no.026 モニタースピーカーを選ぶ④ | ジョンのブログ

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 ビートルズがアビーロードスタジオで日常的に使っていたEMIのモニタースピーカー*を聞いたことがある。
 このスピーカーでビートルズを聞いくと、「なるほど」と唸ってしまう。

 面白いことに、このスピーカーで聴くビートルズの英語の発音には、かつてどこのバンドでも聞いたことのないほどのスリルを感じさせる。
 ビートルズの声はスレンダーで、いかにも英国人らしい雰囲気があった。
 とくにポール・マッカートニーの声の印象は、このスピーカーで覆された。
 多くのスピーカーはポールの声をモタついて聞かせてしまう。

 このスピーカーは、高音が量的に出ていないにも関わらず、音の像が鮮明でクッキリしている。
 普通のスピーカーならば、高音を絞ると音はモソモソになってしまうものだが、このスピーカーは違う。

 音の帯域バランスが現代のスピーカーとはまったく違うと感じた。このスピーカーが開発された頃は、まだスピーカーはフリクエンシー特性を測定して作るものではなかった。

 耳のいい技術者がカンと経験で作っていた時代のスピーカーなのだ。そういう時代のスピーカーには異次元のリアリティーを感じる。逆にダメなスピーカーは、まるでダメな時代だったろう。

 どうやらビートルズの録音は、高音を量的に出すことでクッキリと聞かせている現代のスピーカーでは、再生が不可能な音のバランスに整えられているようだ。

 音色は若干暗めで、音楽に潜む情景感には、デンマークのスピーカーにも似た憂いを魅せる。おそらくイギリスという風土が生み出したものだろう。
 もし、ビートルズが東芝EMIに移籍しなかったら、ビートルズの音楽はまったく異なったものになったと思う。

 このスピーカーはインピーダンス特性が不安定で逆起電力が起こりやすい。出力トランスをもったアンプで再生することをお勧めする。