★4/5話 真実と悪夢★
>フィフス・バベルたちは、堕天使ベリス、堕天使エリゴール倒し、それぞれからキーラを1つずつ手に入れた。
カハク「コースケが言ってた通りね」
コダマ「キウンが一番強かったねー」
光介「キーラを取りに行く道も楽なもんだし、ベリスやエリゴールは強い相手じゃないからね。あとは中央広場に行って、キーラを使えばいい」
>フィフス・バベルたちは、ターミナルのある中央広場に戻った。
>その真ん中には、4つの台座がある。
光介「台座の色に対応したキーラをはめ込んで…と」
>キーラを台座に全てはめ込んだ。
すると突然、地響きが起こる!
ウィルオウィスプ「ウォオ?」
カハク「な、なに??」
コダマ「あ! みんな見てよー! 広場が、広場じゃなくなってくよー!」
>4つのキーラは中央広場の仕掛けを作動させた。
同心円の模様だと思われた床は、下へ続く螺旋階段へと姿を変えていく。
カハク「こんな仕掛けまで…」
光介「ああ、大したもんだよ。こんな大掛かりなものを作ってしまうんだからね」
ウィルオウィスプ「コノ シタニ ヒカワ イル? ウルィ?」
光介「ああ。ここまでくればあと少しだよ」
ウィルオウィスプ「キウンノ ユズレナイモノ… ドンナヤツカ タノシミ」
光介「前回倒したキウンのこと、まだ気になってはいるんだな」
ウィルオウィスプ「コースケ カンチガイ スルナ。 ベツニ センチメンタル チガウ」
光介「ああ、わかってるよ。どれほどの人物なのか、見てみたいってことだよね?」
ウィルオウィスプ「ソノトーリ。 ウォレ タノシミ」
カハク「そろそろ行きましょ。階段は完全にできあがったみたいだし」
光介「そうだな。じゃ、みんな行こう…」
>フィフス・バベルたちは螺旋階段を降り、しばらく進んだ後でまた別のフロアに到着した。
>そこはニヒロ機構・本中枢フロア。
地下2階の中枢フロアと似たつくりになっている。
光介「ここだ」
カハク「上にあったのと、ホントそっくりね」
光介「ここが本中枢だから、順番からいけばここに似せて上のヤツを作った、ってことなんだろうけどね」
コダマ「ここに氷川って人間がいるのー?」
光介「ああ。中に入るぞ」
ウィルオウィスプ「……」
>扉の向こうから、強い妖気を感じる……
しかし臆することなく、フィフス・バベルたちは中に入った。
>中には、地下2階にあったものと全く同じようなオブジェがある。
それは、ターミナルを数倍大きくしたようなものだった。
氷川「……ここへたどり着く者がいるか」
>氷川はそれを見上げており、こちらに背を向けている。
氷川「マントラもただ愚直なばかりではないようだな……」
>氷川はゆっくりと、こちらを振り向いた。
氷川「ほう……これは驚いた」
光介「……」
氷川「君はあの時の少年か。……生きていたとはな」
コダマ「初対面じゃないんだー?」
光介「ああ。受胎直前に、一度会ったきりだけどね」
ウィルオウィスプ「………」
氷川「しかもその姿……人ならぬ大きな力を得たとみえる」
光介「ええ、まあ」
氷川「なぜ、ここを訪れた?」
光介「それは…」
氷川「……私に会うためかね?」
光介「いえ、違います」
氷川「では君の目的も、マントラ同様、ここに溜まったマガツヒか?」
>氷川はそう言って、小さく笑う。
氷川「そうは見えんな……」
ウィルオウィスプ「……」
氷川「まあ、だいたいの想像はつくがね」
>氷川はそう言って、ターミナルより数倍大きなオブジェを見る。
氷川「……よかろう」
光介「…」
氷川「たった1人でここまでたどり着いた健闘は称える。それほど求めるのなら、君も知るがいい」
カハク「なにを…?」
氷川「……この世界の真実をな」
カハク「真実ですって?」
>そして氷川は、この世界…ボルテクス界の真実を語り始める。
氷川「見たまえ……この装置は、マガツヒを集めるためのものだ。似たものを上の階でも見たろう」
光介「ええ」
コダマ「壊されちゃったけどねー」
氷川「君は、マガツヒが何のために存在するか、知っているかね?」
カハク「それは、あたしたちの…」
氷川「悪魔の糧となるもの……か?」
カハク「そうよ。あたしたちはそれで生きてる。コースケだって、今はそれで生きてるんだから」
氷川「それでは何も知らないのと同じだ」
>氷川は両腕を胸の前で組んだ。
カハク「え…? なによそれ、どういうこと…?」
光介「それはちゃんと教えてくれるよ。お前たちが知らないことをね」
氷川「マガツヒ……それは神への供物」
コダマ「神への?」
ウィルオウィスプ「クモツ?」
氷川「創世の守護神を招くための力」
カハク「守護神ですって…!」
氷川「この世界の存在目的が果たされるために、無くてはならない、カギなのだよ」
カハク「コイツが言ってること、ホントなの? あたし、そんなの一度も聞いたことな…」
