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くろしんのブログ

世田谷梅ヶ丘 くろしん接骨院 の ブログです。

“医療”が慢性痛の原因になってしまっていることも多いようです。

 

前回ご紹介の北村先生は「診断名」には“呪い”があると言います。

 

「診断名とは不思議なもので患者さんに決して良いものとは言えない安心感の様な不思議な感覚を与え、悪い方向に考えさせるきっかけにもなります。」

 

先生によれば、症状に「診断名」がつくことで、なぜか安堵する方が多いそうです。

 

更には、そこからインターネットなどで当てはまる症例を探し出し、「ひどくなった」「悪くなった」と言う話ばかりを集めて、自ら「絶望のストーリー」に陥っていく人が多いとか。

 

 

 また、医療(医師)側の問題も大きいと言います。

 

欧米では「心理的ストレスや抑圧状態だけでも痛みを引き起こす」と認識され、治療法も進んできているのに、日本では旧態依然で何の対策も行われていないそうです。

 

医師も「痛みがある部位にこそ原因がある」と言う思い込みが強く、その部位で何とか見つけようと無駄な検査をしたり、なかば強引に診断名をつけて、原因も分からないのに投薬してしまうことも少なくない現状だそうです。(同感する方も多いのでは?)

 

 

また、別の背景として、診断名をつけなければ診療報酬や研究費がもらえなかったりするなどの経済的理由も現実としてあるようです。

 

これまで説明してきましたが、慢性痛は脳の機能不全で起こることが多いわけですから、こうした日本の現状では治らないばかりか、薬の副作用でこじらせてしまいますね。

 

鎮痛剤、精神安定剤、睡眠剤、抗ヒスタミン剤、筋弛緩剤、胃腸薬等も大脳抑制リスクがあるそうです。以上のような診断の弊害を踏まえ、北原先生は「呪い」と評しているのです。

 

 

一連の解説の中で、「レントゲン」についても触れられています。

 

「痛みの治療、特に腰痛の場合、レントゲンはほとんど意味がありません。

レントゲンは患者さんに“植えつけ”を行うことで、心理的な効果を及ぼしている。レントゲンに映った“痛みの証拠”を自分の目で見て安心する。

これは「ここが悪いんだ」と言う悪しき思い込みを誘発してしまい、これが慢性痛に繫がっている。」と指摘します。

 

実際欧米では交通事故の時や骨折など、急を要する場合を除いてはレントゲンを撮ることはありません。

 

その理由は撮ったところで有効性が低いばかりか、医療費や被曝の問題があるからです。

 

 

 僕自身、整形外科勤務時代はレントゲンをバンバン撮るのが当たり前との感覚でしたが、画像が症状と一致しない現実、画像はあてにならないと言うことをまざまざと経験してきました。(「画像正常症状異常」「症状治れど画像変わらず」)

 

 

とにかく、このへんの日本の常識は世界の非常識であることは特筆すべきことでしょう。

 

最後も北原先生の言葉で締めたいと思います。

 

「良い医師を選んでください。そのためにもリテラシーを高めて(良い医師を)見極められるようにしてください。医師は神様ではありません。患者さんにとっての手段でしかないはずです。」  

 

以上、ご参考まで。

前回は「痛みは脳がつくりだす」と言うお話でした。

今回はその続きで『慢性痛』について。

 

前回ご紹介した北原先生は「慢性の痛みとは原因がわからない痛み」と定義します。

誤解を恐れず補足的に説明すると、「原因がわからない」というのは「医学検査では原因を見つけられない」と言う意味です。 

 

それもそのはず、慢性痛の原因は下図の様に多種多様、且つ複雑に絡み合っているのです。

 

怪我など、どこかしらを損傷して生じる「急性痛」は受傷患部の「侵害受容器」が脳へ伝達し痛みが生じるのに対し、

 

慢性痛はストレスや不安等の『心理的要因』、運動不足や過労等の『身体的要因』、そして孤独・孤立等『社会的要因』などが複雑に絡みあい、大脳皮質を機能不全に陥れることで「痛み」と認知させているのです。

 

つまり、慢性痛は、本人の日頃の“生き方”が原因になっているということですね。

 

 

