人気記事、再アップです!!

 

「セリフとは、何か?」ということを、3回に渡ってご説明しております。

ぜひ、参考にしてみてくださいね!!

 

 

 

 

 

 

誤解を恐れずに言ってしまえば……

 

 

セリフは、

いかにヘタに喋れるかが勝負です!!

(※演技のスタイルによって、認識に違いがあります。あくまでも、僕の演技メソッドの観点でお話しします。)

 

 

 

 

……え??

意味わかんないんだけど。

 

演技って、セリフを上手に喋れなきゃダメなんじゃないの??

 

 

 

俳優・Aさんのセリフの中に「大丈夫。なんとかなりますから。」という言葉がありました。

そこでAさんは、とっても優しそうに、相手を思いやるような感じでセリフを言いました。

 

物語上、相手役のキャラクターは深い悩みの中にあって、それを慰めるような文脈で「大丈夫」というセリフが台本に書かれていたのです。

 

 

Bさん「いやぁ、本当に参ってしまって…」

Aさん「大丈夫。なんとかなりますから。」

 

 

……別に何もおかしなところのないやりとりですよね。

 

 

ところが、ここで。

二人の間に、非常にイビツなコミュニケーションが出現したのです。

 

 

相手役を演じるBさんが前のセリフ「本当に参ってしまって…」を言っている時、不安な表情をひとつも見せていないのにも関わらず。

 

Aさんは、「大丈夫」というワードと、全体を取り巻く雰囲気を表現しようとしてしまい、とても心配そうな顔と、優しく慰めるような笑顔を見せて「大丈夫。なんとかなりますから。」と相手役に声をかけてしまった。

 

つまり、Bさんのその瞬間の演技を無かったことにして、台本のイメージだけで演じてしまったのですね。

 

 

言い換えれば。

「大丈夫」という日本語が持つイメージだけを、そのまま「上手に」喋ってしまった。

 

その場のコミュニケーションではなく、台本にプリントされた文字情報のイメージを優先してしまったのです。

 

 

 

👆こちらの記事でもお話ししていますが。

(ここでは、台本読解という観点から分析しています)

 

 

「元気?」という一言でも、状況や相手によって、無限大に言い方が存在する。

コミュニケーション次第で、言い方はいかようにも変化します。

 

 

ところが。

その瞬間の相手ではなく、台本の言葉のイメージをいかに正確に美しく発語するか。

それを優先させてしまった結果、会話劇で一番大切な「コミュニケーション」が抜け落ちてしまった。

 

「元気?」

「大丈夫。」

 

こうした言葉が、その瞬間にどんなふうに発せられるかは、その瞬間のコミュニケーションに全てがかかっている。

 

つまり、その瞬間の相手こそが、セリフの言い方をはじめとした「演技」を決定づける「台本」なのです。

 

 

 

だいじょうぶ【大丈夫】

……安心していられる(任せられる)ほどに危なげない(確かな)こと。

 

 

 

 

日本語には、確かに、そこに備わった「意味」があります。

 

ただし。

生きた会話というのは、その文字のイメージとは異なる「心」や「コミュニケーション」が内側に流れています。

(これを、「テキスト=台本」に対して「サブテキスト(ポドテキスト)=包まれた、内なる台本」といいます)

 

 

▲pod=さや。

えんどう豆は、中身がなくては「えんどう豆」とは言えません。

 

 

 

俳優にとって、その瞬間の演技を成立させるための台本は、あらかじめ紙にプリントされた文字情報などではなく。

あくまでも、目の前にいる「相手役」。

 

 

「その瞬間の相手」こそが、演技を決定づける「台本」。

 

 

だからこそ、演じている間は。

相手役から、決して意識を逸らしてはいけないんです。

 

相手役から意識を逸らした瞬間。

自分の中から、台本は消失してしまう。

 

 

 

▲だ…台本が、ない!!

相手役から意識を逸らすと、こうなります。

ちなみに、いまだに台本をまったく覚えていないのに舞台本番が来てしまう夢を見ます。

 

 

 

「セリフは、いかにヘタに喋れるかが勝負」

 

 

……実際、近年のアメリカの映画などを見ていると、「なんでその言葉をそのニュアンスで喋った?」ということがしょっちゅうあります。

本来の言葉の意味ではなく、違うニュアンスだったり、あるいはモロに棒読みっぽかったり。

 

“Thank You.”

 

というセリフを、文字通りに「本当に感謝の気持ちを込めて、セリフを上手く喋っている」というケースの方が、むしろ珍しいんじゃないかと思わせるほど。

 

 

 

これ、結局のところ、何が起こっているのか……??

 

 

 

例えば、

 

「バカ」

 

というセリフ一つ取っても。

 

 

文字通り、バカなやつを「バカ!」と罵っている場合もありますが。

 

 

 

……ここで、ちょっと記号を書き加えてみましょう。

 

 

 

「バカラブラブ

 

 

 

……たったこれだけで、本来の文字情報が持っている意味から離れるでしょ?

なんなら、真逆の意味を帯びてしまったりする時もある。

 

 

「バカ…ラブラブ

 

 

「…バカラブラブ

 

 

さらにちょっと手を加えただけで、微妙なニュアンスがどんどん変化していきます。

 

 

 

つまり。

 

 

台本に書かれた文字の「意味」を上手に言おうとしていると、この「ラブラブ」や「…」が、演技に反映されなくなってしまうんです。

 

相手がどんなふうに接してこようと、「バカ」と台本に書かれていたら「バカ」と、本来の意味を込めて言ってしまい、結果的にイビツな会話になる。

 

 

 

ばか【馬鹿】

知能が劣り愚かなこと。 また、その人や、そのさま。 人をののしっていうときにも用いる。

 

 

 

これが先ほどの「大丈夫。」でも起こっていたため、相手役と会話が成立していないように見えたんです。

(そうなると、実際、相手役とどんどん心が通わなくなっていくので、演技がさらに崩壊していきます。)

 

 

 

台本の日本語を上手に喋れば喋るほど、サブテキストは死んでいく。

なぜなら、その演技は相手役とは行われておらず、ただただ台本の文字と演技をしてしまっているだけ。

 

大事なのは、言葉が本来持っている意味内容をいかに外して喋れるか?

つまり、いかにその言葉をヘタに喋れるかが、結果的に、生きたコミュニケーションに繋がってゆくのです。

 

 

 

……この話題。

実はとても感覚的な話なので、今日お伝えしただけだと「わかるような、わからないような……」と思われる方も多いかもしれません。

 

何せ、「セリフはヘタに喋れ」なんて、「相撲取りの100m走」くらい支離滅裂な話に聞こえますから(笑)

 

感覚的な分、言葉で端的に説明するのがなかなか難しいので、引き続き、別の事例などをあげてお話ししてみようと思います。

 

 

 

▲そんなこと言ってたら、たまたまこんな動画を見つけました(笑)

 

 

 

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