第10話:ニヒロ機構~イケブクロ2:3/5 | 魔人の記

魔人の記

ここに記された物語はすべてフィクションであり、登場する団体・人物などの名称はすべて架空のものです。オリジナル小説の著作権は、著者である「びー」に帰属します。マナーなきAI学習は禁止です。

★3/5話 譲れないこと★

>緑のキーラをめぐり、フィフス・バベルたちは夜魔キウン3体と戦闘開始!

キウン1「クククッ…なかなか楽しませてもらったぞ」

キウン2「ここまでやってこれるとは、ただの賊にしておくのは惜しいがな…」

キウン3「キーラを渡せんのは変わりない。死んでもらうぞ!」

カハク「冗談じゃないわよ! あれだけめんどくさいことさせといて、今さらあきらめられるわけないでしょ!」

コダマ「そうだそうだー!」

光介「さっきも言ったが、コイツらには破魔系の魔法以外効かない! そこらへんは注意しといてくれよ!」

カハク「わかってるわ! あたしは順番回しと回復やったげる!」

コダマ「ボクはハマ使っちゃうぞー」

ウィルオウィスプ「ウォ ウォレハ キアイコメテ サシノメスゾ!」

光介「加えてコイツらは呪殺魔法も使う! それでウィルがやられる心配はないが、カハクとコダマは気を付けろ!」

コダマ「コースケもでしょー?」

光介「ああ。俺もヘタしたら呪殺されてしまう…呪殺無効のマガタマがまだないからな。こういう時は」

カハク「さっさとケリをつけるに限るわねっ!」

>フィフス・バベルたちは戦う!
コダマのハマによって、キウン1体を倒した!

コダマ「効いたよー★」

光介「ああ、よくやった! コダマは引き続きハマで攻撃していってくれ!」

コダマ「でも、ハマだと即死するかしないかだから、ダメージ与えられないよー?」

光介「それは俺とウィルが担当するから心配ない! 俺も1ターン目でフォッグブレスを2回かけ終わったし、気合いを込めて殴っていくぞっ」

ウィルオウィスプ「ウォレ ジュサツ ナンカ コワクナイゾ!」

キウン1「オマエは怖くないだろうが…」

>キウンのムド!
呪殺属性の単体即死攻撃!

キウン1「オマエのお仲魔は、どうかな?」

>ターゲットはコダマ!

ウィルオウィスプ「!」

コダマ「ボクそんなの食らわない~♪」

>コダマは避けた!

キウン1「クソ…」

ウィルオウィスプ「ウォレノ ナカマ ウォマエ ナンカニ ヤラレナイ!!」

キウン2「そうやってほざいてられるのも、今のうちだぞ…」

コダマ「ほざいてるのは、そっちでしょー?」

>コダマのハマ!
破魔属性の単体即死攻撃!

キウン1「ぐ、おおっ!?」

>キウン1を仕留めた!

コダマ「やったね★」

光介「よし、これで残るは1体だけだ!」

キウン2「クソっ! このままやられるわけには…!」

カハク「もうこれでアンタ1体だけよ! カンネンするのねっ」

光介「いくぞ! 集中攻撃だっ!」

キウン2「静寂の世界の邪魔など、させてたまるか!」

>キウンのムド!
ターゲットは…フィフス・バベル!

光介「なにっ!?」

キウン2「オマエさえ死ねば、他の仲魔はただの悪魔…勝手にどこかへ散らばるだろうよ」

>フィフス・バベルには、避ける時間がない!

光介「くそっ! これはヤバい!」

カハク「コースケ!?」

>しかし、呪殺は失敗した!

コダマ「ふぅー、びっくりさせないでよー」

キウン2「甘い」

>キウンの行動回数はまだ1回残っている!
ムドを再度発動!

ウィルオウィスプ「ナンダト!」

>ターゲットはまたもフィフス・バベル!

光介「2連続なんて、そんなのアリか!」

キウン2「死ねェェェ!!」

ウィルオウィスプ「コースケ!」

>フィフス・バベルは、避けることができない!

