ある意味、このグループこそが、現在の同事務所の隆盛の礎を築いたと言っていいかもしれない。
そのメンバーは、北公次さん、青山孝さん、江木俊夫さん、おりも政夫さん。
※青山孝さんは、その後「青山孝史」と改名していますが、当ブログではあえて旧芸名で書くことにします。
なお、青山孝さんは2009年1月28日に、北公次さんは2012年2月22日に、それぞれ死去されています。
現在、同事務所の創設者・ジャニー喜多川が所属タレントの少年たちに長年にわたって行ってきた性加害の事実が、大問題になっている。
世界中のニュースを伝えるイギリス公共放送BBCが、今年になってこの問題を大々的に取り上げたからである。
だが、それよりも早く、今から35年も前にこの問題を最初に世に知らしめたのが、前述のフォーリーブスのメンバーの一人、北公次さんだった。
北公次さんは、1988年11月に、『光GENJIへ･元フォーリーブス北公次の禁断の半生記』と題した著書を上梓、この本の中で、ジャニー喜多川から受けた性被害について初めて赤裸々に述べ、世間を驚かせた。
この本はシリーズ化され、翌1989年12月に出た『光GENJIファンから北公次へ』まで、わずか1年ほどの間に全6冊が出版された。
私も、第1冊目の『禁断の半生記』と、あと、どの本だったか忘れたが、続編の1冊を読んだことがある。
あいにくこれらの本は現在私の手元に無いので、以下は記憶に頼って書くのだけれど、第1冊目の『禁断の半生記』に関しては、性被害に特化した内容ではなかったと記憶している。
北公次さんはフォーリーブス解散後は、覚醒剤取締法違反で逮捕されたりして、どん底の状態にあった。
だが北公次さんは再び芸能界で活動することを強く希望しており、そのためにゼロからやり直そうと、自らの不祥事も含めて、これまでの半生を洗いざらい公表することにしたのだろう。
実際、第1冊目では、本来なら隠しておくべきプライベート上の問題まで、隠さず正直に語っていた。
その流れで、ジャニー喜多川から受けた性被害についても赤裸々に述べたのである。
【男性アイドルのイメージ画像】
（NORIMAさんによるフリー画像：https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=KDN9Q2UO&area=1）
著書のタイトルにある「光GENJI」というのは、当時のジャニーズ事務所で人気ナンバーワンだったグループの名前である。
北公次さんがこのグループ名をあえて著書のタイトルに用いたのは、人気絶頂の後輩たちに対して、
――君たちはどうか俺みたいになるなよ。
というメッセージだったのだろうと私は想像している。
また、ジャニー喜多川の性加害問題からは脱線するのだけれど、北公次さんは『禁断の半生記』の中で、これも故人である俳優で脚本家の金子正次（かねこ・しょうじ）さんとの交流についても、かなりのボリュームをもって語っている。
金子正次さんは1983年11月6日に33歳の若さで亡くなっているが、亡くなる直前に自ら脚本を書いて主演もした映画『竜二』（りゅうじ）が大ヒット。この映画に、北公次さんも出演していた。
これはヤクザ映画なのだけれど、暴力シーンが一切無い異色の作品なのだそうだ。
この映画の中で、金子正次さんは、愛する女性と結ばれヤクザから足を洗ったものの、再びヤクザの世界に戻っていってしまう主人公を演じ、北公次さんは、その主人公を慕う弟分のヤクザを演じていた。
北公次さんがキャスティングされたのは、金子正次さんが強く推薦してくれたためであり、そのことを北公次さんは嬉しく思い、その恩に報いようと、金子正次さんのことをもっと多くの人に知ってもらうべく、著書の中で大きく取り上げたのだろう。
なお、その著書の中で金子正次さんの下の名前には「まさつぐ」とルビがふってあったように私は記憶しているのだが、Wikipediaでの記述では、「しょうじ」が正しいらしい。
実際私は、この人の名前をずっと「かねこ・まさつぐ」と記憶していた。北公次さんが実際に共演もした恩人の名前を間違えるとも思えないし、この点はいささか謎である。
映画『竜二』はDVDやBlu-rayにもなっていて、現在も販売されているので、観ることは可能です。
ところで、フォーリーブスの他のメンバーたち、青山孝さん、江木俊夫さん、おりも政夫さんは、北公次さんがジャニー喜多川から性加害を受けていたことを、その著書を読むまでまったく知らなかったらしい。
さらに言えば、この人たちは性被害などまったく受けていないようだ。
どうやら、ジャニーズ事務所の所属タレントが例外なく同じ目に遭っているというわけではないようなのだ。
（続きます。）
（参考動画）
【BBC News Japan】
BBCドキュメンタリー「J-POPの捕食者：秘められたスキャンダル」【日本語字幕つき】
（公開日：2023年6月17日、再生時間：52分29秒）
※この動画は年齢制限が設けられているため、このブログでは表示されません。ご覧になりたい方は上の表示されているリンクからYouTubeのページへ移動してください。