みなとみらいホールでの演奏会 を聴きに(わざわざ)横浜まで行ったのですから、
何かしらの「ついで」が設けなくてはもったいないと、このほどは横浜美術館に立ち寄ることに。
これまで全く覗いたことがなかったものですから。
企画展としては「ファッションとアート」なる展示が行われていましたけれど、
演奏会前の些少の時間ではありましたので、今回はコレクション展だけをお試しということで。
エントランス・ホールに入って「お!」と思いましたのは、
吹き抜けの大きな空間の片側に階段状の彫刻展示スペースがあったのですな。
そして、そこから立ち上るシュルレアリスム の妖しき香り…(笑)。
まずはインパクト強くサルバドール・ダリの「バラの頭の女性」でありますよ。
いやあ、絵の中の姿そのままではありませんか。
タブローでは周囲にいろいろと配置されているものがありますけれど、
存在感が強いものですから、これ単体ですでに周りに世界を立ち上らせているふうでもありますね。
ただ、バラの頭と言いつつ彫刻になっているとどうも「脳丸出し」に見えなくもないものですから、
シュールとはまた違った世界を想像してしまいもしそうですが…。
ダリはもうひとつ、「ニュートンを讃えて」という作品です。
アングル的には後ろ側になってしまってピンとこない(ピンボケだし)ところがありますけれど、
リンゴ状のものをぶら下げているらしく見えているのは、
ダリにしては解釈を容易にしてくれているのかなとも。
ですが、そんなに一筋縄ではいかないのがダリなのでありましょうねえ。
続いては、これまたタブローそのままのジョルジョ・デ・キリコ
。
「ヘクトルとアンドロマケ」でありますよ。
キリコの妖しの世界にはマネキンと見える人の形がよく置かれますけれど、
「人間」の表面、外面を取り払ったら…といった心理的な怖さも想像される一方で、
基本的に怖がりな性質としては単純に見ただけで怖い…。
横浜美術館には夜は近寄れませんな(笑)。
と、こちらは棺桶ではありますが、さほどに怖くはありません(笑)。
ルネ・マグリットの「レカミエ夫人」、有名な作品でありますね。
確かデン・ハーグの市立近代美術館でも見かけたような気がします。
ご存じのようにジャック=ルイ・ダヴィッドによるレカミエ夫人の肖像が元絵。
ですので、シュルレアリスムという以上にパロディー作品の領域でもありましょう。
いろいろ解釈はできましょうけれど、ひとつにはナポレオンの権力を嫌ったとすれば、
市民の側から見ての追悼とも言えるような。
ま、どの作品につけ、さまざまに解釈できる余地たっぷりというのが
シュルレアリスムの楽しみでもあるとは思うのでありますよ。
というところで、2階展示室のタブロー作品の方に触れるのは次に譲ることにいたします。