これには当然、性格や精神状態も影響します。

プレッシャーを感じている時や(“自分”を押し殺して)真面目に頑張りすぎている時、「恨み」「辛み」「嫉み」等の感情を抱いている時などに慢性痛は発生しやすいのです。

 

“考え方”にも傾向があります。全ての物事はポジティブ・ネガティブ両面から捉えることができますが、慢性痛になりやすいのはネガティブに捉える傾向が強い方だそうです。

 

確かに、ネガティブに捉えている時は痛みそのものも強く感じますし、何事もやる気が起きないものですね。これは当然元々の気質もありますが、誰でも時にはネガティブになってしまうこともあるものですよね。

そんな時に慢性痛は出やすいのです。

 

 

北原先生は言います。

「病は気から、痛みも気から」

慢性痛のことをまとめていて「穢れ(ケガレ)」を思いだしました。

 

“穢れ”というと、何か汚れたように連想するかもしれませんが、本来は『気枯れ』、つまり、その方が持つエネルギーが消耗している状態を差す、日本古来からの言葉です。

 

人生山あり谷あり、懸命に生きる中で疲れてしまう事がありますよね。その状態が長引いた時など、「慢性痛」として教えてくれているのでしょう。身体が「無理しないで~」と。

 

慢性痛を治すに、まずは本人がこうしたことを受け止めることが重要です。

 

「何が気枯れを起こしているか?」生活の中で自分が無理していることをつきとめて、それを改善することが出来れば、長年の痛みからあっさりと解放されることも多いようです。

 

また、例え原因がわからなくても、「脳が痛みをつくりだす」ことを理解して、積極的に行動できれば慢性痛は出なくなります。

 

これは私自身(くろしん)の治癒経験でもあります。

【5月スケジュール】についてお知らせいたします。
 

☆基本施療時間

 火・木・金 9時~19時(時間内予約可能)(※5/2短縮)

 月・土   9時~17時(時間内予約可能)

  水    9時~17時※15、22日はどちらかお休みになるかもしれません)

《完全予約制》

※上記時間は予約状況に応じて変動することがございますのでご注意ください。

 

※火・木の9時~9時半は「体操教室」がありますので、施術開始はそのお時間以降となります。

 

☆定休日:日曜日

 

☆臨時休院:5/3(金)~5/6(月)、5/25(土)

 

☆スクワット部:毎木曜日 午前9時~9時半(予約不要)
        
☆可動部:毎火曜日 午前9時~9時半(予約不要)
 

         

 

※施術中など、電話対応できない場合がございます。
その際には留守電にお名前(だけで結構です)を入れて頂くか、LINEやメール等でご連絡ください。
確認でき次第返信いたします。

 

※ご相談も喜んで承ります。

 

今回は『痛み』についてご紹介していきます。

 

 参考にするのは、横浜市立大学付属市民総合医療センター診療教授で難治性慢性疼痛専門医の北原雅樹先生の著書「日本の腰痛 誤診確率80%」です。 では早速。

 

 皆さんは「痛み」はどこで起こっているとお考えでしょうか?

例えば腰痛の場合はどこ?腰でしょうか? 

それとも坐骨神経? 

もしくは脊髄?  

 

答えは全てNO。

そして、「脳」なのです。

 

手に怪我をしたとします。

そこで発せられた“痛み信号”が「末梢神経」に伝わります。

それは「脊髄視床路」に引き継がれ、「視床」を通り「脳」へと伝わり、脳がそれ(情報)を分析し、反応すると言うのが仕組みです。

この時、脳の「大脳皮質(中心後回)」では痛みが発生している場所や強さを識別し、「大脳辺縁系」では痛みの嫌な感じや辛さ

などの感情が引き起こされるのです。

 

以上のように、痛みは、痛いと思っている箇所が感じているのではなくて、脳がさまざまな情報を統合した結果として痛みだと認識しているのです。

 

 この痛み、面白いことに地域や民族、そしてそれぞれの文化によって特性があります。

その痛みを意味する言葉や概念がその人が生活している文化圏に存在していなければ、その痛みを感じることは無いか、または別の表現になるようです。

 

例えば、“肩こり”は日本だけにしか存在しないと聞いたことありませんか?

