「なんでおまいさんがここに帰って来たかは鳥串刺し屋の息子から聞いてるよ。雪埋町で大立ち回りしたんだって?
ほら。いけるんだろ?飲みな。これでもしゃぶって。」
狂女は売り物のビールとポリケースから駄菓子のイカの皮を醤油漬けにしたつまみを差し出す。
「そんな顔をしなさんな。ちょいと話に付き合いな。おまいさんも法で守られる最後の年齢だよ。そろそろ
うまく立ち回りな。そうでないとここいらで吹き溜まってるおまいさんの憎む奴らと一緒になっちまうよ。」
そう言って彼女は缶ビールを一気に飲み干す。
「ここでおきたあれこれはおまいさんの預かり知らぬこと。とにもかくにもそのメンバーがいたからおまいさんは
ここに出てなんだかんだ楽しんでるのさ。それだけは感謝しな。そうしてね。罰の年季が明けたら一刻も早く出ていきな。
そうして二度とここに戻りなさんな。たとえ傍観者の立場になろうともだ。事知らずの者がやがておまいさんの立場を
言い立て戻るように言ってもだ。その者たちこそいち早く傍観者を決め込んですべてを置いて行ったのだから気にすることは
ないさ。」
彼女は二本目のビールを開ける。
何を言わんとしているのか理解できなかったがその欠片が引っ掛かる。
「雷が降るよ。その時にまた。」
それから八年後 女を伴い吾はそこにいた。
代が変わっても同じことが起ころうとしていた。
そこに居た男はそれを察知して二度とそこに訪れることも連絡をすることも辞めた。
彼に雷が降ったのだ。
彼の最後の言葉 「あのね ・・・・ いや。もういいか。じゃあ。元気で。」
まだ吾もすべてを知らぬ頃であった。
