第10話:ニヒロ機構~イケブクロ2:4/5 | 魔人の記

魔人の記

ここに記された物語はすべてフィクションであり、登場する団体・人物などの名称はすべて架空のものです。オリジナル小説の著作権は、著者である「びー」に帰属します。マナーなきAI学習は禁止です。

★4/5話 真実と悪夢★

>フィフス・バベルたちは、堕天使ベリス、堕天使エリゴール倒し、それぞれからキーラを1つずつ手に入れた。

カハク「コースケが言ってた通りね」

コダマ「キウンが一番強かったねー」

光介「キーラを取りに行く道も楽なもんだし、ベリスやエリゴールは強い相手じゃないからね。あとは中央広場に行って、キーラを使えばいい」

>フィフス・バベルたちは、ターミナルのある中央広場に戻った。

>その真ん中には、4つの台座がある。

光介「台座の色に対応したキーラをはめ込んで…と」

>キーラを台座に全てはめ込んだ。
すると突然、地響きが起こる!

ウィルオウィスプ「ウォオ?」

カハク「な、なに??」

コダマ「あ! みんな見てよー! 広場が、広場じゃなくなってくよー!」

>4つのキーラは中央広場の仕掛けを作動させた。
同心円の模様だと思われた床は、下へ続く螺旋階段へと姿を変えていく。

カハク「こんな仕掛けまで…」

光介「ああ、大したもんだよ。こんな大掛かりなものを作ってしまうんだからね」

ウィルオウィスプ「コノ シタニ ヒカワ イル? ウルィ?」

光介「ああ。ここまでくればあと少しだよ」

ウィルオウィスプ「キウンノ ユズレナイモノ… ドンナヤツカ タノシミ」

光介「前回倒したキウンのこと、まだ気になってはいるんだな」

ウィルオウィスプ「コースケ カンチガイ スルナ。 ベツニ センチメンタル チガウ」

光介「ああ、わかってるよ。どれほどの人物なのか、見てみたいってことだよね?」

ウィルオウィスプ「ソノトーリ。 ウォレ タノシミ」

カハク「そろそろ行きましょ。階段は完全にできあがったみたいだし」

光介「そうだな。じゃ、みんな行こう…」

>フィフス・バベルたちは螺旋階段を降り、しばらく進んだ後でまた別のフロアに到着した。

>そこはニヒロ機構・本中枢フロア。
地下2階の中枢フロアと似たつくりになっている。

光介「ここだ」

カハク「上にあったのと、ホントそっくりね」

光介「ここが本中枢だから、順番からいけばここに似せて上のヤツを作った、ってことなんだろうけどね」

コダマ「ここに氷川って人間がいるのー?」

光介「ああ。中に入るぞ」

ウィルオウィスプ「……」

>扉の向こうから、強い妖気を感じる……
しかし臆することなく、フィフス・バベルたちは中に入った。

>中には、地下2階にあったものと全く同じようなオブジェがある。
それは、ターミナルを数倍大きくしたようなものだった。

氷川「……ここへたどり着く者がいるか」

>氷川はそれを見上げており、こちらに背を向けている。

氷川「マントラもただ愚直なばかりではないようだな……」

>氷川はゆっくりと、こちらを振り向いた。

氷川「ほう……これは驚いた」

光介「……」

氷川「君はあの時の少年か。……生きていたとはな」

コダマ「初対面じゃないんだー?」

光介「ああ。受胎直前に、一度会ったきりだけどね」

ウィルオウィスプ「………」

氷川「しかもその姿……人ならぬ大きな力を得たとみえる」

光介「ええ、まあ」

氷川「なぜ、ここを訪れた?」

光介「それは…」

氷川「……私に会うためかね?」

光介「いえ、違います」

氷川「では君の目的も、マントラ同様、ここに溜まったマガツヒか?」

>氷川はそう言って、小さく笑う。

氷川「そうは見えんな……」

ウィルオウィスプ「……」

氷川「まあ、だいたいの想像はつくがね」

>氷川はそう言って、ターミナルより数倍大きなオブジェを見る。

氷川「……よかろう」

光介「…」

氷川「たった1人でここまでたどり着いた健闘は称える。それほど求めるのなら、君も知るがいい」

カハク「なにを…?」

氷川「……この世界の真実をな」

カハク「真実ですって?」

>そして氷川は、この世界…ボルテクス界の真実を語り始める。

氷川「見たまえ……この装置は、マガツヒを集めるためのものだ。似たものを上の階でも見たろう」

光介「ええ」

コダマ「壊されちゃったけどねー」

氷川「君は、マガツヒが何のために存在するか、知っているかね?」

カハク「それは、あたしたちの…」

氷川「悪魔の糧となるもの……か?」

カハク「そうよ。あたしたちはそれで生きてる。コースケだって、今はそれで生きてるんだから」

氷川「それでは何も知らないのと同じだ」

>氷川は両腕を胸の前で組んだ。

カハク「え…? なによそれ、どういうこと…?」

光介「それはちゃんと教えてくれるよ。お前たちが知らないことをね」

氷川「マガツヒ……それは神への供物」

コダマ「神への?」

ウィルオウィスプ「クモツ?」

氷川「創世の守護神を招くための力」

カハク「守護神ですって…!」