光介「こんなところで、終わってたまるか…!」

>呪殺…

カハク「コースケ…!」

>失敗!
フィフス・バベルへの呪殺は失敗した!

キウン2「2連続のムドが失敗だと…!」

ウィルオウィスプ「……」

キウン2「…ハッ!?」

>キウンが見た先には、ウィルオウィスプがいる。

キウン2「誰かと思えば、ウィルオウィスプじゃないか…そうだ、オマエも俺と同じ混沌を愛する悪魔だろ、そうだろ?」

ウィルオウィスプ「…タシカニ ウォレ カオスナ アクマ」

キウン2「な、なあ、助けてくれよ、頼むよ。そしたら総司令に言って、お前を特別にニヒロの幹部にしてやるから!」

ウィルオウィスプ「……」

キウン2「ほら、俺、キーラ守るくらいの悪魔だから、ニヒロの中じゃ顔が広いし、総司令にそう頼んでやることもできる! ここの連中を部下にできるんだぞ? いいだろ?」

カハク「アイツ…いきなりウィルに何言ってんの!?」

キウン2「なあ、頼むよウィル! 俺はこんな所でやられるわけにはいかないんだ…創世をきちんとこの目で…」

ウィルオウィスプ「ウォレ…ヲ」

キウン2「…え?」

ウィルオウィスプ「ウォレヲ ウィルッテ ヨンデ イイノハ」

キウン2「…え? え?」

>ウィルオウィスプは気合いを込めた!

ウィルオウィスプ「ウォレノ ナカマ ダケ!」

光介「ウィル、頼むっ! それで最後だ!」

ウィルオウィスプ「キウン! ウォマエハ ウォレノ ナカマジャ ナイゾ!」

キウン2「く、くそぉぉぉぉぉぉ!!!」

>ウィルオウィスプの気合い付き九十九針!
キウンに大ダメージを与えた!

>キウンは倒れた…

キウン2「最弱の…クセに……この、俺、を………!」

ウィルオウィスプ「ウォレ タシカニ ヒトリジャ サイジャク」

キウン2「ただの…鬼火の、ぶんざ、い……で………!!」

ウィルオウィスプ「デモ ミンナト イッショナラ サイキョウ! ウォマエ サヨナラ」

キウン2「………」

>最後のキウンは消えた…

光介「ウィル!」

カハク「ウィル! 大丈夫? 変なことされなかった?」

ウィルオウィスプ「ウォレ ゲンキ ハツラツ! リポビタンC!」

コダマ「なんか違う気がするけど、なんにもなくてよかったよー♪」

ピシャーチャ「…(ざわざわと嬉しそうにしている)」

ウィルオウィスプ「ウォレヨリ コースケ ダイジョウブ ダッタカ?」

光介「ああ。さすがにムド2連発には肝を冷やしたけど…運が良かったみたいだ」

ウィルオウィスプ「コースケ ブジ ウォレ ウレシイ!」

カハク「あたしもうれしっ☆」

コダマ「ボクもー」

光介「こ、こら、お前たち…!」

>仲魔たちは、フィフス・バベルに群がってきゃっきゃしている!