これは夏目漱石きっかけ説が有名ですね。

 

彼が作中「肩が凝る」と造語で表現したことに端を発していると言われています。

北原先生によると、バルト三国では“ムチウチ”が存在しないのだそうですよ。すぐ治るからと負傷することを意識されていないとか。

その方の背景にある、固有の文化によってずいぶん違うのですね。

さらに言うと、「痛みへの感受性」、つまり痛みの感じやすさは、遺伝的な要因と文化的な要因の両方によって決まるところがあることがマウスの実験で実証されたそうです。

 

また、心理面の影響を強く受けます。不安や悲しみなどの心理ストレスを受けると痛みの閾値(感じる最小の値)は小さくなり、痛みを感じやすくなってしまいます。

 

上述した大脳皮質は「痛みの想像」やうつなどに伴う“心の痛み”や幻肢痛(失った手足が“ある”かのように痛む)などでも活性化することが明らかになっているようです。

 

北原先生によれば、この痛みを感じる「脳」が機能不全に陥ってしまうと、「慢性痛」となりやすいそうです。 

 

次回はその『慢性痛』について。

 『自律訓練法』をご存知でしょうか。

これは1932年にドイツの精神科医シュルツによって創始された「自己催眠法」です。

短時間で、自分でも簡単に実施でき、高いリラックス効果が得られやすいのが特徴です。

心療内科で最も使われる技法の一つですが、使えるのはなにも臨床現場に限りません。

日頃の「ストレス解消法」としても効果が期待できます。と言うことで、今回これをご紹介。

 

自律訓練法は厳密には複数ありますが、一般的なのは「背景公式」と「6つの公式」の

計“7つの公式”で構成されるやりかたです。但し、リラックス効果は「第二公式」までやれば

十分だそうなので、今回はそこまでをご紹介しますね。

 

 

         【自律訓練法】

《準備》

   ○ 楽な姿勢(座っていても寝ていてもOK)になる

   ○ 静かに目を瞑って、呼吸を整える

 

《実施》

       順番に“公式”を心の中で唱えていく 

     (ゆっくり息をしながら三回ずつくらい)

 

①背景公式 

  「 気持ちが  落ち着いている。。  」

  「 気持ちが  落ち着いている。。 」

  「 気持ちが  落ち着いている。。  」   

 

②第一公式(重感)

  「 両手が 重たい。。 」

  「 両手が 重たい。。 」

  「 両手が 重たい。。 」

 

  「 両足が 重たい。。 」

  「 両足が 重たい。。 」

  「 両足が 重たい。。 」

 

③第二公式(温感)

  「 両手が 温かい。。 」

  「 両手が 温かい。。 」

  「 両手が 温かい。。 」

 

  「 両足が 温かい。。 」

  「 両足が 温かい。。 」

  「 両足が 温かい。。 」

 

 

《消去動作》 

※毎回最後に必ずやりましょう(眠ってしまった場合を除く)

   ○ 手のグーパー

   ○ 肘の曲げ伸ばし

   ○ 大きく背伸びする

   ○ 深呼吸して目を開く

 

 

 以上、今回はストレス解消法として『自律訓練法』をご紹介しました。

 

とても簡単ですよね。

慣れてくると筋肉が弛緩する感じが分かるそうですよ。

 

日頃多忙だったり、イライラすることが多い方は特に実践されてみて下さい。              くろしん

【4月スケジュール】についてお知らせいたします。
 

☆基本施療時間

 火・木・金 9時~19時(時間内予約可能)

 月・土   9時~17時(時間内予約可能)

  水    9時~12時 ※10、17、24日はお休みになるかもしれません。

※予約状況に応じ、その都度営業時間を設定しております。

ご希望のお時間をご相談ください。

※月・火・木の9時~9時半は「体操教室」がありますので、施術開始はそのお時間以降となります。

 

☆定休日:日曜日

 

☆臨時休院:4/1(月)、4/2(火)、4/13(土)午後
 

☆祝日施療:4/29(月)

 

☆スクワット部:毎木曜日 午前9時~9時半(予約不要)
        
☆可動部:毎火曜日 午前9時~9時半(予約不要)
        ※4/2はお休みです

         

 

※施術中など、電話対応できない場合がございます。
その際には留守電にお名前(だけで結構です)を入れて頂くか、LINEやメール等でご連絡ください。
確認でき次第返信いたします。

 

※ご相談も喜んで承ります。

 

 

『サルコペニア』聞いたことがあるでしょうか?