氷川「この世界の存在目的が果たされるために、無くてはならない、カギなのだよ」

カハク「コイツが言ってること、ホントなの? あたし、そんなの一度も聞いたことな…」

ウィルオウィスプ「カハク スコシ オチツケ。 ウォレ ナニカ ワカリソウ」

カハク「わかりそう? 何がよ…って、今は黙っとくわ。ゴメン」

氷川「この世界では、強い意志を持つ者は全てを塗り替えることができる」

ウィルオウィスプ「……」

氷川「思想を『コトワリ』として広め、手中にマガツヒが集まった時…神は立ち現れ、世の成り立ちさえもが書き換わる」

カハク「……!」

氷川「そう……この混沌の世界は、『創世』を目的として生み出されたのだ……私の手によってな」

光介「……」

氷川「間もなく、我が創世は成される。時の営みと最も調和した静寂の円環……シジマの世界が生まれるのだ」

ウィルオウィスプ「セイジャク シジマ…! キウンモ ソレ イッテタ…」

氷川「マントラは、この拠点を完全に沈黙させた気らしいが、見ての通り中枢は無傷……捨て置いても、マガツヒは遠からず満ちるだろう」

>氷川は腕組みを解き、こちらを向く。

氷川「……だが、あの者どもには報いを受けさせなければならない」

コダマ「むくいー?」

氷川「我らニヒロに牙をむいた者がどうなるか……世に知らしめる為にもな」

ウィルオウィスプ「……?」

氷川「……いい機会だ。君もその目で見るがいい」

カハク「一体何をする気なの?!」

氷川「ここに残されたマガツヒを使って、私はこれより『新たな力』を呼び起こす」

>氷川は両手を広げる。

氷川「さぁ、目を覚ませ! 『ナイトメア・システム』よ……!」

>氷川の声と共に、ニヒロ機構の中にあったマガツヒ全てが圧縮され、中央の丸く開いた場所から…さながらキャノン砲のように発射される!

>標的はイケブクロ。
マントラ軍本営の上に降り注ぎ、その後…

>マガツヒはなぜか、イケブクロから離れ始めた…

氷川「……分かるかね」

カハク「なんなの…? アイツ、一体何をしたの!?」

光介「ナイトメア・システムを発動させたんだ…この人の、そしてニヒロの秘密兵器だよ」

氷川「世界中のマガツヒの流れを支配し、全てを我が手中に集めるシステム……ここの設備など比較にならぬ力だ」

カハク「マガツヒの流れを支配…!? そんなことって!」

光介「ああ、普通ならできるはずがない。でも、ニヒロはそれができる力を持ってるんだ」

氷川「まずはマントラ軍……彼らの本営イケブクロを目標とした」

ウィルオウィスプ「……」

氷川「かの地のマガツヒは消え失せる。マントラはたちまち朽ちゆくだろう」

>氷川はこちらを向いた。

氷川「……そうそう、このシステムは高尾 祐子を媒体として動いている」

コダマ「バイタイ、ってなにー?」

光介「簡単に言えば、このシステムは祐子先生の力を使って動かしてるってことだよ」

カハク「ユーコセンセー…その人が、こんな力を持ってるなんて…」

氷川「彼女は実に役立っているよ。さすがは創世の巫女……といった所か」

光介「…」

氷川「……祐子先生のことが心配かね?」

光介「…はい」

氷川「残念ながら、彼女はここには居ない」

>氷川はこちらに背を向け、手を後ろで組んだ。

氷川「君と再び会うことは、もう無かろう。今の彼女は創世を支える巫女……それ以外ではないのだからな」

>組んだ手を解き、こちらを向く。

氷川「……やはり君は『受胎』を生き残るべきではなかったようだ」

光介「…」

氷川「前の世界に未練を残す者など、ここでは不毛に苦しむばかり……あの時、彼女の甘さを許すべきではなかった」

光介「ええ、確かに…そうなのかもしれません」

氷川「……少年、君の苦しみ……私がここで終わらせよう」

光介「でも、俺はこの世界で全てを失っても、またこうして仲魔たちと出会えた。こうしてここまでやってこれた」

氷川「どんな幻想を抱いてここへ来たのか知らないが……この世界で君に成しえる事など、1つも無い」

>氷川は、堕天使オセを召喚した!

光介「そのことに意味がないなんて、誰にも言わせない……!」

カハク「コースケ…」

コダマ「……熱い、ね」

ウィルオウィスプ「ウォレ マタ ワカッタゾ」

氷川「さあ、行くがいい。君が失った古き者たちの元へ……」

>堕天使オセと戦闘開始!

光介「頼むぞ、みんな。こんなところで負けるわけにはいかない!」

カハク「わかってるわ! あたしはプロミネンスでいいのよね?」

光介「ああ! コダマは真空刃で頼む!」

ウィルオウィスプ「ウォレハ キアイ コメテ ツクモバリ ダナ!」

光介「それで頼む! フォッグブレスを2回かけて、オセの命中&回避力を限界まで下げたら、俺も気合いを込めて殴るからな!」

オセ「来るがいい…オマエごときに、総司令の邪魔はさせん!!」

>5/5話へ続く…


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