福は~うちぃ~!鬼は~?
「痛いとこなぁいぃ?」
「腰はいたぇし、ひじゃも痛いよぉお!」
「ホエールズか!」
「でもぁ何食べてもおいしくって食べ過ぎるぐらいなんだぇすよぅ。」
「そらぁいいですねぇ。健康な証拠だよっ!」
「ただ嫁がねぇ。」
90歳女性は話しを続けた。
「なんでもいぃーぱいよそんの!
残しちゃ悪ぃいから食べなくっちゃぁいけなぇしぃ。
だぅせあたしなんかぁ早く死んじゃえばいいって
思ってんだぁよ!」
「そんなこたぁないんじゃぁないのぉ?
たくさん食べて長生きしてもらおうってんじゃぁないの?」
「そんじゃぁなえんだぁ
嫁の目ぇみりゃぁ。
もぉいつあの世さ行ったっていいんだからぁ!
せんせさん!
眠ったようにぐっすり死ねるくすりなえぇのぉ?」
「あるよっ!」
「ほんとぉ?
んじゃぁ今日だしてくんろ!」
「今日はまだいいんじゃぁないの?
10年したらね
出しまっしょ。」
「あと10年?
えらえぇこったぁ!」
ゆめ岩?
ガンバレネ東海岸に出ると
ホーマン岩が見えてくる。
カモメたちからもらった
オシロイ化粧で
寝そべった人に見える。
「せんせ!夜中にへんな夢みぃちゃっただぃ!」
「なにぃぇ?」
「オヤジが夢んなか出てきて
早くせんせんとこ行けってゆぅだよぉ!」
「おぃ?おぉ少し開いちゃってたねぇ。」
「そいで今日急いで来ただよぉ!」
「オヤジさんってだんなさんでしょっ?
7年前に亡くなったぁ?」
「そぉそぉ。」
「元気で出てきたかぃ?」
「元気そぉだったけど。」
「そりゃぁ良かった。」
「今までこんなことぁ無かったのにぃ!
心配してくれてんのかねぇぃ?」
「おぉ血圧上がってるよっ!」
患者さんの住まいは
ホーマン岩の近くにある。
二月の朝
陽は延びたとは言えまだ2月 。
ガンバレネの朝は早い。
「起きむれっだいぃせんせ!」
「おっはよっ!元気いいねっ。」
「元気いいけど
頭と財布がねぇ。」
朝早い患者さん
顔ぶれいつもおんなじ。
多いのは糖尿病の患者さん。
「あんでぁ?2キロ増えっちゃってぇ。」
「正月だったかんねぇ。
せんせっ!鮭の頭食べっかいぃ?」
「鮭のあたまぁ?硬いんじゃないの?」
「うっすく切って漬けてあって
おいしんだぁ。せんせ食べっかぁ?」
「どやってぇ?」
「酒のつまみだよおぅ。
そぉそぉ。イクラのせっといいんだけど
イクラなしで持ってくっかん
せんせ食べてよぅ。」
「どっかで売ってんの?」
「八戸のおとぉとが送ってくんだぃい。
わしらぁ食べておいしぃーけど
せんせの口に合うかどぅかぁ
わかんねぇけどもよぉ。」
「八戸かぁ?雪ふってっかねぇ?」
キャベツと離別?
ガンバレネ地域に大型店舗進出?
映画館併設ショッピングモールがやってくるらしい。
「うちのキャベツ畑によぉ
ショッピングセンター造りたぇって
会社のお偉いさんが来ただよぉ。」
情報源の患者さん。
「そん時やぁせんせの好きなとこ連れっててやんよ!
ヘリコプターでも買ってよぉ。」
「ん~、空にがて。」
「わしが操縦すっからよぉ。」
「じゃ大丈夫?」
かつて海軍の操縦士だった患者さん。
「でも海ん中に突っ込んだんじゃぁ?」
「あん時やぁあん時だよぅ。」
「でも空はぁねぇ。」
「そんだぁせんせ、こないだぁ悪かったよぉう
息子ん時ぁ無理な話んしちゃってよぉ。」
息子さん先月
くも膜下出血で急逝。
ショッピングセンター楽しみだけど
酸っぱくて辛い
サンラータンみたいな。
井上さんの胃の上話
麦門冬湯はのどが乾いて出る咳に効いて
口の中が渇いて困る時にも有効などなど
漢方勉強会に出た帰り道
路地裏のお店に寄った。
初めての店だ。
「へいっらっしゃいっ!」
「へへ・・おじゃまするよ。」
「お客さん医療関係かい?」
「へへ・・よく間違われます。」
「あっしゃぁよぉ・・・・」
井上さんとおっしゃるそのおやじさんは
料理をつくりながらいろいろと
お話してくれる。
胸の調子がどうもいまひとつすっきりしないらしい
のどがつかえやすいとか胸焼けするとか
言いながら
おいしい椀物をつくってくれる。
エビ味噌の利いた一品。
「うぃい。いいね!おいしいね。」
「中にたくさんエビ入れといたよ。」
「そうそうおやじさん。食道の検査しといたらいいんじゃないの?」
「検査ぁ?あっしゃぁあんまり好きじゃなぁえなぁ。」
「あそぉ・・」
ごちそうさんして外に出た。
「外はさみぃわぁ。」
振り向いて見上げると
お店の看板
井上食堂!