これは加齢によって起こる全身の筋肉量減少と、それに伴う筋力低下、身体機能の低下を指します。 (ギリシャ語「サルコ(筋肉)」と「ぺニア(喪失)」を組み合わせた造語)

 

困ったことに、サルコペニアは、足腰など「日常生活に直結する筋肉」から激しく進行する傾向があります。例えば太ももの筋肉では、30歳代くらいから萎縮し始め、80歳頃までに、20代の半分程度にまで筋肉が細くなってしまいます。

筋肉が細くなると、車のエンジンが小さくなるのと同様に発揮力(筋力)も弱くなります。

つまり筋肉の太さが半分になると筋力も半分になってしまうのです。(実際は半分以下)

 

サルコペニアを防ぐには筋肉を鍛えるしかありません。

“筋肉先生”として知られる谷本道哉氏によると“筋トレ”が最も効果的だそうで、筋トレ実施者では加齢による筋力の低下率は非実施者の3分の1程度に抑えられているという報告があるとか。

 

谷本氏が強調して伝えるのは、『高齢でも筋トレすれば筋肉はつく』と言う事です。

運動生理学者である谷本氏は、世界中で発表された数々の論文を踏まえて説明します。

 

「高齢でも、10回をなんとか反復できるくらいの強めの負荷でしっかりと筋トレをすれば筋肉は大きく成長する」

 

「加齢で死んだ筋肉の細胞は戻ってこないが、残された筋肉は鍛えれば太く成長させることが可能」

 

以上、今回は『サルコペニア』について、極めて簡単にご紹介しました。

こうした話に触れるたびに、ある方が思い出されます。広島の故 冨久正二さんです。

富久さんは生前、100歳を超えているにもかかわらず、陸上競技大会の短距離走に出場しておられました。(60メートル走 100歳以上 日本記録保持者)

 

彼が陸上を始めたのは、なんと97歳! ニュースで知った私は驚嘆したのを思い出します。

富久さんは、105歳で引退するまで、一日たりとも走るのを止めなかったとか。

富久さんの生き様は、たとえ高齢でもやることやれば身体機能を高めることが可能であることを教えてくれています。(なんと富久さんは原爆投下直後の被爆も経験している)

そして、松下電器(現パナソニック)創業者の松下幸之助氏の言葉を思い出します。

 

 『青春とは心の若さ』 

 

心若く、筋肉鍛えて、青春を謳歌しましょう。 足腰鍛錬したい方はスクワット部へ。(^J^)

今回は体幹トレーニングの定番メニュー ”プランク”をご紹介します。
 

プランクは、前腕肘つま先だけを接地して、その姿勢を維持するトレーニングです。

 

主に鍛えられる部位は“腹筋”ですが、一般的な腹筋トレーニング(仰向けで上半身を上げ下げする“クランチ”)とは異なり、「姿勢維持」そのものを鍛えることが特徴です。

 

姿勢維持がうまくできずグラグラ不安定になってしまうと、当然動作も不安定になります。

 

不安定な動作は関節や筋肉の負担を増大させて、トラブルの元になってしまいます。

 

「姿勢維持」を鍛えるプランクは、姿勢は元より動作安定のためにもとても有効なのです。

 

では早速やり方をご紹介します。

 

肘をついてうつ伏せになる 

 

この時肘の位置が重要です。

肘が前に出過ぎたり、

 

逆に後ろに位置していると

 

うまく支えられません。

 

肩の真下に肘を置き、肘の角度が直角になるようにしましょう。

 

 

 

骨盤を浮かし頭~背中を伸ばす    

 

骨盤から後頭部を真直ぐにするイメージで姿勢を整えましょう。

 

膝を浮かして姿勢をキープ(ドローイン!)

この時、骨盤が下がりすぎたり
逆に上がりすぎたり、
 
顔を上げたり
 
しないように注意してください。
 
 
 
ただし、腹筋に効かせたいなら、骨盤を上げるのは「アリ」ですよ。
 
 
出来る方は、プランク姿勢を維持したまま、骨盤や手足を動かすなどすると、より効果が上がりますので是非やってみて下さい。

 

但し!