光介「ちょ、嬉しいって思ってくれるのは俺も嬉しいけど、キーラ取らなきゃ…」

カハク「あ、そうだったわね」

コダマ「これだよねー?」

光介「ああ…これで緑のキーラをゲットだ。残るキーラは2つ!」

カハク「ここが一番めんどくさいトコだって言ってたけど…あとはどんな感じなの?」

光介「マガツヒ貯蔵庫であんなふうに邪魔されることは、もうないんだ。自分でスイッチを操作して、その先を進んで宝物庫へ行くだけだよ」

コダマ「ボスはー?」

光介「もちろんいるけど、そんなに強くない。キウンさえ片付けてしまえば、ここはもうすぐ突破できるんだよ」

カハク「そっか、それならイライラさせられずにすみそうね」

光介「じゃあ、行こう」

ウィルオウィスプ「………」

>ウィルオウィスプは、キウンが消え去った場所をじっと見ている。

光介「ウィル?」

ウィルオウィスプ「…? ア」

光介「どうか、したのか?」

ウィルオウィスプ「キウン ウォレニ タスケロ イッタ」

カハク「それっぽい話は聞こえたけど…それがどうしたの?」

ウィルオウィスプ「デモ ウォレ サシノメシタ」

カハク「当たり前じゃない! 敵なんだから」

ウィルオウィスプ「キウン ヤマ。 ウォレ ゲドウ。 シュゾク チガウケド カオスケイノ アクマ」

カハク「……」

ウィルオウィスプ「コースケ ウォレ フシギ」

光介「…ん? なにが?」

ウィルオウィスプ「キウン プライド ステテマデ ウォレニ タスケ モトメタ。 ソレ ナゼダ?」

カハク「そんなの、命が惜しいからに決まってるじゃない。今までさんざん邪魔してきたクセに、ヤバくなったら助けろなんて、虫がよすぎるわ」

ウィルオウィスプ「ウォレモ ソウ ウォモッタ。 デモ ナントナク… チガウ キモ スル」

光介「……」

ウィルオウィスプ「キウン サイゴマデ ニヒロ ウラギラナカッタ。 ウォレタチノ ナカマ ナルトハ イワナカッタ」

光介「確かにそうだね」

ウィルオウィスプ「ニヒロ ソンナニ イイトコ ナノカ? ウォレ ナンダカ ワカラナイ…」

カハク「なによアンタ。もしかしてニヒロがいいトコとか思ってるんじゃ…」

光介「カハク、ちょっと待ってくれ。そういうわけじゃないんだよ」

カハク「…そうなの? あたしには、ウィルの気持ちが揺れてるように思えるわ」

光介「キウンは最後まで、ニヒロ側の悪魔として戦った。命乞いをするのでも、俺たちの仲魔になろうとするんじゃなくて、ニヒロ側にウィルを引っ張り込もうとした」

コダマ「同じことなんじゃないのー?」

光介「いや、違う。キウンにとって、ニヒロという場所は…きっと、俺にとってのお前たちのような場所だったんだろうって思う」

カハク「…ゴメン、ちょっと意味がわかんないわ」

光介「俺たちは、いっしょにいることでこの世界を生き抜くことができてる。お互いが、大切な存在だろ?」

カハク「うん」

コダマ「そだよー」

ウィルオウィスプ「ウォレモ ソウ」

光介「キウンにとっては、ニヒロっていう場所がそうだったんじゃないかっていうことさ。失いたくない場所だったんだよ、きっと」

ウィルオウィスプ「ダカラ ウラギラナカッタ ノカ?」

光介「さっき、ウィルが俺たちを裏切らなかったように、ね」

ウィルオウィスプ「ソウ カ…」

光介「この世界でのほほんと生きてて、マガツヒを食らいたくなったら弱いヤツを襲う…そんな悪魔たちと戦うことも多いけど」

カハク「……」

光介「ここにいる連中は違う。ニヒロを、氷川を守るっていうことは、彼らにとっては『譲れないこと』なんだよ」

カハク「ゆずれないこと…」

ウィルオウィスプ「……」

光介「でも、俺たちだって進まなきゃいけない。みんな一緒に、生きていかなきゃいけない。それもまた、譲れないことだろ?」

カハク「それはもちろんそうよ」

ウィルオウィスプ「ウン」

光介「これから先、そういう『譲れないこと』がぶつかって戦うことが何度もあるんだ。割り切れなくて、納得もできないだろうけど、それは乗り越えなきゃならない」

ウィルオウィスプ「……」

