台本読解の重要性について……

 

 

 

 

 

……この問題については、以前のブログ記事でもお話させていただいています▼

 

 

 

 

さて。

今日はちょっと別の側面から、台本読解の大切さについて見てみましょう。

 

 

 

よくある、演出家やコーチからのダメ出し。

 

 

「相手役にもっと集中しろ!!」

 

「相手役とコミュニケーションを取れ!!」

 

 

この言葉に「はい!」とすぐ答えて、そして実行できるだろうか??

 

 

 

相手役に注意を向けること、コミュニケーションを取ることは、当たり前すぎるくらいの “演技の基礎” です。

 

ところが、どれだけの人がその基礎を理解し、そして実行に移せているだろうか??

こんな指示が演出家やコーチから飛んできたら、皆さんの胸の中に、次のような声が聞こえるのではないだろうか??

 

 

「ちゃんと集中してるつもりだし……」

 

「これ以上、どうしろってんだよ……」

 

 

実は、単に「相手に集中しろ」「コミュニケーションを取れ」という指示ほど、乱暴なものはありません。

俳優側は、そんなことは重々承知でしょうし、やれるもんならもぅすでにやってる!って話。

 

 

 

▲「もっと相手役に集中しろ!」「オッケィ!!」……って、そんな簡単にやれるのなら、もうみんなやってます!!

なぜそれができていないと指摘されるのだろう? 難しく感じるのだろう?

 

 

 

……このダメ出し、なぜ「乱暴」かと言うと。

 

 

例えば、皆さんがいきなり「探せ!」と言われたら、どうしますか??

 

 

「探せ!!」

 

 

……さぁ、どうしますか??

 

 

「え……??」

 

って、動きが固まるんじゃないでしょうか。

 

 

次に、

 

「いきなり『探せ』って言われても……どうすりゃいいの??」

という思考が起きる。

 

 

 

▲オイオイ、いきなりそんな風に言われても困るぜ。

 

 

 

その通りなんです。

 

当たり前かもしれませんが、人はいきなり「探せ!」とだけ言われても、何も探せない。探しようがない。

だって、「何を」探せばいいのかが分からないのですから。

 

で、何を探したらいいのか分からないから、とりあえず動きが固まる(命令してきた相手を見つめる)か、何かを探してる「フリ」をする

 

 

当たり前のことですが、「何を?」という具体的な指示語がない限り、「探す」という行動を実行できないですよね?

(試しに、今、身の回りの「赤いもの」を探してみてください。……具体的な指示さえあれば、なんなく実行できたと思います!!)

 

 

 

つまり。

 

「相手に集中しろ!」と言われても、相手の「何に」集中して良いのかが分からない限り、集中のしようがない。

具体的な目標がなければ、集中のしようがないんです。

 

 

「コミュニケーションを取れ!」と言われたって、「何について」コミュニケーションを取ればいいのか分からない。

これ以上、コミュニケーションの取りようがない。

 

 

 

安心してください。

それって、人間としてすごく自然なことですから(笑)

 

 

……ところがやっぱり、演技の場面で「相手に集中しろ!」「コミュニケーション!」と、謎すぎる言葉が飛んでくる。

 

 

 

▲もっと相手役に集中しなっさぁ〜い!! コミュニケーション取りなっさぁ〜い!!

 

 

 

▲だから、それが分からないって言ってんの!!

 

 

 

結論。

 

実はこれ、演出家やコーチが悪いと責める前に、「集中すべきこと」「コミュニケーションをすべき内容」について、俳優が見つけられていないのが、そもそもの原因です!!

 

 

役は、相手役の「何に」注意を払っているのか?

相手役と、「どんな」腹の探り合いをしているのか?

 

それを具体的に掴めていないから、相手に注意の向けようがない。

言葉の裏のコミュニケーションを取りようがない。

 

 

つまり、これが「台本が読めていない」ということなんです!!

 

 

 

男「もう時間遅いけど、帰らなくていいの?」

 

女「うん、明日仕事だし…そろそろ帰ろうかな?」

 

 

 

例えば、たったこれだけのやり取りでも、二人を包み込む「状況」が理解できていれば、いろんな意味を持つようになる。

 

 

 

男は、女のことが嫌いで、早く帰って欲しいと思っていたら?

 

男は、女に愛の告白をしようとしているのだとしたら?

 

女は、男に別れを告げようか迷っているのだとしたら?

 

女は、男が他の女性と浮気をしているのを知っていたら?

 

 

 

一回ずつ、それぞれの状況を入れながら、二人のやり取りを見てみてください。

 

……変わったでしょ??

 

 

 

▲その想い、口には出さないけど……。

相手に集中したり、コトバの裏側のコミュニケーションって、やっぱり恋愛に例えるのが一番分かりやすい(笑)

 

 

 

状況をクリアにすることで、相手の「何に」注意を向けるべきか、見えてくる。

ソワソワしている相手の視線なのか、その表情なのか、あるいはチラリと腕時計を見る相手のしぐさなのか。

 

しっかり状況を掴んでいれば、相手との「セリフの裏側のコミュニケーション」が自然と生まれてくる。

想像が湧いてくる。

 

 

 

台本読解とは、役の置かれた状況をきちんと拾い上げる作業。

そこから、役は何をしたがっていて、何に注意を向けているのかをクリアにする作業。

その時、コトバの裏側で、どんなコミュニケーションが生まれているのかを見抜く作業。

 

 

 

セリフというのは、海面に突き出た氷山の一角でしかありません。

海の中を見れば、ホントの氷山はもっと深くまで続いている。

 

台本読解をせずにパフォーマンスをするというのは、氷山の「海面に見えている部分」しか見ていないのと同じです。

役を氷山に例えれば、海面の下に氷山の本体は沈んでいます。

 

台本読解とは、その「海中の氷山」を見ていくのと同じ作業なのです。

 

 

 

▲海面に見えているところだけに、騙されるな!!

 

 

 

台本読解術を使ってきちんと読むことで、役の行動目的、取り巻く状況を掴み、整理することができます。

その結果、どのセリフを立てて言おう、といったことはもちろん。

注意を向けるべきところが具体的になるので、相手への集中力を高めることができ、コトバ以上のコミュニケーション(腹の探り合い)が生まれてくる。

 

 

「もっと相手役に集中しろ!」

「ちゃんとコミュニケーションを取れ!」

 

 

その乱暴な言葉も、氷山で言えば「水面に見えている部分」に過ぎず。

海の中を探れば、「台本の読解不足」という根深い原因が見えてくるかもしれません。

 

 

 

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※募集開始は11/13(土)

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※終了しました。ありがとうございました!

 

 

 

 

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