③にも書きましたが『ドローイン』は必須ですので必ず行ってくださいね。

 

以前お伝えした、“おなかを引っ込め続ける”アレですよ。(^J^)

 

【腹横筋とドローイン の巻】

 

これが抜けると鍛錬効果は激減します。

わからない時はくろしんまでお気軽にどうぞ。

先日当通信で取り上げたばかりの血圧基準値について、タイムリーな情報を得ましたので号外版としてお知らせします。

4月から変わるようですよ。 

 

以下は前回のくろしん通信でもご紹介した大櫛陽一先生の見解記事です。

 

「高血圧」の判定基準が2024年4月改訂へ!「副作用もある降圧剤を飲むべきか否か」問題に迫る 

(BestTimes2024.03.11記事より)

 

今年4月から、特定健診における高血圧での受診勧奨と判定する基準(mmHg)が、現在の「収縮期140/拡張期90」から「収縮期160/拡張期100」へと変更されることになった。数字の上では違いが分かりにくいが、「受診勧奨される人が10分の1になる」のです。

この変更には多くの伏線があります。

 

 一つ目は国際的な潮流です。

少し前には医療の世界で論文や薬の治験の不正が横行し、治療指針(ガイドライン)も製薬企業により歪められていた時期がありました。

この影響による無駄で危険な医療が問題になりました。

2004年に医師と製薬企業の経済的な癒着(利益相反)を解消しようという動きが起こり、コレステロールや血圧の治療ガイドラインが科学的に作られるようになりました。

2019年の英国政府のガイドライン(NICE)で、高血圧に対する医療介入は収縮期160/拡張期100mmHg以上となったのです。

日本は、この世界の潮流から取り残されていました。

 

 二つ目は日本人を対象とする研究です。同じ2004年に、私たちが総合健診医学会で70万人の健診結果から統計的な方法で「男女別年齢別基準範囲」を作りました。

詳しくは上記著書に記載してありますが、加齢に伴って血圧が上昇するのは正常な変化で自立度を高めるなどの効果があるのです。

55歳以上では男女とも収縮期160/拡張期100mmHgまでは正常なのです。

これを裏付けた住民追跡研究の結果を2008年に発表しました。

60歳以上の男女とも、死亡率の上昇が見られたのは収縮期160/拡張期100mmHg以上でした。

 

 三つ目は国民医療費の限界です。厚労省は2008年に医療費削減として特定健診・保健指導(メタボ健診)を開始し、職場健診や人間ドックでも同じ基準を使うように指導してきました。

 

しかし、その後は過剰診断や薬物副作用により医療費の伸びが加速してしまいました。

特に開業医の所得平均が2160万円と、他の職種での所得が増えない中で目立っています。

しかし日本医師会は従業員の賃上げのために診療報酬点数を上げることを求めています。

 

 

このせめぎ合いの中で、2024年6月から再診料を2点(1点10円)、高血圧/高脂血症/糖尿病の生活習慣管理料を40点、それぞれ上げる代わりに、月2回から1回の算定とします。

2022年に3回まで繰り返し使えるリフィル処方箋が制度化されており、すでに再診回数が減少しています。

2024年4月からの特定健診の新しい血圧判定では140/90mmHg以上を受診勧奨判定値として残していますが、括弧付きで(判定値を超えるレベルの場合、再検査や生活習慣改善指導等を含め医療機関での管理が必要な場合がある)としています。

 

さらに次のページで「すぐに医療機関の受診」としているのは160/100mmHg以上と明記しました。

140~159/90~99mmHgは「生活習慣を改善する努力をした上で、数値が改善しないなら医療機関の受診を」と受診抑制をしています。

 

 忙しい日本の外来診療で高血圧で受診すると、原因を調べずに「本態性高血圧」として薬が出されるでしょう。

薬には効果と副作用がありますが、降圧剤では脳卒中、心筋梗塞、腎疾患など疾病への効果は認められていませんが、副作用として脳梗塞、腎機能低下、肝機能障害などが医薬品添付文書に記載されています。

薬の効果と副作用のバランスを報告している利益相反のないサイト(theNNT.com)では「既往歴無し、収縮期血圧 140-159mmHg 、拡張期血圧 90-99 mmHg」の人では効果ゼロ、副作用が12人に1人としています。

 

高血圧と言われた人は医師に「原因は?」と聞きましょう。毎朝と就寝前に血圧を2回ずつ測りましょう。

 

