどにがらがらではありませんから、
見ている人の背中を避けるにはいささか斜めから撮らねばなりませんでしたけれど、
それでもゴッホ美術館 よりは空いていますし、フェルメールを日本で待ち受けて見るとしたら
夥しい人の頭越しを覚悟しなければなりませんから、なんとも贅沢な鑑賞でありますね。


ヨハネス・フェルメール「牛乳を注ぐ女」

もひとつフェルメールで有名な「牛乳を注ぐ女」は運よく真正面から。
前に見たときにも思ったことながら、左手前に置かれたパンの質感がいいですなあ。
これを近づいてみると、さまざまな色の粒にフェルメールの苦心が窺える。
本物ならではの見応えというやつでして。


同じ小品のコーナーにはレンブラントの自画像が何枚もありましたですが、
いよいよホールの片方の壁一面を支配している「夜警」とご対面ということになります。

こちらはかなりの人だかりでありましたよ。


レンブラント・ファン・レイン「夜警」

奇しくも(というより、当然といえば当然なのですが)
レンブラント以外の画家の手によって描かれた集団肖像画が別の壁面に飾られていて、
当時流行ったという集団肖像画のようすを偲べることになるのですね。


ですが、本来的に集団とはいえ肖像画ですから、
描かれる対象たる人物は自分をはっきりと描いてほしいところですから、
配置や構図もそうした点を意識して作られているのですな。


それに対してレンブラントの「夜警」はと言えばカテゴリー的には集団肖像画でしょうけれど、

肖像画にありがちな静止感ではない躍動感ですとか、絵画作品として鑑賞者に与えるであろう
ドラマティックさを追求したくなってしまったのではなかろうかと。


その結果、名作の誉れ高く今に伝わっているところながら、
描かれた人の側にしてみれば「レンブラントに頼むんじゃなかった…」と思ったかどうか。


と、ほとんど一点突破で回ったアムステルダム国立美術館には

いささかの未練を残しはするものの、じっくり行くには一日以上を割く覚悟が

必要ともなりましょうから、今回はこの辺で。

続いては古典からモダンへと探究先を移すのでありました。