海のものと、山のものと、小さいひとと。 -148ページ目

キッチンにて


海のものと、山のものと、小さいひとと。


 なおくん、1歳7ヵ月。私がキッチンに立つと、決まってその脇の引き出しの中に立ち、お料理作りの真似をしにやってきます。引き出しの取っ手に手をかけてよじ登ると、ちょうどなおくんにもキッチンが見渡せる程の背丈になります。今日も私の隣に立ち、空っぽの小鉢をスプーンでグルグルかき混ぜます。何を作っていらっしゃるのかは相変わらず不明です。


 そんな、お料理研究家なおくんの、とんでもエピソードをひとつ。

 あれは忘れもしない、なおくん11ヶ月と17日のこと。ちょうど伝い歩きと高速はいはいの絶頂期、キッチンの探検がお気に入りで、引き出しを開けては中の醤油やサラダ油を取り出してだかえてみたり、お鍋と蓋を取り出して何やらガチャガチャ打ち鳴らしてみたりなんてことが、なおくんの日課になっていたそんな折り、私が洗濯物を干していると、そばにいたはずのなおくんが何時の間にやらいなくなり、ありゃ何処に行った?と見回すと、キッチンでひとり遊ぶなおくんを発見。そしてビックリ仰天・・・。


 床一面に、てんぷら油を撒き散らして、スイスイつるんつるんって泳いでいらっしゃるではありませんか。おい、おい、まてまて、そこのお料理研究家!服もベタベタ、体もヌルヌル、シャンプーしてもてんぷら油の臭いが取れず、この子はいつまでてんぷら臭いのだろうかと思いながら、どうにか後片付けを終わらせ現状復帰。あきれ顔の私に、なおくんは相当おもしろかったらしく満面の笑・・・。絶対言いつけてやる!


 そこへ偶然かかってきた旦那さんのお母さんからの電話。一部始終を話すと、なんと旦那さんも、なおくんと同じぐらいの年の時に同じことをしたらしく、「後片付けが大変でどんなにか腹がたったことを思い出したわ。」だって、笑えました。


 それを聞いた海育ちの旦那さん、自分似だと大喜びで、

「今度は海で泳ごうな!、てんぷら油で泳げたら、どこでも泳げるぞ!!」と、なおくんのてんぷら油香る頭をなでなで、もうそれはそれはご満悦の様子です。


 この親にしてこの子あり。泳ぎのお稽古の第一歩は、てんぷら油でバランス感覚養う訳ってことか・・・?いやちがう、将来はスケート選手かも・・・ちがうちがう、これはドリフだろ・・・だんだん笑えてくる私です。


それ以来、我が家のキッチンの引き出しは空っぽにしてあるのです。