光介「戦うことで生まれる割り切れないもの…それを乗り越えることが、勝った者の義務だと俺は思う」

カハク「…勝った者の、義務…」

ウィルオウィスプ「…ウォレ」

光介「ん?」

ウィルオウィスプ「ウォレ イマ ハッキリ ワカッタ キガスル」

カハク「何が、わかったの?」

ウィルオウィスプ「ウォレ イマ キモチ モヤモヤ。 デモ ソレヲ ノリコエルノガ サイキョウ!」

光介「……ああ」

カハク「…」

ウィルオウィスプ「ウォレ サイキョウダカラ メソメソシナイ マエニ イッタ。 コレカラモ ソレ カワラナイ」

光介「最強だもんな、ウィルは」

ウィルオウィスプ「ウォレ メソメソシナイ! ソシテ クヨクヨシナイ! ソレガ サイキョウ!」

カハク「ウィル…」

光介「メソメソしたり、クヨクヨしたり、いろいろあるのが生きるってこと…でも、それを乗り越えて進まなきゃいけない」

ウィルオウィスプ「ウォレタチ ミンナ タノシイセカイ ツクル!」

光介「ああ。気持ちがしんどい時は、みんないるんだ。打ち明けて、聞いてもらえばいい」

ウィルオウィスプ「イマミタイ ニ カ?」

光介「うん。俺もカハクもコダマも、ピシャーチャだっているさ。いつもはマイペースなコダマだってそこで体育座りして聞いて…」

コダマ「すぴー」

光介「あ、寝てたのか」

ウィルオウィスプ「ウォレ コダマ ネテテモ イイ。 ソレガ コダマ」

光介「ウィルはずいぶん、大人になったんだなあ」

ウィルオウィスプ「デモ ハナチョーチン ダシタ バツ! コレ ウォシウォキ!」

コダマ「んー?」

ウィルオウィスプ「クラエ!」

>ウィルオウィスプは、コダマをくすぐり始めた!

コダマ「っきゃー!? いきなり、なん…きゃははははははははは!!!」

ウィルオウィスプ「イケブクロノ オカエシダ!」

コダマ「ちょっ、やめてよー! 寝ててゴメンってばー! にゃはははははは!!」

>コダマはくすぐられて悶絶だ!

コダマ「ね、ちょっ…! やめ…!」

ウィルオウィスプ「ウォレノ ヒギ オモイシレ!」

コダマ「くすぐりの秘技って、意味わかんな…ぎゃはははははははは!!」

>コダマはくすぐりから逃げようとする!
しかしウィルオウィスプは着実に追い詰める!

光介「…あらら」

>ウィルオウィスプとコダマは、フィフス・バベルから少しずつ離れていく。

光介「…まあ、しばらくはほっといていいか。落ち着いたら、残りのキーラを探しに行こう」

カハク「……」

>カハクは、その様子をじっと見ている。

光介「どうした?カハク」

カハク「…あたし、正直今まで…いろいろ考えてるのはあたしだけだって思ってた」

光介「…」

カハク「コダマはいつもあんな感じだし、ウィルはただのケンカ友だちだと思ってたから…でも、そうじゃなかったのね」

光介「ウィルの意外な一面を見た…ってとこ?」

カハク「うん。あたし、さっき『ウィルの気持ちが揺れてるみたいに思える』なんて簡単に言っちゃった。なんだか恥ずかしいわ」

>カハクの表情は、少し落ち込んでいる。

カハク「ねえ、コースケ」

光介「ん?」

カハク「残りのキーラを取りにいくのは、アレが落ち着いて…」

>今もくすぐり、くすぐられているウィルオウィスプとコダマを見る。

カハク「あたしがウィルに謝ってからで、いい?」

光介「…ああ、もちろんいいよ。ちゃんと待ってるから」

カハク「ありがとう」

>カハクは、嬉しそうに宙返りをした。

>その後、くすぐりは収まる。
カハクは、ウィルオウィスプにちゃんと謝った。

カハク「ウィル、ごめんね。気持ちが揺れてるなんて、言って…」

ウィルオウィスプ「ウォレ キニシテナイゾ。 デモ アヤマッテクレテ アリガトウ」

>お互いに頭を下げた。

ウィルオウィスプ「コースケ ノコリノ キーラ トリニイクゾ!」

光介「ああ。それじゃ、いっちょがんばってこーかっ!」

仲魔たち「おうっ★」

>4/5話へ続く…


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