昨年の暮れにも書いたのだけれど、私はもう何年も「NHK紅白歌合戦」を観ていない。
昨年度の「第72回NHK紅白歌合戦」も、やはり観なかった。
だから、紅組、白組のいずれが勝ったか知らなかったのだが、先ほどネットで検索して、ようやく紅組が勝利したのだと知った。
ちなみに前年も紅組が勝っており、一時期、毎年白組ばかりが大差で勝つという状況が数年間続いていたが、それはどうやら脱したのであろうか。
毎年年末になると、いったい「NHK紅白歌合戦」は何のために、誰のためにあるのだろうか、と思うことがある。
このことについては、以前にも書いたので、ここでは繰り返さない。
↑この過去記事でも書いたが、私の亡父は毎年「NHK紅白歌合戦」を楽しみにしていた。
その父が、珍しく年末に行われる格闘技戦に興味を示したことがあった。
それは、元柔道家の小川直也さんと吉田秀彦さんが対戦するという試合で、どちらもオリンピックに出場したこともある高名な人たちだったから、父も興味を持ったらしい。
私はこの試合がいつ行われたのか忘れてしまっていたので、改めて検索してみたら、開催されたのは2005年12月31日と分かった。
ちなみに、勝者は吉田さんだったそうだ。
(小川直也さん:荻吉さん, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)
(吉田秀彦さん:荻吉さん, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)
私の母が死んだのが2005年の1月だから、この試合は母が死んでから最初の大晦日に行われていたのだった。たぶん生中継もされていたのだろうと思う。
だけど、この日は結局例年通り「紅白歌合戦」の方を観た。
実は私もこの試合はちょっと観てみたかったのだけれど、何となく例年通りNHKにチャンネルを合わせてしまった。父も、試合のことは忘れていたようである。
とはいうものの、父が「紅白歌合戦」以外の年末イベントに関心を寄せたのは、確かに珍しいことだった。
おそらく父は、小川VS吉田戦に興味はあったものの、それが大晦日に行われるとまでは知らなかったのではあるまいか。だから例年通りNHKの方を観てしまったのだろう。
ところで、昨年度の「第72回NHK紅白歌合戦」は、史上最低の視聴率だったそうだ。
マスコミの報道によれば、午後9時からの第2部の平均世帯視聴率が34.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)とのことである。
この事実について、ある放送作家さん(名前は伏せられていた)のこんな意見を、「AERA dot.」というサイトが伝えている。筆者は立花茂さんという人で、おそらくこのサイトの専属のライターだろう。
(引用)
「ジェンダーレスを意識して紅組司会、白組司会を廃止して『司会』に呼称を統一しておきながら、男性歌手は白組、女性歌手は紅組という従来の枠組みや投票により優劣を競う歌合戦形式はそのままというところが、いかにも中途半端でコンセプトがよく分かりません。それに、たたでさえ演歌勢が減っているのに氷川きよしさんや水森かおりさんらにオリジナル曲でない懐メロを歌わせたのも微妙でした。それなら以前のようにオリジナル曲を歌うパートも作ってあげて、懐メロは特別企画として別枠でやればいい。ただでさえ、『紅白』は歌を楽しむ以外の無駄な演出が多いイメージがあるなかで、打つ施策がことごとく逆効果になったと思います」
(引用、終わり)
上の意見で私が気になった点が一つ。
ジェンダーレスを意識して紅組司会、白組司会が廃止されたことは、上の意見で初めて知ったが、この放送作家さんは「男性歌手は白組、女性歌手は紅組という従来の枠組みや投票により優劣を競う歌合戦形式はそのまま」であることに批判的なようである。
私は、投票により優劣を競う点はともかく、男性が白組、女性が紅組での歌合戦形式はそのままで良いと思う。
演歌歌手に関する意見の部分は、私も同感だ。
言うまでもないことだと思うが、「紅白歌合戦」は、決して真剣勝負ではない。
男女対抗のかたちを取ってはいるけれど、それはあくまで番組を面白く盛り上げるための演出である。前述の小川VS吉田戦はまぎれもない真剣勝負だったが、「紅白歌合戦」は和やかな雰囲気のもとで開催されるべき娯楽イベントなのだから、楽しさこそが優先されなければいけない。
とはいえ、一方のチームばかりが毎回大差で勝っていたのでは、確かに興ざめだ。
前にも書いたが、男女対抗形式はやめて、出場歌手を出身地別に東日本(東軍)と西日本(西軍)に分けて、「東西歌合戦」にしたらどうかという意見があるブログのコメント欄にしきりに書き込まれたことがあった。
それは白組ばかりが毎年大差で勝っていることから出た意見だったが、ブログ主は「紅白歌合戦」の伝統が汚れると言って怒り、それらの意見をことごとく削除していた。
「紅白歌合戦」の伝統なんて、色々な意味でとっくに汚れているのに。
繰り返しになるが、私は男女対抗の「紅白歌合戦」のままで良いと思う。
何故なら、鹿児島県出身の森進一さんが北海道を題材にした『襟裳岬』を大ヒットさせ、その年の「紅白歌合戦」に出場した例がある。
もしもこれが「東西歌合戦」だったなら、どうだっただろうか。
森進一さんは鹿児島県出身だから西軍ということになる。しかしそれで北海道が舞台の歌を歌ったのでは、興ざめではないか。
また、PUFFY(パフィー)という女性デュオは、東京都出身の大貫亜美さんと大阪府出身の吉村由美さんで結成されているのだが、特にどちらがリーダーということはなく、対等な立場で活動しているらしい。
ということは、PUFFYは東軍、西軍のいずれに入ればいいのか分からないので、「東西歌合戦」だととても困るのだ。
森進一さんやPUFFYのような事情をもった歌手はこれからも出てくるだろうし、そうなると「東西歌合戦」よりはやはり「紅白歌合戦」の方が何かと問題が少なくて済むと思うのだ。
もっとも、「紅白歌合戦」を観てもいないお前が言うな、と言われれば、返す言葉は無いのだけれど。
(男性歌手:音楽記号 pngから ja.pngtree.com/)
(女性歌手:人気の歌手 pngから ja.pngtree.com/)
(背景・ライブの観衆:フリー画像、帰属表示の必要なし)