さて9時の開館に合わせて、ゴッホ美術館へとやってまいりました。


前に来たときには入場待ちの長蛇の列を見て「また来ればいいや」と通り過ぎた次第ですが、
11年の時を経る間に基本的には時間指定の予約が必須化となっておりましたので、
開館一番の9時の事前予約を得、入場が叶うことになったのでありますよ。


ちなみに予約をすると訪問者心をくすぐる(?)動画付きのメールが届くのですね。
一部を切り取ってみればこんなふうです。


ゴッホ美術館のウェルカムビデオより


まあ、特別扱いではなくして予約した人には誰にもでしょうから(笑)、
大騒ぎするには当たらないものの、ついつい楽しみにしてしまうのが人情ではありましょう。

ただ、今日のご時勢、この手の対応は普通のことなのでしょうかね?

予約入場が必要な美術館に行ったことがないので、過剰反応しているかもです…。


とはいえ、予約をしてもやっぱり混んではいるのですよねえ。

それだけ世界中にゴッホという画家の名が知れ渡ってもおり、
またゴッホの絵を見たことがあるという人が多いということでありますか。


夜明け前とは違って人出のあるゴッホ美術館

夜明けにミュージアム広場 を見て回った際に2つあるといいましたゴッホ美術館の建物のうち、

黒川紀章設計の丸い別館のほうにエントランスがあります。

以下、夜明けまわりのときに撮ったエントランスのようすでありますよ。


ゴッホ美術館エントランス

入場の際にはゲートの前に予約票確認の職員が配置されます。



地下通路で本館とつながっていますのでまずは大階段を降りまして、

ミュージアムショップとクローク、階段の裏側の方には企画展示のスペースがありました。


訪ねたときにはゴッホ作品をモチーフにしたインスタレーションが展示されておりましたよ。

ゴッホの絵画世界に入り込んでもらおうとう試みですかね。

ひまわりに取り巻かれてみたり、渦巻く星空を見上げてみたりと。



ところで肝心な本館のコレクション展示ですけれど、

ゴッホと聞いてすぐさま思い浮かぶような超有名作は海外流出してたりするとしても

油彩約200点とはよく集めたもので。


もちろんと個人に焦点を当てた美術館ですから素描はもちろんや手紙などの資料類も豊富。

それぞれ素描によって構成された展示室、書簡を通じてゴッホを知る展示室などもありましたな。


でもって、もっとも興味あるところのタブロー作品ですけれど

(コレクション展示は写真不可なので画像はありませんです。撮ってる人はいましたですが…)

早い時期に描かれた「じゃがいもを食べる人々」、長年描き続けた数々の自画像、

そして浮世絵風味の漂う「アーモンドの花咲く枝」などなどの作品を

目の当たりにできるというのは、何と言いますか、豊かな経験とでもいえそうです。


それと、ここへ来て「そうだったのか…」ということがひとつ。
以前、といってもかなり前ですが、損保ジャパンの美術館でゴッホ展があった折、
ゴッホ最後の作品という振れ込みで展示されていた「カラスのいる麦畑」に惹かれ、
複製画(小さいものですけれど)を買ってしまったのでありますよ。


ゴッホ美術館では本物の「カラスのいる麦畑」にしばらくぶりで再会しましたけれど、
どうやらこれは最後の作品ではないのだそうで…。


かといって、この作品自体への興味が薄れるわけではなく、
ゴッホの大胆な筆遣いの跡が立体的に凹凸で表された複製画にも満足しておりますですよ。

とまれ、ゴッホ尽くしの美術館の中で個人的に「これぞ!」という一点を挙げるならば
「アイリス」になりましょうかね。


花瓶に生けたいく本かのアイリスには生き生きとしたものも、へたれたものもあり、
有名な「ひまわり」とも同様に死生観を窺う静物画と言えましょうけれど、
かっちりした輪郭線に浮世絵を思ったりもするなど見ていて飽きないものでしたから。


日本でゴッホの展覧会があるとめちゃ混みを予想して敬遠しがちとなり、
しばらくゴッホからは遠ざかっておりましたですが、こうなってきますと
やはりいつかはクレラー・ミュラー美術館にも行かずばなるまい…となりますなあ。