裸足で踊って困らせてあげる
あの頃より少し強い私
ワイン・グラス片手に持って
そうよ こぼさないように踊るの
涙あふれないように踊るの

1984年12月8日にリリースされた
10thアルバム「Windy Shadow」からの1曲。

この頃、松田聖子は
郷ひろみと結婚するのかしないのか
どっちになるのかわからない状況。

僕のテンションはかなり下がっていた。
どっちも喜べない。
それでも、このアルバムまでは
僕は松田聖子を聴きこんでいたのだ。

だがこのアルバムは明らかに前のアルバム
「Tinker Bell」と違っていた。

アイドルから大人の女性に変わっていくような、
松田聖子が離れていくような気がした。

 

今夜はソフィストケート 松田聖子 1984年

ホントは "sophisticate" 

(洗練する、あか抜けさせる)
もっと言えば、sophisticated だろうと。


それはいいとして、

別れた男と再会する時に、

洗練されて

いい女になった自分を見せつける。

僕としては大好きなシチュエーションだ。

オトナっぽく黒で着飾ったのに、外は雨。
待ち合わせの店に着いた頃には
折角のエナメルの靴が台無し。
肝心なところで上手くいかない。

でも、ここで彼女は動く。

靴を脱いで裸足で踊ろうとする。
それでもワイングラスは手放さない。
今夜はsophisticatedだから。

いい女にワインは似合うから。

これは本当にいい女じゃないとできない暴挙。

彼じゃなくてもグラスを取り上げようとするよ。
見ようによってはただの酔っぱらいだから。

だけど可愛いじゃないか。こんな彼女も。

なぜ彼女はそんな暴挙に出たか。

あなたと会うのは今夜が最後。
そう決めていたから。

「裸足で踊って困らせてあげる」
「昔軽く振られたお返しに」


彼女が残そうとする最後の爪あと。

洗練されたオトナの女を装って、


「ワイン・グラス片手に持って
そうよ こぼさないように踊るの」


「涙あふれないように踊るの」

可愛いじゃないか。
あなたと会うのは今夜が最後。
僕の方が泣いちゃいそうだ。

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1985年1月23日  郷ひろみとの破局宣言。
4月9日  神田正輝との婚約発表。
6月5日  僕にとって最後のアルバム

「The 9th Wave」リリース。
6月24日  神田正輝との結婚式。
ここで僕の松田聖子の時計は止まる。

今も止まったままだ。

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「今夜はソフィストケート」は
松田聖子の10thアルバム

「Windy Shadow」の曲。

(アルバム3曲目)

作詞 松本隆、作曲 Holland Rose(佐野元春)
編曲 大村雅朗

1984年12月8日リリース。

佐野元春によれば、
松本隆さんから曲を書いてくれと言う依頼があって
喫茶店で会った松本隆さんから開口一番、
「佐野君、松田聖子シングルは

No.1とらないとダメだから」
とプレッシャーをかけられたという。


「僕らしさを失わずとにかくやってみよう。

けれど自信がないので2曲作った。

好きな方選んでくださいと。」

1984年11月「ハートのイアリング」が

聖子の19thシングルに。
残りの1曲が

「今夜はソフィストケート」だったのだろう。
ただこのAメロは1982年に佐野が

沢田研二に提供した

「WHY OH WHY」と一緒。

でもまぁいいでしょ。

 

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以下は「Windy Shadow」の過去記事というか

アルバム1曲目の

「マンハッタンでブレックファスト」の記事です。