 

 以上、東海大学医学部名誉教授大櫛先生の見解でした。

厳格化し続けてきた我が国血圧基準が転機を迎えることになったようですね。

個人的には朗報だと考えます。

 

他にも、「中性脂肪」や「コレステロール」の基準の今後が気になるところです。

 

一方で「メタボ基準」を厳しくしようと言う動きも出てきています。

 

まさに鬩ぎ合い?といった印象も受けますが、純粋に日本国民の健康を最優先とした動きであることを願うばかりです。

今回は、院でも何かと話題になる『基準値』の話です。 

 

以前、『「70万人調査」で判明した70歳以上の“正しい血圧基準” 降圧剤で下げすぎるリスクも』と言う雑誌の記事を目にしました。読んでみると以下のような内容でした。(週刊ポスト2023年4月28日号より)

 

 

Ø  「基準値の厳格化」が続いている。(2019改訂140mmHg⇒130mmHg75歳未満)

Ø  40年前の厚生省基準180以上が「要治療」⇒2000年頃から年々厳格化

Ø  従来世界基準に準拠⇒近年は日本高血圧学会が独自にガイドラインを決めている

Ø  「基準値」に基づく治療が「正しい」とは限らない(薬で血圧が下がりすぎる恐れあり)

Ø  血圧は測定したその時だけの数字(季節や時間帯で変動、病院では上がりやすい傾向)

Ø  上記理由から、世界的には「家庭血圧」が重視される傾向にある。

Ø  健康診断基準値は年齢性別を無視し、同基準を当てはめている(海外では個人差考慮)

Ø  そもそも欧米には健康診断がなく、医療現場で使われる基準値も日本と大きく異なる

Ø  【米基準】60歳以上:150以上が高血圧⇒未満:基準を定めること自体『根拠無し』

Ø  最大の問題は、薬で低く抑えることで別の病気のリスクが生じること

Ø  降圧剤添付文書「使用上の注意」“過度の降圧が脳梗塞等を起こす恐れがある”と明記

Ø  日本人対象の複数研究 『降圧剤で血圧を20以上下げると脳梗塞の発症率が高くなる』

 

 

記事には、上記のような、日本の高血圧治療を危惧する内容に続き、東海大学医学部名誉教授大櫛陽一氏による「真の基準値」が紹介されていました。

 

氏は全国70万人の健診結果を解析・検証したところ、60代後半男性なら上が165迄、70代前半男性なら170近く迄が健康な「基準範囲」だと判明したそうです。

 

この算出に関し、偏りが生じにくいようデータを絞り、男女・年齢別で基準範囲を出したそうです。

 

記事では、厚労省の基準値と比較して一覧表にしています。(わかりやすいので是非ご一読を)

 

 

 記事の締めとして、大櫛氏の以下の指摘が紹介されていました。

Ø  本来、基準値は(疾患に対するリスクが異なる)男女別・年齢別でなければ役に立たない

Ø  高齢者の血圧が高くなるのは、老化による自然現象でもある

Ø  血圧を過剰に下げると、脳神経に酸素や栄養がいかず、判断力低下や転倒事故の原因になる

Ø  健診の基準値を守ろうとして血糖値を下げすぎると、低血糖発作を引き起こすリスクが高まる

Ø  中性脂肪とコレステロールは欧米から『日本の基準はおかしい』と批判されるほど厳しい

Ø  本来正常値の人が脂質異常症治療薬を服用することで、重大な副作用を招くリスク

 

以上ですが、いかがでしょうか。

 

上記のような見解の先生は中々おられないのではないでしょうか。

個人的には、血圧と聞くと、以前(日本では稀有だった)救急内科医の先生からの“教え”を思い出します。

 

「庭の水やりをしていて、遠くの植木や草花に水が届くように飛ばしたい時どうする?水の量を増やしたり、ホースの先を指で締め付けて内圧を上げて飛ばすでしょ。あれは血圧を上げるのと同じ仕組み。その身体にとって必要だから上がるんだよ。強引に下げたらどうなる?水届かなくて植物枯れるよね?身体の仕組みを考えろよ」。

 

情報過多時代の昨今、何を信じて何を信じないか、そして、自分の健康を守れるか否かはあなた次第です。