最大出力50ワット 歪み率0.5%
というスペックのアンプがあるとする。
通常、スペックに表記されている歪み率は、1,000ヘルツの正弦波を歪み率系で測ったものである。
1000ヘルツとは1秒間に1000回の空気の粗密波である。
人間の耳は20ヘルツから20,000ヘルツまでの正弦波を感知するというが、その全ての帯域において歪みが0.5%を下回るわけではない。もしかしたら、1Wの時点で既に大きく歪んでいる音域があるかもしれないのだ。だから、スペック上の歪み率の表記は目安にしかならない。
もちろん、詳細な歪み率カーブを表記しているモデルもあるが、メーカー側も公表しないことが多い。
もうひとつ知っておきたいことがある。スペック上での歪み率の数値は、スピーカーを接続したときのものではないということだ。普通、歪み率を測定する時は、スピーカーのかわりに4Ωか8Ωの固定抵抗器を接続している。
実際のスピーカーは音域によって抵抗値が違う。8オームのスピーカーでも低音と高音では60オームくらいになっている。
例えば、50ワット/4Ω 25ワット/8Ω 12.5ワット/16Ω
というアンプがあるとする。実際のスピーカーは低音や高音においては抵抗値が4倍ほどは上昇している。すると、どうだろう。実際にスピーカーを接続すると数ワットしか出力できない音域があることに気づくはずだ。