no.013 エコーとリバーブ ③リバーブルーム | ジョンのブログ

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 大きいレコード会社にはリバーブルームという部屋がある。

 まず、スタジオマイクで周音した音を電気に変え、リバームルームのアンプに送る。リバーブルームの部屋の中にはスピーカーがあり、送られた電気信号を音に変換して室内で再生されるようになっている。それをマイクロホンで再び周音し、その音を電気に変え、ミキサールームに送っている。
 最後にミキサールームに送られた音と、原音とをミクシングして(混ぜて)残響音を調整している。

 リバーブルームの中には角度が変えられる反響板がいくつか設置されている。この角度で響きを調整することができる。

 この反響板はミキサールームにあるツマミを回すことで遠隔操作される。大変大掛かりなリバーブ装置であるが、今でもメジャーレーベルの録音現場では主だって活用されている。

 このような装置がいまだに主流として活用されている理由は、デジタルではまだ計算しきれない倍音が、自然界に存在しているためだ。

 更に重要な問題は、人間の耳は反響音を脳内でカットしているために、人間の記憶に近い音を2台ないし、6台のスピーカーで再現する事は不可能であるためである。

 これは写真の逆光補正にたとえると分かりやすい。

 逆光を背景にした人物の顔を人間が識別できるのは、人間が脳内で逆光を補正するからであるが、何も補正を施していない、実像に忠実に撮影された人物の逆光写真の顔を識別することはできない。人物像は真っ黒に、背景は真っ白に、まるで影絵のような写真が見えるだけである。
 どういうわけか、実像に対しては人間の脳は補正がかかるというのに、写された写真に対しては人間の脳は補正を掛けられないのだ。ここに写真技術の悲しみがある。この悲しみのおかげで、撮影家は一生懸命脳内の像に近くなるように被写体に工夫を凝らして逆光補正をしなくてはならないのである。

 写真や映像における逆光補正の手法には2種類ある。
 ひとつは画像をコンピューターに取り込んで電気的に補正する方法。もうひとつは、被写体に(人物に)レフ板などを使って光を当て、明るい部分と暗い部分との明暗の差を和らげる方法だ。

 ファッションモデルやテレビの撮影シーンなどを目撃したことがある人ならご存知かと思うが、プロの撮影者は今でもレフ板を使って光を調整している。そして、最終的に刷り上った写真や映像が、人が脳で見ている像や風景に近いように、自然に写るよう、事前に工夫を施している。 あるいは、脳と実像が一致しないことを逆手にとって、撮影技術を駆使して人物の内面性を引き出すような写真を撮ったり、実像とはかけ離れた心象風景のような風景を作り出したりもしている。

 今述べたような撮影の現場で行われているようなことが、録音の現場でも行われている。 レフ板やライティングの機能がコンピューターの補正ソフトで再現きないように、リバーブルームもデジタル・リバーブには簡単にシフトできないのが実情のようだ。