ある料理教室の先生のお話から-----------------------------------
ノーベル平和賞受賞者でケニア共和国環境副大臣の、
ワンガリ・マータイさんが日本の言葉である「もったいない」の
素晴らしさを取り上げ、世界に広げてくれましたが、今、それを
いちばんわかっていないのは日本の子どもたちかも知れません。
私のクラスにはベンツで送り迎えされている男の子がいました。
親が40歳を過ぎてようやく生まれた一粒種なのだそうですが、
彼はまっさらの色紙をちぎってはバアーっと撒くのです。
私が「そんな事をしたらもったいないやん」と言うと
「買えばいいやん、けち!」という調子でした。
ところがみんなでパン作りをしていた時のことです。
粉にバターと塩を入れ、イースト菌を入れて捏ねました。
タネを休ませてから形を作りオーブンで焼き上げるわけですが、
ホットクッキングシートに子どもの名前を書いて、
自分が作ったパンは必ず本人が味わえるようにしました。
その男の子にも焼き上がりを渡したのですが、
まだ熱かったので床に転がしてしまったのです。
「汚れたから替えてあげようか」と聞くと、
何とその子は「もったいない」と言ったのです。
最初から最後まで自分で頑張って、ようやく手に入ったパンです。
これを体験した彼にとって少し汚れたくらいでそのパンを失う事が、
「もったいない」だったのです。
おまけに梅干の大きさほど残すので「どうしたの?」と尋ねると
「おいしすぎるから、お家のみんなに食べさせてあげたいの」
と持って帰りました。そしておじいちゃん、おばあちゃん、
お父さん、お母さんの口に少しずつ入れてあげたそうです。
お母さんは
「あの子は生まれてからずっと、
周囲の人間はみな自分に尽くすものと思ってきました。
それが、生まれて初めて人のために何かをしたのです。
私は、あんなにおいしいパンを初めて食べました」
とおっしゃていました
~さかもとひろこ氏の文章より~
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東京の高級住宅市場では住宅に関する要望の高いものに、
「高級感」「ステイタス」「セキュリティ」などが上位になります。
逆に優先順位の低いものに「DIY」「家庭菜園」「コミュニティ」
があります。人はお金持ちになると「梅干大の汚れたパンの味」
を忘れるのかも知れません。
でも、このお母さんのように決して知らない訳ではないのでしょう。
むしろ心配なのはこういった体験に恵まれない子どもの方だと思います 。
東京の坪何百万もする土地で家庭菜園なんて馬鹿げているという
意見もありますが、子どもを大切に思う親の気持ちや「食」を通じて
の感性に値段は付けられないはずです。
前出のさかもと氏いわく、
6歳までの子どもには全能感というのがあって、
自分は何でも出来るというくらい自信をつけることが出来るそうです。
そのためには文章や映像による経験ではなく、
自分で料理をして味わうという、五感を通じた体験が大切なのです。
私の家には50cm×50cmの「畑」があります。トマトが2本、
バジルなどハーブがちょっと。ナスはポットで1本。
あとブルーベリーが5~6本。
うちの3歳の娘は、トマトが赤くなるのと
ブルーベリーが熟して黒くなるのをとても楽しみにしています。
去年、彼女は一人でうちのブルーベリーを食べつくしました。
今年も、もう早く実を取って食べたくて仕方ないみたいです。
今日は一人で庭に出て、
「いらっしゃ~い! いらっしゃ~い!
ここは、ブルーベリー屋さんですよ~!
あ、トマトは、赤くなったら食べるんですよ~」
といっています。
これも食育ですよね。