町人言葉で義挙を語らせる傑作 | 情届士洋山(じょうかいしようざん)の日記 アンチエイジング、ガーデニング、時々人情話

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情届士洋山は第二の人生名。「世のため人のため」「人様に喜んでいただく」がモットー。
バラの育成、浪曲の口演、トイプードル・ソラの心、etc。

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「村上喜剣」CD起こしのその2

 

 

 

 

この作品は題名からして、余り期待はしていなかった

 

 

 

 

私が今まで耳にしてこなかった、お話

 

 

 

 

 

だが、通して話を聞くと

 

 

 

 

 

まことに素晴らしい作品であることが分かった

 

 

 

 

 

今まで演じてきた中で、なかった味わい

 

 

 

 

 

それは町人言葉で、赤穂義士の義挙をたたえること

 

 

 

 

 

大石内蔵助のすばらしさは、いやというほど知っているが

 

 

 

 

 

それは歴史的事実の中で、見聞きしてきたこと

 

 

 

 

これを町人言葉で語らせると

 

 

 

 

 

思わず感動で身体が痺れる

 

 

 

 

こみ上げそうになる思いがある

 

 

 

 

特に後半

 

 

 

 

大工の八五郎によって

 

 

 

 

己の取った愚行と

 

 

 

大石の義挙

 

 

 

 

知らしめされる場面

 

 

 

 

ここは、国本武春節の絶好調

 

 

 

 

私の口演ではそうはいくまいが

 

 

 

 

この作品の良さを少しでもお伝えすることが

 

 

 

 

 

できるようになれば、嬉しい

 

 

 

 

今回は、京都で大石に別れてから

 

 

 

 

1年近くを旅で過ごして

 

 

 

 

再び江戸に舞い戻った喜剣が

 

 

 

 

大工の八五郎たちと

 

 

 

 

出くわす場面までの顛末

 

 

 

 

丁度山場の前の、繋ぎの部分でとでも言うべきか・・・

 

 

 

 

 

「節」部分が多いので

 

 

 

 

如何にお客様を飽きさせず

 

 

 

分かりやすく伝えるかが、難しいだろう
 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 なにを言うても張り合いのない、

 薩摩の武士の鉄拳を、受けて見よと固めた

 拳でちょうと打つ。

 

「おっ、はっははははー、いやー、これは乱暴

 ・・」

 

〽 お手は痛みは致さぬか

 

 何を小癪な犬侍。これを喰らえと小鉢に盛りし

 タコ肴、足に挟んで、ぐっと大石の鼻の先。

 

「おほっほっほっほー、いやいや、これは、

 これは、何より大好物」

 

〽 手を出して、足をいただくタコ肴

〽 魂抜けたか内蔵助、言葉交わすも汚らわし

 い、畳を蹴ってい出て行く、後見送りて大石

 が、真心表に現れて、喜剣先生嬉しいや、明

 けて言われぬ胸の内、分かる時節も来るならん

〽 喜剣は宿に帰られて、もはや京地に用無しと、

 急いで下る江戸の地の、四川七街、八百八町。

 しかも天下のお膝元、名所古跡を見物為し、

 松坂町の吉良の屋敷の様子を見て、道を転じて

 日光参詣、あれから急ぐ奥州仙台五十七人が

 六十五万石、伊達の太守の城下に来れば、さんさ

 時雨か、茅野の雨か、音もせできて濡れかかる。

  わずか離れた日本三景の粋で名高い松島見物、

 かの有名な瑞巌寺。政宗英傑物語も、船で帰りが

 塩釜参詣、塩釜回廊に白菊植えて、波を尽くして

 便り聞く、いたるところのご供養や、人情風俗

 忠臣義士、少し説風もよく調べて、これが故郷への

 土産ぞ、あれから出羽へ志す、出羽で庄内、秋田家、

 最上、山が一つで越後に変わる、越路新潟船着く港、

 弘法大師の七不思議、長岡城下も過ぎまして、越後、

 玉原、あごおり、柏崎、さあさ参らんしょうかよ、

 米山の薬師、一つは身のため主の為。

  前はなにおう青海原、遥か彼方は佐渡島、ちょいと

 行かりょか行かりょか佐渡へ、佐渡は四十九里波の上、

 黄金花散る離れ島。かの上杉が用心堅固な春日山、黒姫

 根越しで帰るは信州信濃の善光寺参詣、戒壇巡りて吉脈

 受けて、荒くれ男が随喜の涙の川中島の古戦場、上田、

 小諸もはや過ぎて、坂東一の鬼武者と人に言われた熊谷

 が、髪を丸めたれんしょうぼう、よい八丁の畷を過ぎて、

 中山道を一直線、再び江戸まで引き返す。

 

〽 時は元禄十六年、時は四月の半ばころ、昨日今日桜の花

 の咲いたるも、今はたちまち色香を失い、濡れて色増す藤

 の花、菖蒲の花の咲いたるも、今日か明日かという時節、

 空に一声ホトトギス。

 

 江戸を横切り高輪まで参りました村上、見晴らしの良い茶屋

 の床几に腰を下ろし、茶を飲みながら四方の風景に見とれて

 いる。前は名代の品川湾、見渡す限りに安房上総。

  するとそこに、そろいの衣装を身に纏うて、どやどやッと

 入ってまいりました三十人ばかりが・・

 

「いやーーっ、いや、いやー、婆さん悪かったな。預けといた

 物を貰いに来たぜ」

 

「おや、まあー、お早い御参詣でしたなあ。もうお帰りです

 かな」

 

「なあにー、えへーっ、いやー、これからが大切だ。これから

 品川なんだー。えーっ、可愛いのが待っているからなあ」

 

「おやおや、それはまた、お楽しみなことで」

 

 物珍しげに見ていた喜剣・・・

 

 

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物語の山場は、次回のその3で・・・

 

 

前回その1の訂正箇所が二つ

 

四条の繩手  →  四条の畷

 

浮き大臣   →  浮き大尽