今回は『脳過労』について、脳神経外科医の奥村歩先生のお話をご紹介します。
奥村先生は認知症専門医として「もの忘れ外来」で診療しています。患者さんは従来70~80代の高齢者がほとんどだったそうですが、ここ10年30~50代の働き盛り世代の患者さんが増加しているとか。
なぜか?
この原因を考えた時にピタリと当てはまるのが、ここ10年で爆発的に普及したスマホをはじめとする社会のデジタル化でした。
情報のスピードが急激に速くなり、多大な情報処理を強いられるようになったことが脳疲労の大きな原因ではないかと奥村先生は考えています。
ヒトの脳には≪情報を取り入れる(入力)》《取り入れた情報を整理整頓する(整理整頓)》《最後に必要な情報を取り出す(取り出し)》という3つの役割があります。
ところが、スマホなど長時間使うと、情報過多となり「取り出し」ができなくなるのです。
現代人の1日あたりの情報量は、江戸時代の1年分とか。そりゃパンクしますよね...
奥村先生は「脳の中がゴミ屋敷のような状態」になっているので情報入力を遮断しない限り、整理整頓の機能が働かないと説明します。
「脳過労」の症状は「もの忘れ」だけではありません。
集中力の低下は勿論、情緒不安定になったり、倦怠感、頭痛、眩暈、眼精疲労、睡眠障害、腰痛、喉舌の痛み、眩暈、うつ、更年期症状などありとあらゆる症状を引き起こし得ます。
特に、コロナ禍を通じて情報化社会が強化されたことで、情報依存から極度の不安に陥ってしまう「サイバー心気症」や「FOMO」といった不安神経症も増えているそうです。
この背景には、「空気」を読み、ルールや協調性を大事にする、生真面目な日本人の国民性も関係しているだろうと奥村先生は考えています。
では、「脳過労」を改善&予防するにはどうすればよいでしょうか?
何と言っても、まずはスマホ等デジタル機器の使用を出来る限り減らすことです。
これが原因なのですから当然ですよね。脳に入力される情報量を減らしてあげましょう。
とりわけ目的が無い情報収集が危険だそうです。(次々に動画をだらだらみてしまうなど)
その上で大事なのが「睡眠」です。
近年、“脳のゴミ”と称される「アミロイドβ」というタンパク質が蓄積すると脳に悪影響を与えるということがわかってきました。
この「アミロイドβ」を排出するには熟睡以外の方法が無いそうです。
また、一定のリズムで動作を行うことも効果が期待できるようです。
例えば「キャベツの千切り」や「皿洗い」、「ジョギング・散歩」など、リズミカルな動きに意識を集中させることで、脳がリラックスできるそうです。
以上「脳過労」の話でしたがいかがでしょうか。
僕はアナログ仕事なので、デジタルに触れる時間は限られますが、それでも時間ある時にはついつい動画やSNSなど見続けちゃうことがあります。(反省(;’∀’))
近年『デジタルデトックス』と言う言葉を耳にしますが、『脳の健康』を考えれば現代人には欠かせない必須事項でしょうね。
気をつけよ