同じテーブルの端で
横顔 見つめてるの
大きな声であなたが笑ったら
何故か私も楽しくなる 不思議ね
横顔 (ミニヨン) 1978年 編曲 瀬尾一三
昔はあなた
そんなに笑わなかったわね
今は同じテーブル、だけど
離れた端の席に座っている私
そこからあなたの横顔
見つめてるの
いつか声をかけてくれるかしら
あなたの隣りに坐りたい
きっと邪魔をしないようにするわ
一緒に話を聞かせてほしいだけ
大きな声であなたが笑ったら
何故か私も楽しくなる 不思議ね
声をかけてくれないのは
やっぱり私を覚えていないのね
昔は私があなたの隣りで
よく話を聞いたのに
今は違う友達に囲まれてるあなた
あなたの話の聞き役はもう私じゃないのね
小さく呟いた さよなら
あなたの心に届くかしら
私だけが知っている
あの時のあなたの横顔
一生懸命だった
昔のあなた見失って欲しくないの
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3rdアルバム「ミニヨン」
「あのアルバムは穴に埋めたい」
大貫妙子は長い間そう思っていたという。
「このアルバム自体がどうこうではなく、
その時の気持ちが全部蘇ってきて、歌も下手だし、
自分の嫌なところばかりが耳について。」
時は流れて2017年。
新たにバーニー・グランドマン
(Bernie Grundman)にリマスタリングを
してもらったLPを聴いたら
「あれ? 嫌なところが
どこにもないって思いました(笑)。」
「まるで自分の娘に出会ったような
気持ちになりました、
およそ40年前の私ですから」
と、今は評価が変わっている。だが、
「なんで若い子たちが聴いてくれるのか、
いまもよくわかっていないんです。」
とも語っている。
RVCに移籍してはじめてのアルバム。
「売れるものをお願いしますよ」と社長に言われ
評論家のプロデューサーが起用され、
「難解だなぁ。わかりやすく」と説得され、
メロディも歌詞も何回も書き直しさせられた。
そのうち、最初に書いた時の気持ちから
どんどん離れていって、その曲がいい曲なのか
どうかさえもわからなくなったという。
こうして苦労して作ったアルバム
「ミニヨン」は、売れなかった。
「自分にもそれまでのファンにも
ウソをついたようなアルバムだと
当時、私はとても悔やみました」
「そして、すっかりいろいろなことが
嫌になってしまった私から、
アルバムを作るという
情熱が消えてしまいました」
その後、
大貫妙子は2年間アルバムを作らなかった。
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自由に作れなかったアルバム。
周りが言う事を受け入れて
苦しかったアルバム
「ミニヨン(Mignonne)」
フランス語で「小さくて可愛らしい」の意。
語尾が"ne"で女性名詞につながる形容詞。
アルバム名がテーマそのもの。
もしかすると、これも
"お仕着せ"だったのかもしれない。
だけど大貫妙子の「乙女心」が
はっきりとした形になったのは事実だろう。
たとえ周りから色々言われても
何度も書き直しさせられていても
曲のどこかに彼女の心が残ってる。
大貫妙子は全くの嘘が書けるほど器用じゃない。
僕はそう信じてる。
"打ち明けない"女
"待っている"女
"言いだせない"女
そんな詞を書く大貫妙子。
それも"一人称"で。
大貫妙子のセキララな一人称の曲は少ないよ。
これが売れないとなると、、、
後悔するというよりも恥ずかしかったかも。
穴に埋めてはいけない。
これは貴重なアルバムだ。
言いだせなくて (ミニヨン) 1978年
想像だけど、この曲はポップに作るのに
苦労したんじゃないかな
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大貫妙子の3rdアルバム「ミニヨン」は
1978年9月21日リリース。
ジャケット写真は大貫妙子のお気に入りという。
"言いだせない女"を表現しているんだろうか?
「横顔」
作詞/作曲 大貫妙子、編曲 瀬尾一三
Guitars: 杉本喜代志、鈴木 茂
Keyboards: 渋井 博、市川秀男
Bass: 高水健司
Drums: 田中 清
「言いだせなくて」
作詞/作曲 大貫妙子、編曲 坂本龍一
Keyboards: 坂本龍一
Guitar: 松原正樹
Bass: 細野晴臣
Drums: 村上秀一
Percussion: 浜口茂外也
Trumpets: 数原晋、大竹 守、隅山時一
Trombones: 新井英治、平内保夫、
三田治美、岡沢澄雄
Tenor Sax Solo: 清水靖晃
Harp: 山畑松枝
Chorus: 伊集加代子、和田夏代子、鈴木宏子
横顔 (PURE ACOUSTIC) 1987年 編曲 中西俊博
ストリングス中心のアレンジのスタジオ録音
Acoustic Piano: フェビアン・レザ・パネ
Violin: 中西俊博、藤原真
Viola: 久保田明宏
Cello: 溝口肇
Contra Bass: 野中英士
横顔 大貫妙子 1988/8/26
NHK サマーナイトミュージック
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以下は大貫妙子の過去記事の1部です。
大貫妙子は今回で6記事目。