ウィルオウィスプ「カハク スコシ オチツケ。 ウォレ ナニカ ワカリソウ」
カハク「わかりそう? 何がよ…って、今は黙っとくわ。ゴメン」
氷川「この世界では、強い意志を持つ者は全てを塗り替えることができる」
ウィルオウィスプ「……」
氷川「思想を『コトワリ』として広め、手中にマガツヒが集まった時…神は立ち現れ、世の成り立ちさえもが書き換わる」
カハク「……!」
氷川「そう……この混沌の世界は、『創世』を目的として生み出されたのだ……私の手によってな」
光介「……」
氷川「間もなく、我が創世は成される。時の営みと最も調和した静寂の円環……シジマの世界が生まれるのだ」
ウィルオウィスプ「セイジャク シジマ…! キウンモ ソレ イッテタ…」
氷川「マントラは、この拠点を完全に沈黙させた気らしいが、見ての通り中枢は無傷……捨て置いても、マガツヒは遠からず満ちるだろう」
>氷川は腕組みを解き、こちらを向く。
氷川「……だが、あの者どもには報いを受けさせなければならない」
コダマ「むくいー?」
氷川「我らニヒロに牙をむいた者がどうなるか……世に知らしめる為にもな」
ウィルオウィスプ「……?」
氷川「……いい機会だ。君もその目で見るがいい」
カハク「一体何をする気なの?!」
氷川「ここに残されたマガツヒを使って、私はこれより『新たな力』を呼び起こす」
>氷川は両手を広げる。
氷川「さぁ、目を覚ませ! 『ナイトメア・システム』よ……!」
>氷川の声と共に、ニヒロ機構の中にあったマガツヒ全てが圧縮され、中央の丸く開いた場所から…さながらキャノン砲のように発射される!
>標的はイケブクロ。
マントラ軍本営の上に降り注ぎ、その後…
>マガツヒはなぜか、イケブクロから離れ始めた…
氷川「……分かるかね」
カハク「なんなの…? アイツ、一体何をしたの!?」
光介「ナイトメア・システムを発動させたんだ…この人の、そしてニヒロの秘密兵器だよ」
氷川「世界中のマガツヒの流れを支配し、全てを我が手中に集めるシステム……ここの設備など比較にならぬ力だ」
カハク「マガツヒの流れを支配…!? そんなことって!」
光介「ああ、普通ならできるはずがない。でも、ニヒロはそれができる力を持ってるんだ」
氷川「まずはマントラ軍……彼らの本営イケブクロを目標とした」
ウィルオウィスプ「……」
氷川「かの地のマガツヒは消え失せる。マントラはたちまち朽ちゆくだろう」
>氷川はこちらを向いた。
氷川「……そうそう、このシステムは高尾 祐子を媒体として動いている」
コダマ「バイタイ、ってなにー?」
光介「簡単に言えば、このシステムは祐子先生の力を使って動かしてるってことだよ」
カハク「ユーコセンセー…その人が、こんな力を持ってるなんて…」
氷川「彼女は実に役立っているよ。さすがは創世の巫女……といった所か」
光介「…」
氷川「……祐子先生のことが心配かね?」
光介「…はい」
氷川「残念ながら、彼女はここには居ない」
>氷川はこちらに背を向け、手を後ろで組んだ。
氷川「君と再び会うことは、もう無かろう。今の彼女は創世を支える巫女……それ以外ではないのだからな」
>組んだ手を解き、こちらを向く。
氷川「……やはり君は『受胎』を生き残るべきではなかったようだ」
光介「…」
氷川「前の世界に未練を残す者など、ここでは不毛に苦しむばかり……あの時、彼女の甘さを許すべきではなかった」
光介「ええ、確かに…そうなのかもしれません」
氷川「……少年、君の苦しみ……私がここで終わらせよう」
光介「でも、俺はこの世界で全てを失っても、またこうして仲魔たちと出会えた。こうしてここまでやってこれた」
氷川「どんな幻想を抱いてここへ来たのか知らないが……この世界で君に成しえる事など、1つも無い」
>氷川は、堕天使オセを召喚した!
光介「そのことに意味がないなんて、誰にも言わせない……!」
カハク「コースケ…」
コダマ「……熱い、ね」
ウィルオウィスプ「ウォレ マタ ワカッタゾ」
氷川「さあ、行くがいい。君が失った古き者たちの元へ……」
>堕天使オセと戦闘開始!
光介「頼むぞ、みんな。こんなところで負けるわけにはいかない!」
カハク「わかってるわ! あたしはプロミネンスでいいのよね?」
光介「ああ! コダマは真空刃で頼む!」
ウィルオウィスプ「ウォレハ キアイ コメテ ツクモバリ ダナ!」
光介「それで頼む! フォッグブレスを2回かけて、オセの命中&回避力を限界まで下げたら、俺も気合いを込めて殴るからな!」
オセ「来るがいい…オマエごときに、総司令の邪魔はさせん!!」
>5/5話へ続く…
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